世界一有名と言われる高田馬場ゲームセンターミカド、もちろんこれまで何度も足を運んでいるものの、そこに行く途中の曲がり角にあるナツゲーミカドにはこれまで行った事がなかったので、今日初めて足を運んできた。大型筐体中心だった秋葉原のセガとは異なり、こちらはテーブルも充実しているが、そのラインナップは凄いの一言。
おそらく公式サイトに出ているはずなので、ここでの紹介は省くものの、ほとんどのゲームが当時のテーブル筐体、そしてオリジナルのアップライト筐体が存在するものはそのまま設置と、まさにここだけ1980年代前半にタイムスリップしたかのような空間である。その中で特に目を引いたのが、1982年にアイレムが発売した「ムーンパトロール」である。
当時の代表作のひとつである事は間違いないが、さすがに「ゼビウス」や「パックマン」のように今でも誰でも知っているような伝説的な作品という訳でもない。それが何故、かと言えば何を隠そう私が初めてプレイしたビデオゲームだからである。忘れもしない小学生1年当時、近所のユニーの屋上のプレイランドでプレイしたのがそれであったのだが、当然当時の100円と言えば超大金であり、そうそう何度もプレイ出来るものではなかった。
結局、それっきりで終わってしまったのであるが、インストカードなど読んでいるはずもないので、長らくゲームタイトルは不明のままだった。ようやく知ったのは、1991年発売のザ・ベストゲームにおいてであり、同年「ファミコン通信」における「アーケードマニアック」において、渋谷洋一氏によってさらに詳しく解説がなされて確定した。
しかし、日進月歩のゲーム業界、まだ原色中心の1980年代前半のゲームなどすでに置いているはずもなかった。当時でも新宿や渋谷にレトロゲームが多く置かれているゲーセンはあったものの、それらを売りにしているゲーセンでさえ見かける事は一切なかったのである。しかも、ファミコン以降の家庭用機には一切移植もされていない。という訳で、初プレイ以来長らくプレイする事は叶わなかったのだ。
そんなゲームが2018年3月、突如としてアーケードアーカイブスにてリリースされた。エミュレータベースのこのシリーズにおいて、とうとう完全な形としてプレイ出来るようになったのである。しかし、環境そのものは当時とは程遠い。レトロゲームをプレイする上でどうしても消すことの出来ない虚しさがここである。
という訳で、今回遂に長年の夢が叶った訳である。当時、まさか次にプレイする時はこんな先の未来の話になるとかまるで想像もつかない事であったが、さすがに感慨深いものがあった。当然、当時のゲームは容赦無くプレイヤーを殺しにかかってくるので、割とあっさりと終わってしまったものの、テーブル筐体とブラウン管の組み合わせはやはり何とも言えないものである。