福山駅から鞆の浦へは路線バスで向かいます。鞆の浦が近づくと車窓の左側には波静かな海が見えてきます。奥に見える島は仙酔島です。
歴史ファンなら一度は来てみたかった史跡の宝庫の鞆の浦です。
いきなり弁天島の前を平成いろは丸が通過していきました。後でこの平成いろは丸に乗って仙酔島に渡ってみます。
いろは丸は観光用ですので船内には観光ガイドなどの写真がたくさん貼られています。
右手に弁天島を見ながら仙酔島までほんの5分で到着します。
もちろん初めての上陸ですが瀬戸内海国立公園・仙酔島です。
この仙酔島には大きなホテルもありますし水が透き通ってきれいで白砂の海水浴場やキャンプ場もあって恐らくは夏にはすごい人気と思います。
しばらく島を散策したので再びいろは丸に乗って鞆の浦に戻ります。すぐ向こうには鞆の浦のホテルが見えています。
これから鞆の浦の街中を地図を散策します片手に散策していきます。猫になった気分でこんな狭い路地もあって楽しいです。
鞆で作られている保命酒が売られています。養命酒のような薬草酒だそうで歴史があるのだそうです。
街の銀行も古めかしい建物になっています。
狭い路地にいろいろなお店が開けており散策するのは楽しいです。いりこを売っているお店で試食させてもらいました。
国の重要文化財の太田家住宅です。元は福山藩の御用名酒屋を務めた保命酒の蔵元「中村家」の屋敷で明治時代になって太田家の所有となったものです。古い建物がよく似合う街です。
1863年尊王攘夷派の三条実美ら7人の公卿が公武合体派によって京都を追われて長州に逃亡する際(七卿落ち)、および翌年に長州から船で京都に上る際に鞆港に寄り上陸して当屋敷の中村家(当時)を宿泊所としたとのことです。潮待ちの港ですからね。
力石です。力石は神社にて吉凶を占うことから始まったといわれていますが、この力石は江戸~明治時代、鞆港の仲仕が祭礼の時などに力比べをし奉納したものの一部です。
鞆の浦の港はこのような感じで小さな漁港です。真ん中に見えている屋根は園福寺です。
潮の満ち引きが大きいためにいつでも積荷の上げ下ろしができるように船着場が階段状になっています。雁木と言いますがお城でも階段状になっているところがありますね。
鞆の浦を長年見守る常夜燈です。
港の反対側か見た常夜燈です。右の方の蔵はいろは丸展示館です。
少し階段を登って高台にやってきましたがここがかつて鞆城があった場所です。確かに石垣がごろごろしています。この鞆城跡は室町幕府最後の将軍でもあった足利義昭が滞在していた城としても知られます。
現在は歴史民俗資料館が建っていますが入り口には当時の石垣がそのまま使われているようです。
確かに広島ですので関ケ原以降に福島正則が城郭の整備に関わっていたのは納得できます。
鞆城跡からの景観ですが鞆港や湾内もすべて見渡せます。義昭もこの景色を眺めて何を思っていたのでしょうか。
山名鹿介の首塚ですがなぜ鞆の浦に首塚があるのか疑問でした。鹿介は上月城にて尼子勝久を将として尼子復興をかけて戦いましたが最後は織田信長、豊臣秀吉に見捨てられた格好で落城し尼子勝久は自刃したものの、山名鹿介は囚われの身だったはずです。
調べてみますと鹿介は途中の阿井の渡しで殺害されその首が鞆の浦にいた足利義昭の首実検のために届けられたのではないかということでした。そのために鞆の浦に首を埋葬して首塚が作られたということです。
またその首塚の側にある低い橋というか段差はささやき橋と呼ばれています。古い伝説ですが、和多利と江の浦の悲しい恋物語で海に沈められた二人のためにこの橋がささやき橋と呼ばれているということです。高知のはりまや橋のような伝説が残っているんですね。
港からは山の方に少し歩きますがそれでも10分もあれば辿り着きます。山を背に鎮座する沼名前(ぬなくま)神社です。
今日かなり鞆の浦を歩き回ったのでこの階段はきついですが本殿を目指します。鞆の浦の街を見守ってきた神社です。
鞆祇園宮として地元では祇園さんとも呼ばれているそうです。
国の重要文化財になっている豊臣秀吉遺愛の能舞台です。京都伏見城内にあったものを元和六年伏見城解体の際に福山城主水野勝成が徳川秀忠から拝領し、後に沼名前神社に寄進されたものと言われています。
またせっかくなので国の重要文化財のある安国寺を訪れました。安国寺は南北朝動乱の戦死者を弔うために、足利尊氏が国ごとに造ったお寺です。戦国時代に活躍した安国寺恵瓊は有名ですね。
国の重要文化財のある安国寺釈迦堂です。室町時代中期建立です。
拝観の時間が終わっていましたので外から阿弥陀如来様を拝ませていただきました。
鞆の浦は港と街に史跡が集中していますので1日歩ける体力があれば全部楽しむことも可能です。私もガイド片手に史跡をほとんど回りました。潮風が心地よいですし古い町並みは心癒されます。史跡だけでなく古寺も多いので寺廻りも楽しめるようでいろいろな楽しみ方ができる街です。坂本龍馬も風のように去っていった街ですが雰囲気があります。
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