昨今めっきりと減ってしまった韓流作品、神戸は神戸国際松竹会館でひっそりとやってました。パンフレットも無し。その隠れるようにやっていた作品の名は「王宮の夜鬼」
時は17世紀初頭、中国の王朝が明から清に変りその清に攻め込まれた朝鮮国は清の属国になり横暴な圧政に苦しめられていた時代、西洋船からの密輸入で銃を買い清国に対抗しようとした謀反が発覚します。しかし真の首謀者は朝鮮国王の長男、彼は人質として清へ渡っている弟に後を託し家来たちのため父国王の前で自害します。ところがこの西洋船の中に人を襲い生き血を吸う人間の姿をした恐ろしい「もの」が潜んでいました。しかもそれに噛まれたものは感染し夜になると村の人々を襲います。これを人々は「夜鬼」と呼び、それはいつしか港からほど近い村に蔓延してしまいます。しかし国王の心を意のままに操る悪臣がこの「夜鬼」を利用して国家の転覆を図ります。
で、これに対抗しようというのが清国から兄の死を聞いて帰国した弟王子ですが、まじめな兄と違ってどっちかと言えば王族の不良少年。面倒な王家は継ぎたくないと剣の使い手であるにもかかわらず、厄介なことはご免被るといった遊び人なのですが、民の苦しみには耳を傾けることが出来る若者で朝鮮国再建に目覚めていきます。
作品はいわゆる、西洋の吸血鬼伝説をベースに襲われた人間が次々と化物に変っていく物語はいわゆるゾンビもの。そしてそれに王子の剣で立ち向かうというのはバイオハザード時代劇版ですな。権力にしがみつく哀れな落日の国王、悪臣の陰謀あり、それに立ち向かう王子たち若者、王子を助けるため弓矢を手に荒野を駆け巡る美女ありと時代劇のエンターテイメント満載です。
なかなか持って作品は面白かったわけですがこの朝鮮時代というもの、ちよこっと勉強してみました。17世紀の初頭、中国全土を支配していた明の力が衰え清にとって代わられるわけですが清国の前身が後金といって今の満州一帯に根付いていた種族。それを治めていたのがヌルハチなる人物ですがこれが台頭し明にとって代わり清王国を築くわけですが、その清が1636年から1637年にかけて朝鮮国に侵攻し制圧してしまいました。これが「丙子の乱」とよばれ清の朝鮮国に対する冊封体制が日清戦争で中国が日本に敗れる1895年の250年以上ものあいだ続くわけです。この冊封体制というのは中国が朝鮮国から毎年貢物を受け取り朝鮮王朝の安泰を保証するもの。話によると毎年、朝鮮から3,000人もの美女を中国に送っていたという話。これって従軍慰安婦の比じゃないと思うんですが。けど中国の属国ではないと今でも言い張る人がいるんですね。どこが違うんかね?
清の圧政に苦しめられているという点は物語にも描かれているけど、日韓併合が35年、片や中国の冊封体制が250年、なんで中国はなんも言われへんねんやろか?