PCエンジンを愛す・その21 | ONCE IN A LIFETIME

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フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

また話が前後してしまうが、それまで家庭用のウィザードリィに関しては「アスキー独占=任天堂ハードのみ」というのが常識となっていた。それが初めて覆ったのが、1992年9月ナグザットより発売された、PCESUPERCD-ROM2用の「ウィザードリィV」である。私がユニット購入前、つまり1991年頃には発売予定表に掲載されていたはずなので、発表から発売まで実に1年ほど要した事となった。

 

ただ、発売が1992年9月という事は、なんと家庭用における本家とも言えるアスキーのSFC版Vの発売よりも早かったのである。もちろん、ユーザー数は圧倒的にSFCの方が多いので、そうでなければまあ売れなかったとは思うのであるが、これは歴史的にみても驚くべき事実である。

 

もっとも、のちにSFC版はプレイしたのであるが、この当時はもっぱらアーケードに力を入れていたので、PCE版Vを買う事はなかった。なので、当時の雑誌での印象しかないのであるが、もちろん国産PC版準拠の画面であり、PCEの高解像度モードを使用した美しい漢字フォントはさすがにPCEならではの美しさだな、と思ったものだ。

 

しかし、それだけにアクセスは多いだろうし、また文章以外、つまりモンスターやアイテム名などは全て英語表記のみであった。いきなりVを買うような連中はほぼマニアしかいないと思われるので、あまり問題はなかったかも知れないが、それでもプレイするのは日本人だし、十代も当然居る訳なので、その辺りはとっつき辛かったとは思う。

 

そして、それから遅れる事10ヶ月、翌年7月には原点であるI・IIがカップリングとして発売された。当時、ファミコン版はシナリオ2がIIIとして発売され、しかも大幅なアレンジが加えられたので、PC版のそれとは大きく異なるものだった。つまり、ようやく家庭用にてPC版準拠の「ダイヤモンドの騎士」がプレイ出来るのである。これはさすがの私も楽しみであり、しばらくして購入したものだったが、これはこれで色々問題のある代物だった。

 

その違いは「得物屋」を見れてくれた方が早いと思うが、個人的にはブルーリボンをとっただけではエレベーターを完全に使用できない、というのが煩わしくて仕方がなかった。その仕掛けも分からなかったので、つまりはMALORを覚えるまで地下9階に行けなかった訳である。そして、文字が小さく読み辛い上、地下10階に行っても似たような宝物しか出ない事。

 

このゲームはバックアップメモリを全て使用するので、もしかしたらRAMの容量と関係があったのかも知れないが、いくら粘ってもカシナートの剣すら出ず、ひたすらロングソード+2程度の武器で頑張っていたものである。なので、結局それでワードナを倒すまでいったのだが、始末の悪い事にクリア時にリセット回数が表示され、これが多いとキャラクタが一気に歳を取るという罠がある。

 

一応、IIもプレイしていき、2階の謎かけなどは辛うじて回答は出来たのだが、さすがに嫌気がさしてやめてしまった。翌年にはIII・IVがカップリング発売され、こちらは家庭用で初めてIVが移植された形となったが、これも味方モンスターの成長や、例のニンジャをディンク抜きで倒す事が出来るなど、かなりのアレンジが加わっているという。

 

さすがにI・IIで懲りたので、これは買う事はなかった。かなり散々であるが、それでもBGMだけは良かった。ウィズの世界観にマッチしているかは微妙だが、戦闘シーンなどがかなり格好いいので、YouTubeなので視聴してみるのもいいかも知れない。

 

それからさらに数年後、初代PSにおいて初期5作の移植が実現した。当時はもちろん、現時点においてもこれが最高の出来と言えるので、今から興味がある人は是非これらをプレイしてみてほしい。