授乳中の便秘と頭痛:頭痛を伴う授乳中の産後の便秘の予防

と治し方

授乳中の期間、頭痛と便秘で悩まされるお母さんはとても多いです。頭痛には、緊張型頭痛と偏頭痛の2種類がありますが、産後の授乳中では、いずれの頭痛も起きやすく、また便秘も合併していることが多いです。授乳中の頭痛と便秘は、母乳を与えている場合及び育児用ミルクを与えている場合のいずれにおいても生じる不快な症状です。授乳中に頭痛が生じる原因と便秘が生じる原因には共通点がみられるために、授乳中の期間、頭痛と便秘が合併してしまうのです。授乳中の期間は、通常、1年から1年半くらいですので、比較的長期にわたり頭痛と便秘に悩まされることとなります。とはいえ、授乳中の頭痛と便秘の原因に共通点がありますので、その点を改善すれば、頭痛と便秘の両者を同時に改善することができます。授乳中の頭痛と便秘対策には、適格でかつ積極的な取り組みが必要となります。ここでは、「授乳中の便秘と頭痛:頭痛を伴う授乳中の産後の便秘の予防と治し方」についてお話します。

 

授乳中の頭痛

授乳中の頭痛には、緊張型頭痛と偏頭痛の2種類があります。緊張型頭痛は、頭痛、首、肩の筋肉が緊張し(筋肉が硬くなること)、血流が悪くなることで頭部の神経が刺激されて起こります。偏頭痛は、脳内の血管が拡張することによって生じます。授乳中に生じる頭痛は、そのいずれか又は両者となります。緊張型頭痛と偏頭痛は、それぞれ異なるメカニズムで発症しますが、その対処法は共通するものと異なるものとがあります。

 

授乳中の緊張型頭痛及び偏頭痛に共通した原因として、「肩こり」、「睡眠不足」、「ストレス」の3つが上げられます。産後は、赤ちゃんを抱っこすることが多くなります。授乳中の姿勢も抱っこした状態で行われますが、「抱っこ」は、お母さんの肩や腕に赤ちゃんの重さで負担がかかります。特に、授乳中の姿勢では、赤ちゃんの頭部がお母さんの心臓の位置にあたるため、お母さんの心臓には負担がかかることになります。そのため、お母さんの全身的な血流に加えて、首、肩、腕の血液の循環が特に悪くなり、肩こりや腱鞘炎が生じます。このような授乳による首や肩の血流の悪化は、緊張型頭痛あるいは偏頭痛の原因となります。

 

睡眠不足及びストレスの負荷も、緊張型頭痛や偏頭痛の原因となります。出産後、お母さんは、授乳のために睡眠不足となります。新生児から生後2か月の間は、30分~1時間おきで1日10回~20回程度の授乳が必要となり、生後3~4か月では母乳育児で1日8回、人工ミルクであれば1日5~6回程度の1日あたり3~4時間おきの授乳となります。生後5~6か月でも、授乳間隔は4時間おきで、1日5~6回の授乳が必要となります。授乳は、昼夜を問いませんので、お母さんは、授乳期間中、睡眠不足な状態となります。睡眠不足による疲労の蓄積は、緊張型頭痛及び偏頭痛の原因となります。赤ちゃんの誕生はとてもうれしいのですが、その一方で、慣れない育児に不安を感じ、精神的に疲れてしまうことがあります。また、育児のみならず、子を通じた家事や家族の人たちとの意思・意見対立や意思疎通の不具合など、育児による身体的な疲れに加え、周囲の環境的な精神的ストレスも加わります。このような身体的・精神的、複合的なストレスは、頭痛の原因となります。

 

このように、肩こり、睡眠不足及びストレスは、緊張型頭痛及び偏頭痛の共通した原因となります。それに加え、偏頭痛は、出産後のホルモンバランスの変化によっても生じます。出産後、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が減少しますが、同時にセロトニンとよばれる神経伝達物質の分泌も減少します。セロトニンは、血管を収縮させる作用がありますが、この分泌が出産後減ることによって血管が拡張し、そのために偏頭痛が生じます。

 

緊張型頭痛も他の原因で生じます。その主な原因は、骨盤の歪み、授乳による水分不足及び貧血です。長い妊娠期間中には骨盤が歪んでしまいますが、骨盤の歪みは、上半身の血流を悪化させるために、それが原因となって頭痛が生じます。出産後のお母さんは、体内水分量が不足傾向にあります。母乳育児のお母さんは、授乳により自らの体液水分が失われます。人工ミルクによる育児を行っているお母さんも、乳が張り、乳腺炎の予防のために、時には乳汁を排泄させなければならず、そのため体内水分量が減少傾向にあります。体内の水分量が減少しますと、新陳代謝や血流が悪化し、そのため頭痛が生じます。授乳は、体内水分量の低下を招き、頭痛の原因となります。貧血もまた頭痛の原因となります。出産時には、比較的多量の出血を伴い、また授乳を通じてお母さんの血液中の鉄分が赤ちゃんに送られるために、産後のお母さんは、鉄欠乏性貧血になりやすい状態となります。貧血は、頭痛のみならず、めまいの原因ともなります。

 

授乳中の頭痛には、緊張型頭痛と偏頭痛とがあり、それぞれ共通した原因及び各頭痛に特異的な原因がありますが、それらの原因のほぼ全てが、便秘が引き起こされる原因ともなります。授乳中の便秘の原因につきましては、後で述べます。

 

授乳中の頭痛薬

授乳中の頭痛は、頭痛薬で早く治したいというお母さんもきっと多いことと思われますが、授乳中のお薬は、赤ちゃんへの影響も考えなければなりません。頭痛薬を飲みますと、その主成分であるアセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソニンなどは、お母さんの体内に吸収され、血液中に移行します。母乳は、血液中の水分と栄養成分から作られますが、その血液の中に頭痛薬の主成分がありますと、母乳の中に頭痛薬の成分が混じってしまいます。これをお薬の授乳中移行あるいは乳汁中排泄といいます。一般に、乳汁中のお薬の濃度は、血液中の濃度よりも高くなります。これは、血液から乳汁にお薬の成分が移行する際、お薬の成分が濃縮されてしまうため、乳汁中のお薬の濃度が高くなってしまうのです。頭痛薬の主成分が混じった母乳を赤ちゃんが飲みますと、その成分が赤ちゃんの体内に吸収されてしまい、お薬が赤ちゃんに作用してしまうこととなります。つまり、赤ちゃんは、間接的にお薬を飲んだ状態と同じになり、化学成分の体内暴露が生じることになります。頭痛薬の赤ちゃんに対する安全性は、どんなタイプの頭痛薬についても確立されていません。これは、頭痛薬に限らずお薬全般に言えることなのですが、赤ちゃんに対するお薬の安全性についての臨床評価法が未だに存在しないためです。したがいまして、基本的に授乳中の頭痛薬は、避けるべきでしょう。授乳中に飲んでよい頭痛薬など存在しません。授乳中の頭痛は、頭痛薬に頼らず、まずは頭痛の原因となる要因に対処することが大切です。

 

授乳中の便秘

妊娠中のみならず産後の授乳中でも便秘で悩むお母さんはたくさんおられます。妊娠後期、出産、産後は、お母さんの体の機能が大きく変化し、便秘もまた生じやすい時期となります。産後の育児の大変さに加え、頭痛や便秘でもお母さん自身が体調を崩しやすくなります。

 

便秘は、主に3つのタイプに区分されます。便秘が起こる原因は1つではなく、大きく3つの原因で便秘が起こるということになります。3つの便秘とは、弛緩性便秘、痙攣性便秘及び直腸性便秘です。弛緩性便秘とは、運動不足や骨盤底筋群などの筋力が衰えることによって、便を肛門の方へ移動させる大腸の筋肉が縮むことで生じる便秘のことをいいます。弛緩性便秘は、大腸の筋肉の運動が低下することにより生じる便秘のことを意味することになります。痙攣性便秘とは、寝不足やストレスが原因となって自律神経が乱れ、大腸の運動が激しく動くことで生じる便秘のことをいいます。大腸の動き・運動は、少なくても多くても、便秘の原因となるのです。直腸性便秘は、帝王切開、会陰切開あるいは痔があるために、トイレでの排便時にうまくいきむことができず、排便が不十分なために便が硬くなり、それが原因で便秘になることをいいます。一般に女性に多い便秘は、このような3つのタイプに区分されますが、産後の授乳中は、これら3つの便秘の原因が全て当てはまるために、高頻度で便秘が起こるのです。授乳中は、まさに便秘が起きやすい状況にあるといえます。これに加え、授乳中は、お母さんの体内の水分量が不足するために、なお一層、便が硬くなり、便秘が生じてしまうのです。

 

授乳中の便秘の主要な原因に、赤ちゃんの哺乳行為があります。授乳は、赤ちゃんの月齢に合わせて行われます。新生児の場合、一般に2~3時間おきに授乳が行われます。5か月齢以降の離乳食開始前では、3~4時間おきに1日8回程度、離乳食開始後では、4時間おきに1日6回程度、授乳が行われます。また、3回食開始後では、食後の3回に加え、就寝前、夜中の計5~6回の授乳が行われます。他方、赤ちゃんが飲む母乳の量(哺乳量)は、生後2週間で500 mL、生後1か月で650 mLといわれています。生後3か月齢以上では、1日あたり1リットル以上の母乳を飲むといわれています。

 

乳汁は、お母さんの血液から作られます。したがって、授乳期間中は、お母さんの血液中の水分が、絶えず失われていることになります。赤ちゃんが母乳を1日あたり1リットル飲んだ場合、その乳汁の量は、血液量に換算して約2リットルに相当します。つまり、お母さんは、毎日、2リットルの献血を行っているのと同じ状況となります。

 

このように授乳によって血液中の水分が失われますと、それを補おうとして、大腸からの水分吸収が高まります。そのため、大腸内の便は水分を失い硬くなってしまい、それが原因で便秘となるのです。授乳による便秘は、このようなメカニズムで発症します。

 

授乳中の便秘薬の服用も、頭痛薬と同様に禁忌です。薬局やドラッグストアなどで販売されている刺激性下剤の便秘薬(コーラックや漢方便秘薬など)は、お母さんの体内に吸収され、乳汁中に移行し、授乳によって赤ちゃんが便秘薬を摂取することになります。そのため、授乳中に便秘薬を服用しますと、赤ちゃんが下痢を起こしてしまい、脱水症状と栄養障害が生じる危険性があります。また、酸化マグネシウムは、高マグネシウム血症による死亡例が当局から報告されていますので、授乳中の便秘対策には適しておりません。授乳中の便秘薬の使用には、厳しい制限と制約があるのです。

 

授乳中の頭痛と便秘

授乳中に偏頭痛と便秘とが、同時に発症することがあります。偏頭痛は脳内の血管が拡張することによって発症しますが、この血管の拡張に関与しているのが自律神経です。育児疲れや睡眠不足などで自律神経が乱れますと脳内の血管が拡張し偏頭痛が生じます。他方、自律神経には腸管の運動をコントロールする働きもあります。自律神経が乱れますと、腸の蠕動運動に影響を及ぼし、排便がうまくいかなくなり便秘が生じます。授乳中に偏頭痛と便秘が同時に発症するのは、このような自律神経系の乱れによるものです。

 

便秘になりますと、アンモニア、硫化化合物、スカトールやインドールなどの尿毒症の原因となる毒素成分が生成します。これらの毒素成分は、大腸から体内に吸収され、血液循環を経由して首や肩などの筋肉内に移行します。毒素成分は、血管の血流を低下させる作用があり、それによって頭痛が生じます。このように、授乳中の頭痛は、便秘が原因となることがあります。よって、腸内環境を整え、便秘を改善させることによって、授乳中の頭痛の症状が緩和されます。

 

授乳中の頭痛と便秘の対処法

一般に、授乳婦さんがお薬を服用する場合、多くの医薬品において、原則服用禁止となっています。これは、母乳を介して赤ちゃんがそのお薬を服用するのと同じ状態となりますが、赤ちゃんに対するそのお薬の安全性が評価できないためです。授乳中の頭痛及び授乳中の便秘に関しましても、原則、頭痛薬や便秘薬は使用することができません。ですので、お薬に頼らない対処法が求められることとなります。

 

授乳中の頭痛と便秘は、ほぼその原因が類似していますので、両者に共通する対処法で、頭痛と便秘が同時に解消されます。授乳中の偏頭痛では、安静にし体を休め、首の後ろを濡れタオルで冷やすことで痛みが抑えられます。お茶やコーヒーにはカフェインが含まれますが、カフェインには血管を収縮させる作用がありますので、偏頭痛に効果的です。授乳中に生じる緊張型頭痛に関しましては、①後頭部、首、肩に温めたタオルで温める、②適度な運動、③骨盤の歪みの矯正、等で症状が緩和します。

 

授乳中の便秘は、頭痛の原因にもなりますので、積極的な対処法が求められます。授乳中の便秘に有効なのは、野菜類や根菜類に含まれる天然の食物繊維で、イヌリン食物繊維とよばれる水溶性食物繊維です。授乳中は、特にお母さんの体液水分量の低下によって硬い便となり便秘が生じますが、イヌリン食物繊維は、硬くなった便を適度に軟らかくする効果に優れていますので、授乳中の便秘対策に最も効果的に働きます。また、便秘薬とは異なり、イヌリン食物繊維は、体内で全く吸収されることがなく、授乳中の赤ちゃんにとっても安全であるメリットがあります。

 

ゴボウ、タマネギ、アスパラ、ニンニクなどに含まれるイヌリン食物繊維は、大腸粘膜を刺激することなく便通を改善させます。イヌリン食物繊維は、大腸に生息する乳酸菌やビフィズス菌の特異的な栄養源となり、これらの善玉菌を増やします。善玉菌には、排便に必要な便の量を増やす効果と硬くなった便を軟らかくする効果がありますので、イヌリン食物繊維の摂取によって腸内環境が改善されるのと同時に便秘も解消されます。イヌリン食物繊維は、大腸菌やクロストリジウム菌などの悪玉菌に対しては栄養源とはならず、それらの悪玉菌を増やす作用はないので、腸内環境の改善に優れた効果を発揮します。腸内環境の改善は、単に便秘の改善のみならず、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患の予防にもつながります。とはいえ、野菜類や根菜類に含まれるイヌリン食物繊維の含有量はとても少ないので、これらの食材の摂取だけでは、十分な効果が期待できない欠点がありました。しかし、今では、スティムフローラのように、不純物を全く含まない極めて高純度のイヌリン食物繊維が、健康補助食品として市販されていますので、授乳中の便秘の改善と予防に、このような健康補助食品を活用するのも有用です。また、安全性の側面から、産後の便秘のみならず、妊娠中に生じる便秘に対しても、イヌリン食物繊維を活用することができます。

 

授乳中の頭痛や便秘はとても辛いです。でも、赤ちゃんへの安全性を考慮し、頭痛薬や便秘薬に頼らない対処法が求められます。適切な対処法で頭痛や便秘の症状を緩和させることができます。特に、授乳中の頭痛の原因ともなる便秘は、優先的かつ積極的に対処する必要があります。授乳中の頭痛や便秘を改善させ、育児に専念したいものです。

 

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