ドミノ | kazuのブログ

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主演ベンアフレック、監督ロバートロドリゲス。一件何の接点もないように感じる二人の映画人が他人の脳を支配できると言う正体不明の男に臨む刑事を描く、映画「ドミノ」。原題は〝HYPNOTIC〟世界にはごくごくわずかに〝HYPNOTIC〟「ヒプノティック」と呼ばれる人の脳に潜り込みその人間を支配できる人間がいるらしい。その「ヒプノティック」の一部の反乱分子がその特殊能力で世界を牛耳ろうとするのを一人の刑事がどうやって止めるのかというような物語であります。その中で4年前に目の前で誘拐された娘のことが頭を離れない。ところがこの「ヒプノティック」の首領を追っていくうちに自分の娘がかかわってくることに気づいてくる。なんとも繊細で微妙な難しさのこの作品。今までどちらかと言うと素人受け、マニア受けするような作品が多かったロバートロドリゲスがメガホンを取ります。「フロムダスクティルドーン」「パラサイト」「シンシティ」等々、吸血鬼にエイリアン、殺し屋が所狭しとスクリーンで暴れまわる映画が多いイメージですがこんな作品も作るんですねえ。

テキサス州オーシティン警察に勤務する刑事ダニーロークは4年前、目の前で娘のミニーを誘拐され、それ以来娘は行方不明。犯人は逮捕されたものの犯人には記憶がないと言う。それが元で妻とは別れセラピーを続けながら仕事に没頭する毎日を送っていた。そんなある日、銀行が襲われると言う報がダニーの元に入る。現場に駆け付けた彼は覆面車両の中から周囲を見張っているとどこか見覚えのある男の姿を見つけた。不思議なことに彼に一言二言かけられた人々は初対面にも関わらず催眠術にかかったように彼の言葉に従う。ベンチに座っていた女性は急に服を脱ぎだし周りの人々の気を引く、警備員たちは彼をガードするようにともに銀行へ向かう、銀行の受付嬢は貸金庫に誘導する。慌てたダニーは銀行に向かい阻止しようとした。だが貸金庫の中にあったのはダニーの娘の写真だった。男が狙っていたのはミニーの写真だったのである。写真の強奪に失敗した男は逃亡するが、男が呟くと銀行の受付嬢も警備員も、ダニーの同僚の刑事たちさえも彼の逃亡に手を貸す。現場は修羅場となった。

ダニーに銀行襲撃の情報を伝えたのは場末の占い師ダイアナクルーズだったことがわかる。ダニーはダイアナに捜査の協力を求める。彼女の話では謎の男の名はレブデルレーン。相手の脳を思いのまま支配できると言う「ヒプノティック」の持ち主だと言う。「ヒプノティック」は元々アメリカ政府機関のプログラムだったのだがデルレーンは最高のヒプノティックの持ち主だった。自分の能力を悪用しようとした彼は政府機関から逃亡。機関を乗っ取ろうと画策したのである。そしてダイアナもまたヒプノティックの一人だった。

ダニーとダイアナは同僚刑事の殺害容疑をかけられ指名手配の身になった。おまけに地元の警察や政府機関を自在に操るデルレーンが2人を追う。デルレーンの目的は明らかにダニーの娘ミニーだった。デルレーンの目的は何なのか?靄のかかったようなダニーの記憶が蘇ってくる...。

 

相手の脳を支配出来たらまず、すべてが自由です。金に困ることもないし、命の危険にさらされることもない。そりゃ誰だって世界を自分の思いのままに操りたいと思う奴が出てきたって不思議じゃない。いやですよねぇ、こんなことが政府の研究機関で行われていたなんて。まあこれは架空の話ですが...。

しかし物語は必然的にこの「謎の男」デルレーンと刑事ダニーの娘、ミニーの誘拐に関わってくる。果てはなぜか遮断されていたようなダニーの記憶が蘇ってくる。近未来、一種SFのクライムサスペンスです。デルレーンと対決する主人公の刑事ダニーは当然ベンアフレックですが、デルレーンを演じたウィリアムフィクナー。この人の悪役良かったですねぇ。このどこか無表情で冷たい顔立ち、最近よく見ます。この作品のような冷徹な悪役が多いわけですがやっぱりね、ハリウッドにはこの手のバイブレーヤーが数多くいます。層がやっぱり厚いです。

この物語は一種「騙し絵」のような作品。観客はのっけからすべてのものに騙されていてストーリー展開一つ一つにトリックがあります。観終わった後は「ええっーそんなん...」て言うような思いになります。これはナイトシャマラン監督が「シックスセンス」を撮った時に観ている者にトリックを仕掛けたその手法。彼の作品以降はちょくちょく観られる手法です。切った張っただの血飛沫がとび、首が宙を舞うなどと言った完全タランティーノ寄りの作品のイメージをロドリゲス監督に持っていた私にとっては驚き。ロバートロドリゲスも大人になったのかはたまた、元々天才魔術師だったのかわかりませんがとにかく新しい発見でした。