アーケードスティックのお話・その55 Nacon Daija for PS5 | ONCE IN A LIFETIME

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フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

日本未発売だった初代Daijaであったが、最新版のPS5版は遂に日本版が正式発売となった。しかし、日本のゲーマー間ではQanbaなどが圧倒的な人気を誇り、わざわざ個人輸入をしてまでDaijaを買った人は極めて少なかったはずである。海外の大会でもDaijaは人気があるとは言えないようであり、少なくとも私の知る限り映像で見かけた事はほとんどない。海外の著名なゲーマーが監修したにも関わらず、である。

 

正直、ここ数年あまりでPS5版のアケコンも充実してきており、特にQanbaのObsidian2が極めて高い完成度を誇っているので、正直PS6が出るまではこれ1台で戦えるほどのクオリティと言っていい。圧倒的な剛性感と高級感、そして机でも膝置きでも抜群のやりやすさを誇っており、歴代最高級のアケコンと言っていいほどである。それ以外にも所有欲を満たせてくれるVictrixや、我らが日本が誇るHORIのファイティングスティックαなど、すでに評価も高いとは言えなかったDaijaをあえて買う必要はないと言っていい。

 

しかし、さすがに長年アケコンを使用してきた私、実際に使用してみないと良し悪しが分からないのも確かである。そして、この手の高級アケコンは、初回を逃してしまうといつ次回入手出来るかも分からない。と言う訳で、4万強を支払って発売日に買ってみた。

 


見た目的には前作とほぼ同じであり、コンセプトとしては初代Pantheraそのもので巨大な弁当箱のような感じだ。開閉機構は左右のボタンを押すようになっており、簡単に開けれる事が出来る。この場合、構造上どうしても厚みが必要なためか、底面からの高さも初代Pantheraとほぼ同じであり、一般的ゲーミングデスクの上だと他社モデルよりも明らかに高めに来るため、それに慣れているとやりづらいと言わざるを得ない。

 


そして、初代Pantheraと言えば内部の底面がハニカム構造となっており、これが静穏性に一役買っていると言われた。しかし、このDaijaに関してはそのような工夫はされていないため、静穏性には期待していなかったものの、なかなかどうしていい感じである。天板の厚みや内部の空間によって、同じ三和レバーを使用しても使用感に差が出てくるのがアケコンであるが、感触としてはこちらも旧Pantheraに近い感じで非常に好みだ。天面と底面がそこそこ厚く、内部スペースもギリギリまで狭くしているのがその要因だろう。なので、レバーとボタンの感触に関しては全く問題ないと言っていい。



また、ボタンには旧マッドキャッツのTE2のようにリングが付いており、天板より少し浮いているのだが、これはアートワークを簡単に変えられるための仕様である。そして、下部は傾斜がついておらず、その代わりにプラスチックの滑り止めが施されているが、こちらがなかなか効果的であり、膝置き時に抜群の効果を果たしてくれている。

 

そして、ある意味最大の特徴と言えるのが、右側面に配置されたPSボタン以外ほぼ全てのボタンだろう。側面ボタンと言えばHORIのRAPVやファイティングエッジ刃であったが、非常にやり辛かったので個人的には好きではなかった。初代Obsidianなどもタッチパッドが側面だったが、2では改善されたように、今日のほぼ全てのモデルは天面が当たり前となっている。

 

なので、懐古仕様となったこのDaijaには驚きであり、正直この点がネックとなっている人が多いだろう。実際、私もそうであったのであるが、実際に使ってみるとなかなかどうしてやりやすい。ボタンを被せた状態から少し右にずらすだけで、小指がオプション、薬指がタッチパッドに自然に触れるようになっており、非常に効率的にボタンを押す事が出来るのだ。

 

旧Pantheraも、オプションとシェアボタンが右側面についていたが、Daijaの位置の方が圧倒的に使いやすい。ファイティングスティックやObsidian2は結構手を移動させないとならないので、この使い勝手の良さは癖になる勢いである。



前作ではあったと言われる遅延なども、私が格ゲーやシューティングをプレイした際にはほぼ気になる部分はなかった。膝置きに特化したモデルと割り切れば、これはかなり良い製品だ。迷っているのが値段だけだったら、買ってもまず損はしないかと思う。