スーパーファミコンを愛す・その18 | ONCE IN A LIFETIME

ONCE IN A LIFETIME

フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

当時はSFCの新品などは滅多に買う事もなかったので、スーパーストIIの次は早くも年末の風物詩であったファイプロの新作、そして1994年度は「スーパーファイヤープロレスリングスペシャル」であった。前作が「ファイナルバウト」の冠を頂いていたにも関わらずの続編である。このあたりはいかにもプロレスゲームの代名詞と言った感じだ。

 

今作では当時のSFC史上最高であった32メガビットROMを使用し、これまでの3サイズに加えてベイダーやビガロを再現したLLサイズが追加された。この時代はまだコスチュームも基本的にサイズ次第であったため、LLサイズの場合はいかなる場合でもベイダーやオブライトのようにショルダータイツとなってしまう。そして、モーションもさらに増え、紙芝居のようだった初代と比べるとまるで格ゲーのように滑らかに動いてくれる。もちろん、エディットもさらにパワーアップし、全てのサイズで全ての技が使用出来るようにもなっている。さらに、高解像度モードを使用しており、文字が非常に綺麗かつ漢字も基本的なものは一通り使えるという豪華仕様だ。

 

ただ、それまでの定番だった勝ち抜き戦が排除されており、エディットの技を増やすためにはひたすらシングルマッチを淡々と繰り返して戦歴を溜めていくだけとなっている。その代わりかは知らないが、ファイプロとしては初めてのストーリーモードが追加されており、これをクリアすると色々な隠しレスラーを使用することが出来る。ストーリーはかの斎藤文彦氏監修と言う事であるが、基本的にそれまでのプロレス史を踏襲している部分がほとんどなため、ファンにはニヤリとしてしまう部分も多いだろう。特に、同年春に1億円トーナメントで業界を賑わせた、UWFインターナショナルの宮戸と安生が完全なヒール役として登場している部分などは思いっきり皮肉である。

 

また、当時はヒクソン・グレイシーが有名になりつつあった頃であり、当時は何でもありとか、バーリ・トゥードとか呼ばれたMMAが人気を博していたので、それ用の技も大幅に追加された。ほとんどが打撃系であるが、当然ダメージも大きく、一般的なレスラーよりも有利な事が多かったため、プロレスゲームとしては微妙な感じになってしまう。

 

ただ、ゲームとしてはCPUルーティンにバグがある程度で、全体的な出来としては非常に良く、これも相当長い間プレイしたものである。と言うか、この当時のSFC本体はほとんどストIIとファイプロ専用機と化していたものだ。

 

そして、この1994年の年末と言うのは、いわゆる次世代機と呼ばれていた32ビット機がこぞって登場した時でもあった。まあ、実際はPC-FXが早々と脱落したため、実質PSとSSの一騎打ちみたいな感じであったのだが、私はこの当時アーケードはほぼ引退しており、移植ゲームに対する執着心もなかったので、いずれのハードも買う事はなかったのだ。なので、相変わらず家ではSFC、PCE、そしてMDをひたすらプレイしていったものである。