抗癌剤の治療中なんでね、あんまり外に出歩いたり、人との接触は避けた方がいいんですがやっぱり週一本は映画を観たいから、出かけています。まあ、今、映画館は席を一つ空けて感染対策を取っているし、それにまあもともとガラガラな作品が多いから大丈夫ではないかと...。それでも一人できるだけ離れて座ったりと自分なりに気を付けています。治療によって極端に白血球の中の好中球とやらが減少し免疫が下がってますので武漢肺炎なんかにかかったら一巻の終わりですから...。
で、今回観に行った作品は「レミニセンス」。人の記憶の中に潜入し、過去の出来事を探るというまたややこしい話です。主演は「Ⅹメン」のウルバリンことヒュージャックマン。こんなややこしい作品、またクリストファーノーランやなと思いきや、監督さんはリサジョイと言う女性監督。ところが製作はクリストファーノーランの弟、ジョナサンノーラン。やっぱし...。「テネット」公開時は「この作品は2度観てほしい」とかいう話が巷では話題になりましたが、私にいわせりゃ「1度観てわからん映画はダメ」なんです。これ観て理解できた人はなかなかいなかったようですがこれがヒットしたんですなぁ。ようわからんわ。どうもこのノーラン兄弟、自らの映画哲学に自己陶酔しているような気がします。
しかし、本作「レミニセンス」はちょっと違います。今までのノーラン作品の難解さを期待していかれる方々には少々期待はずれかも。荒廃した近未来においてなぜか中年男女の純粋ラブストーリーが展開されております。
近未来、戦争と温暖化で海水に水没してしまった世界。マイアミでは一部の大地主が海に水没していない「陸地」を戦前に安い値で買い上げ居住者たちに高値で貸し付け暴利を貪っており居住者たちによる暴動が起ころうとしていた。そんな中「記憶潜入エージェント」として政府検察の事件解決の仕事を手掛ける退役軍人のニックバニスターは相棒の元女性兵士ワッツと共に、絶望した世界の中で生きていく人々に過去の美しい記憶を思い起こさせるという「慈善事業」も行っていた。
ある日、「鍵を失くしたから記憶をたどって探してほしい」という女、メイが訪ねて来る。彼女を一目見て心を揺り動かされたニックはワッツが止めるのも聞かず彼女にのめり込んでいく。ニックは荒んだ世界の中で久々に感じる心豊かな安らぎの日々をメイと過ごす。だがある日を境に突然、メイはニックの前から姿を消す。心かき乱されるニック。
そんな時、検察から仕事の依頼が来る。瀕死の重傷を負ったギャング組織の一員の記憶に潜入してほしいというのだ。心穏やかでないニックは渋々引き受ける。だが、そのギャングの記憶の中にメイの姿があったのだ。メイは犯罪に加担していたのか?それ以来、ニックはメイの行方を追うが同時にオフィスから一人の人物の記録が盗まれていることに気づく...。
男臭さで売ったヒュージャックマンが「恋は盲目」になってしまうような姿はあまり観たくないんやけど、荒廃した近未来の世界を背景に描かれる中年男女の恋物語と言った方がええかな?SF嗜好の方々には物足りないかもしれません。こんなこといったらまた怒られるかもしれんけどロマンチック路線になったのはやっぱり女性監督やからかな?なんかイマイチ、ヒュージャックマンがひ弱いのが気になりました。