弧狼の血 Level2 | kazuのブログ

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時代は変わりました。先日、高校野球選手権大会開催中の阪神甲子園球場で女子高校野球の決勝戦が初めて行われました。「グランドは男の戦場」だとか「女子立ち入るべからず」だとかもう古―い過去の話になりました。夜のスポーツニュースでは彼女たちがアルプススタンドの横から入ってくるシーンからとらえていました。その時の彼女たちの嬉しそうな顔は、「人間ここまで幸せな顔になれるんや」とまで感じさせるもんでした。兵庫県の神戸弘陵高校VS高知県の高地中央高校の決勝戦。結果は4-0で神戸弘陵が5年ぶり2回目の優勝で幕を閉じました。

 

その結果よりもプレイ中の彼女たちの嬉しそうな顔が頭から離れません。ボールを追って果敢に飛び込む姿、ダイヤモンドを駆け回る溌溂とした姿は男子球児たちに引けを取りません。そして優勝インタビューで語る神戸弘陵キャプテンのなんとも新鮮な姿。「野球はみんなでやれば楽しいスポーツです。」

五十いくつのおっさんが気持ちを洗われる思いです。彼女たちの笑顔を見てオリンピックの野球を思い出しました。彼女達とはあまりにも対照的だった韓国選手の面々。母国のマスコミやSNSから誹謗中傷を受け打ちひしがれる選手たち。なんで好きなスポーツやってこんな思いわせなあかんのか?日本は運よく金メダルを勝ち取りましたが一歩間違えれば日本代表が標的にされかねない状況だったと思います。

 

野球を少しでもやった人ならわかると思いますが、初めて友達と野球をやる時、ボコボコの空き地で地面にベースを書いて子供用の小さなグラブに小さなバット。いや道具なんてなくてゴムボールだけで手打ち野球だったかもしれません。でもあの時楽しかったと思います。みんなそうだったと思います。「夢は野球選手」。高額な給料と引き換えに待ち受ける誹謗中傷、崩壊寸前の心。笑顔で駆け回る彼女たちの姿は本来あるべきスポーツの形を見せてくれました。「野球が好きだから」その一念でどの国のどの選手も野球を始めたと思います。みんな、少し考えませんか?やれ「国の威信」だとか「永遠のライバル」だとかあれがずるい、これが卑怯...。

 

私は常々、近年の国際大会にうんざりしています。見ているみんなも純粋に選手たちが必死に球を追いかけてる姿、縦横無尽にダイヤモンドを駆け回るを楽しめないものですか?

 

またまた前置きが長くなりましたがこの純真爛漫な女子高野球の彼女達とあまりにも真逆な映画を観てしまいました。

「弧狼の血・Level2」 ろくな奴は一人も出てきません。広島の人はよう怒りませんなぁ。と思うくらい、もう人間のクズどころか外道以下の奴ばかりが出てきます。この胸くそ悪さ..胸クソわるうて、胸クソわるうて、その果てから爽快感が来ます。えげつない作品です。

昭和最後の年63年、広島呉原。広島暴力団の巨大組織「五十子会」と地元、尾谷組の抗争の中、呉原東署のマル暴刑事、大上が殺される。彼は拷問、恐喝、賄賂、何でもありの汚職刑事であったが組織に深く入り込むことによって暴力団同士の危うい力の均衡は保たれていた。その後、尾谷組の手によって五十子会会長、五十子正平が殺害、殺害犯として尾谷組若頭、一ノ瀬守孝が逮捕、収監で幕は閉じられた。それを裏から糸を引いていたのは大上の若き相棒、日岡だった...

 

一連の抗争から三年。時代は平成に入り五十子会と尾谷組の手打ちにより危ういながらも抗争もなく「平和」は保たれていた。それを画策していたのは大上の後を継いだ呉原東署の刑事、日岡秀一だった。彼は大上以上に組織につながりを持ち、裏社会を取り仕切り、なんとか抗争だけは避けていた。だがその「平和」も一人の男の出所により崩壊することになる。男の名は上林成浩...。死んだ五十子正平が目にかけていた腹心、若き上林組の組長である。上林はまさに「悪魔」と呼ぶにふさわしい男だった。極悪非道、残虐性、どれをとっても彼に匹敵する者はいない。上林は出所後まず「世話になった」看守宅に押し入り妹を惨殺、続いて金銭欲に走り親の死に目をつぶり抗争を避けする五十子会や五十子会が傘下にある広島最大組織、広島仁正会にまで牙をむく。仁正会会長の目の前で理事長の溝口を殺害。続いて五十子会二代目の角谷を妻もろとも惨殺。まさに野に放たれた狼だった...。

 

日岡は恋人であるスナックのママ真緒の弟、幸太を上林組に潜り込ませる。一方、広島県警は看守妹の殺害事件の捜査本部を構え、日岡を捜査本部に加える。日岡は相棒として県警本部の定年間近のヒラ刑事、瀬島と組むことになる。何物にも心を開かない日岡は穏やかな笑顔で接してくる老刑事の瀬島が疎ましかったが二人で修羅場をくぐり抜けていくうち瀬島の人柄に段々と心を開いていく。だが上林の暴走は止まらない。遂に尾谷組も抑えが利かなくなり暴発するのは日の目を見るより明らかだった。そして潜り込ませた幸太にも危険が迫る。日岡は上林とあいまみえる中、警察機構の驚愕の真実を知ることになる...。

 

 

前作の胸くそ悪さ満開のシーンは何といっても「豚の〇〇を食わせる」と言う、もう観る者によってはこれ以上ない不快なシーンです。今回はこれに対抗するべくシーンはと言いますと、何といっても悪魔・上林が殺人を犯すとき相手の眼球を素手で抉り出すというクセがあるということですな。もう無茶苦茶です。もうこの監督・白石和彌と言う人こんな事ばっかり考えてるんやろなぁ。ハァ―

しかしですね、広島の人はこの作品を観て怒らんのですか?出てくるのはスナックのママを演じた西野七瀬以外はほんま、本当にクズみたいな奴ばっかしです。「広島ってこわいとこ」って思われませんか?広島って、お好み焼きはあるし、瀬戸内海の海の幸はうまいし、添乗で行った時のガイドさんは可愛らしかったし、阪神にフリーエージェントでええ選手はくれるし、結構好きなとこなんですが...。

 

けど何といってもこの作品で光ったのは松坂君には悪いけど、何といっても鈴木亮平君です。いやあ、うまいわ。まさに野に放たれたもう一匹の狼です。生き様、死に様、壮絶です。確かに腐れ外道ですがもうここまで悪を貫くというのはもう美学です。子供の頃のトラウマも描かれていますがそれも何のその、もう―凄いの一言に尽きます。この作品を観たのが日曜日。同日に日曜劇場の善人のドクター役を観てください。このギャップに頭がおかしくなります。

で、もう自慢でも何でもないんですが彼、私の中学の後輩なんですなー。彼のプロフィールを見て驚きました。同じ、兵庫県西宮市出身。しかも中学校の後輩。後輩なんておこがましいですがいやあ嬉しいですねー。彼にはどんどん世界にも出てもらいたいし、あの体格であの演技力はなかなかお目にかかれません。次回、遅れに遅れている「燃えよ剣」の近藤勇も期待大です。