Fukushima 50 (フクシマフィフティ) | kazuのブログ

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この時期にこの作品を鑑賞するのはタイムリーと言えばタイムリー、言い方を変えれば「皮肉」です。3月11日は「東日本大震災」の慰霊の日で東北の各地で毎年のように大規模な慰霊祭が行われる予定でした。しかし、今だ収まりが付かない、新型肺炎コロナウイルス禍。中止、規模縮小...東北方面の方々の気持ちは計り知れません。日本人はこの未曽有の危機に何を学んだのか、学んでなかったということになります。この「Fukushima50(フクシマフィフティ)」を観終わった後は無念さばかりがこみ上げてきました。

2011年3月11日14時46分、マグニチュード9.0、最大震度7という巨大地震が起こした想定外の大津波が、福島第一原子力発電所(イチエフ)を襲う。浸水により全電源を喪失したイチエフは、原子炉を冷やせない状況に陥った。このままではメルトダウンにより想像を絶する被害をもたらす。1・2号機当直長の伊崎ら現場作業員は、原発内に残り原子炉の制御に奔走する。全体指揮を執る吉田所長は部下たちを鼓舞しながらも、状況を把握しきれていない本店や官邸からの指示に怒りをあらわにする。しかし、現場の奮闘もむなしく事態は悪化の一途をたどり、近隣の人々は避難を余儀なくされてしまう。官邸は、最悪の場合、被害範囲は東京を含む半径250㎞、その対象人口は約5,000万人にのぼると試算。それは東日本の壊滅を意味していた。
残された方法は“ベント”。いまだ世界で実施されたことのないこの手段は、作業員たちが体一つで原子炉内に突入し行う手作業。外部と遮断され何の情報もない中、ついに作戦は始まった。皆、避難所に残した家族を心配しながら...

大変失礼ながら、原発に関する専門用語に乏しくそのままパンフレットからストーリーを抜粋させていただきました。物語はいきなりの大地震、いきなりの津波から始まります。このあたりの描写、凄かった、現場の緊張感もリアルでしたし、なんせ、渡辺謙、佐藤浩市という日本を代表する名優が、当時の吉田所長、現場責任者を演じています。けどやっぱり賛否両論は出てくるでしょうね。東電本店の無能さは本末転倒としても、当時の民主党政権寄りの方々は...首相管直人を佐野史郎、官房長官の枝野幸男を金田明夫が演じていましたが、決して個人名は出てこない、内閣総理大臣と内閣官房長官とだけキャスティングされてましたが、何に気を使ったのか気持ち悪いと思いつつも、興味があります。それに吉田所長以外の命をかけた福島原発の現場の人たちはすべて仮名だそうです。吉田所長は故人になられてしまいましたが、他の方たちは今も仕事されている方がおられるんでしょうか?プロパガンダだ、なんだと反原発の強硬派の奴なんかが、ちょっかい出してくるのを防ぐ意味もあるんでしょうか?:現に「放射能を浴びる」そして「死」というものと向い合せで現場に残った人たちの話し、そして怒りが作品に充分に込められていると思うんですが...

 

当然、民主党寄りの人達なんかは怒っているでしょうね。ネットで見つけたんやけど、菅元総理と40年近くの友人で菅直人事務所で働いていたという元雑誌編集局長の中川右介氏がおっしゃるには「菅さんはあんなに怒鳴り散らす人ではない、ヒステリーを起こす人ではない」とか「なぜ、現場介入したか捻じ曲げられている」とか...あのぉ、そういうコラムを見つけたんですが、細かいことを描けとおっしゃっているようやけど現場の邪魔になったんは確かやし、菅さん本人もこの作品をみて「よく描かれている」と、そして「どなったと思うと」まあ付け足して「描かれていないこともある」とおっしゃってましたからまあほぼ事実とちゃうんですか?あんた現場にもおらんかったのにそないなこと言うたらあかんわ。また、佐野史郎さんてこんなヒステリー気味の役やらしたら無茶苦茶うまいからねぇ。

しかし、私は命をかけて日本が「放射能汚染国」となるのを亡くなられた、吉田所長はじめ、東電の現場の方々、そしてこの震災で命を落とされた多くの方々にほんまに申し訳ない。この九年間、危機管理、危機管理と言われ続けてきた日本国の大きな課題を政府が変わってもなんらクリアしていない。

 

昨年、書いたと思うんですが添乗で釜石へ行ったときボランティアガイドの方に震災の跡を案内してもらったときそのガイドさんが言われたことがいまだに耳にこびりついています。

「我々は子供たちにこう教えています。『弱者は見捨てろ、年老いた両親、祖父母も助けようとするな、自分が生き残ることだけを考えろ』とね」

震災国、日本で生まれて初めて思い知った未曽有の危機。かくいう私も、阪神大震災の経験をしています。このガイドさんの言葉を国を司る方々、どう捉えます?今、日本、いや今度は全世界が目に見えない敵「ウイルス」と闘っています。少なくとも日本は何度となく国難に立ち向かってきたんです。あのガイドさんの言うような言葉を言わせる政府って、国って何なんですか?与党だの野党だの関係ないでしょ。こんなときに離党だのなんだのって言ってるバカがいます。

 

前回の国難にまさしく立ち向かったのは紛れもなく、政府でなく一般国民なのですよ。

最後に、この映画のラストに字幕で「2020年、日本で東京オリンピックが行われる。我々はこれを『復興オリンピック』と名付けた」と...

今のこの状況はほぼオリンピックは無理です。この日本人の無念、どこにぶつけたらいいんですか?それどころか明日食べていけるのかさえ分かりません。

 

政府に問います。わが日本国民はここまで虐げられなければならないのですか?これは間違いなく人災です!