IIIが微妙だっただけに、あまり買う気は起きなかったのであるが、それでも流石にそうはいかないだろうと思い結局購入。
タイトルがタイトルなだけに、すでにあらゆる場所でレビューが行われているので、詳しい内容に関してはそちらを参照していただければいいかと思うが、まだIしか終えていないものの、正直かなり不満の出来る作りだった。これが初プレイであれば許容範囲なのであろうが、少なくともリアル世代にとっては別ゲームをプレイしているのと同じだった。
オリジナルのファミコン版Iの目的と言えば、最終的にはあまぐものつえとたいようのいし、そしてロトのしるしを入手し、聖なる祠でにじのしずくを作ってもらい、橋を架けて竜王を倒すのみである。つまり、後のイベントは別に通らなくてもクリア自体は出来る訳だ。もちろん、前述のアイテムを入手するためにカギやぎんのたてごとを入手するのは必須とはいえ、基本的にフラグ管理は一部のみであり、基本的にはアイテム入手が殆どであると言っていい。
これはもちろん、ふっかつのじゅもんによるパスワード制を取っているためであり、複雑なフラグ管理が不可能だったための処置である。もちろん、最初からノーヒントでプレイする場合は、全て手探りであり、当然ロトのしるしの場所も分かるはずもないので、初見プレイではおうじょのあいを使わないとクリアは極めて困難である。
しかし、2週目プレイなどであれば、余計な個所は飛ばしてプレイ出来るし、王女を助け出す必要もない。さらに、レベルさえ上げればロトの装備を使わずともクリアは可能である。もちろん難易度は跳ね上がるが、不可能ではない。つまり、今でいうオープンワールド的な造りが、ドラクエIの最大の魅力なのだ。
もちろん、それだけではすぐに終わってしまうので、その代わりに経験値稼ぎがかなり厳しくなっている。さらに、1対1、しかも先制攻撃を除けば必ずこちらからの攻撃となるので、単純な肉弾戦になりがちだ。しかし、レベルを上げれば目に見えて強くなっているのが分かるし、さらにどの敵もこちらのレベルに対応して逃げ出すようになるので、戦術は単純になりがちでも十分RPGの自身が強くなっていく楽しさを理解する事が出来たのだ。
さらに、ファミコン版のドラクエはこの辺りのゲームバランスが極めて秀逸だった。他のドラクエフォロワーなどは、ここら辺のバランスが悪いものが多く、覚えている限りではハドソンの「桃太郎伝説」や、PCEの「邪聖剣ネクロマンサー」などはかなり極端なバランスに仕上がっていたかと思う。
流石に、SFCのリメイク版では経験値が大幅に緩和され、イベントもほぼオリジナル通りだったので、リアル世代はものの数時間でプレイする事が出来た。それでも、ドラクエIの面白さは何も損なわれていなかったのである。ただ、スマホ版をベースにしたPS4・Switch版はやっつけ仕事としか言いようがないのであるが。
なので、このHD版もそのつもりでプレイしてしまっただけに、正直かなり面食らったものだった。上記の通り、自由度がドラクエI最大の魅力だっただけに、イベント通りに進まなければストーリー進行されないのは戸惑ったものだ。さらに、それに伴うボイス付きの小芝居が極めて苦痛だった。PCEのイースI・IIや、天外魔境の頃ならそれが売りになったものだが、正直このリメイクにボイスは必要なのだろうか?
FFシリーズのようにリアルキャラがドアップでしゃべるのならまだ分かる、しかし、そのままの縮尺で声だけ出るというのはどうにも足かせにしか思えない。しかも、ウィザードリィの影響を強く受けた初期ドラクエは、グラフィックがショボい分想像力を働かせ、まさにプレイヤーを自身として見れたのに、戦闘までもボイスがついては想像力も何もない、ただ自分の名前がついた第3者を操っているだけである。
いずれも今の時代にはそぐわないのは間違いないのであるが、やはりグラフィックと音楽が豪華になっただけのリメイクを期待すると面食らう。それに加えて、多勢に無勢の戦闘、しかもこちらはドラクエIVのライアンなどとは異なり、NPCもいないのである。途中、ボス戦で5対1でボコボコにされた際には流石にもうやってられなくなり、モードを楽ちんにしたものである。
それでも簡単にやられたのであるが、何故か死なない。そう、なんとHP1のまま絶対に死なない無敵モード、つまりは公式チートが存在していたのである。前作IIIでは意地でもバッチリでプレイしていたので、無敵の存在を知らなかったのだ。
流石にもうRPGに何十時間もかけていられるほど余裕も体力も時間もないので、最後までそれで押し切った。当然、あり得ないほどのダメージを喰らいまくってのエンディングである。これを正攻法でクリアした人は本当凄いと思う。
その後、IIを初めてまだ途中なのであるが、こちらは今の所はまだIに比べればまだマシである。しかし、相変わらず小芝居がうざいので、ストーリーも読まずに飛ばしまくりである。
スタッフもリアル世代は少ないだろうし、これが令和のドラクエと言われればそうなのか、と思うしかない。ただ、それでもドラクエIの完全にバランス崩壊した戦闘だけは何とかして欲しかったものである。




