ハリエット | kazuのブログ

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久々の新作!!黒人解放のために戦った、元奴隷の黒人女性ハリエットタブマンの物語。初めて女性として、黒人としてアメリカ合衆国のお札になるねんて!(トランプ大統領が握りつぶしたらしいけど...あの男らしいわ) 

本年度のアカデミー賞の授賞式で一際目立った黒人女性がいました。名をシンシアエリヴォ。本作「ハリエット」の主演女優です。お恥ずかしながら彼女を知ったのがこの時初めて。しかしこの作品の主題歌「スタンドアップ」を歌う歌声に聞き入ってしまい、「やっぱりアメリカは凄い、こんな魂を込めて歌う人がいるんや!やっぱり一握りの演出家がふんぞり返っている日本のエンターテイメント業界とは格が違う」と。

この物語の実在の人物、ハリエットタブマンの数奇な運命と壮絶な人生を描いた脚本もさることながら、彼女を演じたシンシアエリヴォの圧倒的な演技力と圧倒的な歌唱力に脱帽です。

1849年アメリカ・メリーランド州。奴隷主、ブローダス家の奴隷として過酷な労働を強いられていた黒人奴隷の娘ミンティは隣の農場で働く、「自由黒人」のジョンと結婚するがプロータス家の「所有物」であるため一緒には暮らせない。そんな時ブローダス家の家長エドワードが死ぬ。跡を継ぐのは父に輪をかけて冷酷なギデオン。父の死後、多大なる借金があることを知った彼は南部の方へミンティを売り飛ばそうとする。それを知ったミンティはブローダス家を脱走。ギデオンやハンター、猟犬の追跡をかわし、奇跡的に奴隷制の廃止された隣州のペンシルベニアにたどり着き黒人解放同盟の組織「地下鉄道」の門を叩く。そこで住む家も仕事も与えられた彼女は新しい名前ハリエットタブマンを名乗る。

だが彼女は回りの制止を振り切り、残された家族を連れ出す為に単身メリーランドへ戻る。愛する夫を連れ出しに戻った彼女であったが、彼女が死んだと思った夫ジョンは既に新しい妻を迎えていた。悲しみに打ちひしがれる彼女であったが、それでも立ち上がり弟や妹、友人たちを連れ再びペンシルベニアに戻る。人々の驚嘆の中、彼女は正式に「地下鉄道」の会員に迎え入れられる。ハリエットが黒人奴隷たちの奪還、解放を繰り返す中、彼女の名は広まり奴隷たちからは「神の使い」として崇められ、奴隷主たちからは怒りの矛先が向けられる。いつしか人々は彼女のことを奴隷解放者「モーゼ」と呼ぶようになった。

だが、農園主たちのための「逃亡奴隷法」が制定され、逃亡した奴隷たちを州外から連れ戻すよう奴隷ハンターたちの追跡が始まる。ハリエットタブマンの本当の戦いが始まる...。

この時期にこの作品て、ほんまタイムリー!

今、アメリカは警官の黒人殺害問題で揺れに揺れています。アメリカ全土でデモが起こりそれが暴動に発展、トランプが「軍隊を派遣させる」ともう何が何だかわかりません。また、「差別」という言葉は黒人の専売特許のようになっていますがアメリカだけではありません。中国ではチベット、ウイグル地区での弾圧、ミャンマーではロヒンギャ難民問題で女神、救世主と崇められていたスーチー女史が「何もしない」という理由で今、吊るし上げられています。極めつけはこのコロナ騒動の中、欧州ではアジア民族を一括りにして白人が「出ていけ!コロナ菌!」とののしられています。昨年ラグビーワールドカップを開催して世界から賞賛された日本も例外ではありませんでした。西洋人、アングロサクソンの表の顔、裏の顔はっきり見させていただきました。ついでにもう一つ付け加えておくとニューヨークでマスクをしたアジア人に対して「出ていけ!」と殴りつけ追い掛け回しているのはなんとこの作品で差別されている側の黒人です。

 

何をか言わんやであります。このように我々の身の回りには差別が至る所にあります。それは表面上は良識を繕っていても、ある日、ある時を境に豹変します。話は大きくそれましたがこの物語の数年後リンカーンが「奴隷解放宣言」をし、後、「奴隷制度」が撤廃されます。

それから150年以上の歳月がたちます。確かに奴隷制を採用している国はありませんが至る所で「差別」は残っています。この日本だってそうです。いくら学校で学んだところでこればかりは無くならないんじゃないかと言う気がします。さみしい話ですが...。