円安の効果もあってインバウンドが爆上がりの現在、やはりと言うか話題に登ってきたのが日本では英語が通じない問題である。この手の話題が挙がる度、「日本に来るなら日本語勉強しろ」と言う意見で大荒れになるのであるが、当然この手の意見はナンセンス極まりないというか、頭が悪い事この上ない。
まずこの手の人間で勘違いしているのは、英語圏の人間のみが英語を押し付けている、と言う盛大なる勘違いである。世界の人口は80億人ぐらいだと思うのだが、その中で英語ネイティブ、英語がファーストランゲージの英語母国語者と言うのはたった4億人程度のはずである。で、インバウンドにおける英語話者が全てこの4億人の中から来ているのか、と聞かれたらそんな訳あるはずがない。
そして、日本はどのネイティブ英語国からしても距離的には遠い位置にあり、そして当然アジア各国からの旅行者の方が圧倒的に多い訳である。さらに、アジアの言語と言うのは欧州のそれと比べると、言語間的に遠い距離にあるものがほとんどなため、短期間の旅行のために行先の言語を覚えるというのは非常にコスパが悪いのである。その部分を全て補完してくれるのが、世界共通のリンガ・フランカである英語なのである。
つまり、非英語圏のタイやインドネシアからの旅行客も、日本に来る際は共通語の英語を使う以外はないのである。当然逆のパターン、つまり日本人がそちらの国に行く際にも、短期の旅行で意味不明なタイ語などを覚える余裕もないわけであり、となると当然英語をメインとして使わざるを得ないのである。
なので、日本に来るなら~と言っている輩はナンセンスとしかい言いようがない訳なのだが、この辺りの事情は一度でも海外へ行った事のある人間であれば嫌でも分かる事柄なので、おそらく日本から一歩も出た事がない連中がほとんどなのだろう。まあ、日本人のパスポート取得率20パーセントが本当なら、日本人の半数以上は未渡航なはずであり、それを考えたらやむを得ないのかも知れない。