今更語るまでもないが、ファミコン版IIはアーケードのそれとは完全に別物ながら、非常に完成度が高く、ユーザーの評価も極めて高い名作中の名作である。それだけにユーザーも手放す事がなく、よって当時の中古市場にもなかなか流れてはいなかったのであるが、ブルートにひとつだけ在庫があった時に購入する事ができた。あいにく、銀色の美しいパッケージはボロボロであり、マニュアルもなかったが、ゲームが買えただけでも十分だった。
ただ、この当時私は長らくシューティングから離れており、またグラディウスのような死んで覚えるタイプのゲームはほとんど未経験だった事もあって、最初は非常に難しく、1面クリアするのも苦労したものである。1面はアーケード版と同じく人工太陽なのであるが、後半は沙羅曼蛇3面のようにプロミネンスが噴いており、これを避ける事がとても難しかった。しかも、ファミコン版IIは自機の当たり判定が異様に大きいのもそれに拍車をかけていった。
1面クリアするのもやっとだったのだから、その後の面についても言わずもがなである。しかし、それでも死にながら着実にパターンを覚えていき、日に日に先に進む事が出来た。つまり、グラIIは単なる難しいゲームではなく、それ以上に初心者をも惹きつけるだけの魅力があったという事である。その理由のひとつは、やはりなんと言ってもファミコンの限界を超えたかのようなグラフィックである。
その弊害として、さすがにチラつきは尋常ではなかったものの、圧倒的なグラフィックの前においてはそんなものは些細な問題であった。そんなグラIIの魅力に取り憑かれた私は、1ヶ月ほど要したものの、ようやく1周クリアを達成する事が出来た。RPGのようにネタバレがあれば誰でもクリア出来る訳ではないだけに、喜びもひとしおだったものである。
その流れで、ファミコン版沙羅曼蛇もプレイして行った。こちらはグラIIより1年以上前のゲームだけあって、さすがに見劣りは否めず、正直あまり夢中にもなれなかったものの、グラIIで慣れただけあってほとんど苦労もせずに1周はクリアする事が出来た。ほぼ同時期にファミコン版「パロディウスだ!」も発売されたのだが、こちらを実際にプレイしたのはゲームボーイ版よりも後の話、つまり翌年の事である。
この辺りからコナミが好きになってきた私は、「女神転生」をクラスメイトに貸した際、その見返りとして「悪魔城伝説」を貸してもらった。「リンクの冒険」以降、アクションゲームに苦手意識がついていた私にとっては得意なジャンルではなく、当然クリアもしていないのであるが、VRC6のグラフィックと拡張音源には度肝を抜かれたものだった。特に、今なお名曲とされる「BEGINNING」や、時計塔の「CLOCKTOWER」などはサウンドテストで聴き惚れていったものだ。
そして、世の中的には遂にスーパーファミコンの発売を迎え、当然ゲーム雑誌はそれ一色に近くなったものである。しかし、初回出荷台数はわずか30万台程度ほど、またまだ学生だった事もありそこまでの金も用意出来ない事もあって、発売日に買える訳もなかった。まあ、後方互換性もなく、まだソフト数本のために新ハードを買う気にもなれなかったのも確かであるが、という訳でSFC発売以降もまだまだファミコンは現役だったのである。