生まれた長男は昼寝もほとんどせず、抱っこをしないとずっと「オゲー」と泣きわめく子だった。
他のアパートの住人の迷惑になるからと常にあやしている状態で、毎日毎日気が休まる時がなかった。
地方へ引っ越してきたため誰も知り合いがいない。
1日中ずっと閉鎖された部屋で長男と2人っきり・・・。
会話ができる人はいない。
そんな中で唯一、人として会話が出来るのが「夫」であると思っていた。
まだ、その頃は普通の「夫」だと思っていたから・・・。
『早く帰って来て欲しい。』
『少し自分のペースでやりたいから、子供の面倒を見て欲しい。』
『私の話を聞いて欲しい。』
こう望むのはいけない事だったのだろうか?
人間らしい会話、コミュニケーションが欲しかっただけなのに?
ゆっくりトイレやお風呂に入りたかっただけなのに?
少し落ち着いて食事したかっただけなのに?
それは望んではいけない事?
けれど、そんな状況を理解するどころか
「オレだってこれでも一生懸命早く帰ってきてるんですけど。」
と、口を尖らせて言う異界の住人。
そして、
「君が早く帰って来いって言うから長時間残業できない!おかげで給料が上がらない。」
と言う。
ちなみに、異界の住人は残業代をあまり付けない。
みんなが残業を付けると会社が危なくなるとかそんな理由を言っていた。
なので帰りが遅くなっても、ほとんどサービス残業だった。
「長時間残業したら、お給料上がるの?」
「当たり前だろ!残業すれば仕事がはかどる。
やるべき仕事が早く終わるから評価が上がる。そうすれば給料も上がるだろ!」
つまり、私が
「早く帰ってきて」
と言うせいで自分の給料が上がらない・少ないんだと言っていたのだ。
遅くなるのは仕事でだけじゃない。
飲み会と言ってはその日の夕方に急に連絡して来る事もある。
「飲み会だって仕事のうちなんだ。
君にはわからないだろうけどサラリーマンには必要なの!
人間関係を良くするために必要なの!
なのに文句言われても困るんだよ。
こっちだって好きで行ってるわけじゃあないんだ!
君にはわからないだろうけどね!」
なぜ給料が少ないのが私のせいにされるの?
「早く帰って来て」
と言わなかったら、一体どれ程たくさん給料が上がるの?
その確証はどこにあるの?
結局、「早く帰って来て」と望まなくても、特別お給料は変わらなかったでしょう?
なぜ、子供の世話で大変な思いをしながら夕飯の支度をしているとわかっているのに、間際になって平気でドタキャンができるの?
なぜ、ドタキャンは仕方がない事だと正当化するの?
そして、なぜこっちが悪い事になるの?
別に
「飲みに行くな」
と言っている訳じゃないのに。
ただ、ドタキャンをしたり子供の世話をその日は見れないのなら、
「何か言う事があるでしょう?」
と言いたいだけ。
「急に飲み会に行かなくちゃいけなくなった。ごめん。」
とか・・・。
その、「ごめん」と言う気持ちがない事が問題なのに。
「当然の事をして何が悪い。」
と言う態度だから怒っているのに・・・。
あなたの子供でもあるのに、責任を丸投げして気遣いの言葉もない。
独身時代と同じ頻度で飲みに行かないと他の人達と良い関係が築けないってどういう事だろう。
普段の仕事でコミュニケーションを取っていれば、子供が小さい・お金が足りないなどで行く回数が多少減ったからといって、別に悪い関係になる訳ではないと思うのだけれど。
今思えば、普段上手くコミュニケーションをとる事が出来ないため、飲み会でお酒の力を借りて関係を築いていたのではないだろうか。
そして、
「習慣を変える事が苦手」
と言う特性から、独身時代からの
「飲み会にはきちんと参加」
と言う習慣を変える事が出来なかったのではないだろうか。
「結婚した・子供が生まれた」
と環境が変わっても、柔軟に自分を変化させ対応できない異界の住人。
自分の習慣を変えようとする相手は
「悪」
という気持ちだから、大変な状況にいる私を攻撃して平気な顔をしていられるのだろう。
オレの習慣を邪魔するな!変えようとするな!
そのためには、
密室で誰とも話さず、手のかかる小さな子供と一日を過ごすのは当たり前。
ドタキャンで私と子供のスケジュールが崩れても異界の住人に合わせるのは当たり前。
ワンオペ状態の妻が、普通に願う事
「早く帰って来て。」
たったこれだけの事すら願ってはいけない。
本当に大変な時にそういう言動をされた記憶は消えない。
ずっとずっと嫌な記憶として残っている。
出来る出来ないじゃなく、
<出来ないながらも相手を思う気持ちがあったかどうか。>
これが大切。
「早く帰って来て。」
と望まれているうちが華だったんだよ。それなのに・・・。
うん。もういいよ。
どうぞお出かけください。
ゆっくりお過ごしください。
早くなんか絶対帰って来ないでください。
なんなら、会社に住み込んでも構いませんから。