今更ながら伝説的なアケコンとも言える、旧マッドキャッツのTE2+の美品を入手する事が出来た。一応新品未開封のチャンスもあったのだが、初期不良率がかなり高いらしく、旧MC倒産後の現在となっては修理に出す術もないので、動作確認済みの美品を選択したという訳である。
中華メーカーのPXNが、このガワを受け継いだアケコンを販売しており、以前もレビューはしたのであるが、実質PS3、Switch、そしてPC専用という事もあって、さすがにメインとはならなかった。そこで今回、ようやく「本物」であるTE2+の紹介である。発売は2016年2月と、すでに5年以上も前のモデルではあるものの、その剛性感からくるフィーリングの良さ、そして開閉式というメンテナンス性の高さなどは今でも十分通用するレベルであり、これほどの商品が当時すでに発売されていたと言うのがまず驚きである。
剛性感と開閉式と言えば、やはり旧Pantheraにとどめをさすのであるが、このTE2+も同様のコンセプトであり、レバー、ボタンのフィーリングいずれも最高レベルである。静穏性は旧Pantheraに軍配が上がると思うが、操作感覚に関しては前述のように現行のフラッグシップとタメを張れる、もしくはそれ以上のレベルと言って良い。私がアケコン選びを行う時に、最も重視するのがその点なので、これはもう触った瞬間から大満足のレベルである。
そしてそのデザイン、机置き、膝置きいずれもいける安定感、そしてロゴ部分以外にびっしり貼られた底面の滑り止めと、そのフォルムと機能性は大変素晴らしい。電源を入れると、LEDで光るのもカッコいいものだ。そして私が選んだのはストVタイアップのリュウモデルであるが、いくらTE2+が入手出来ようとも、このモデルでなければ絶対に妥協出来ない、と思ったほどカッコいいイラストだ。別にイラストなど操作感に何も影響は出ないのであるが、それでもやはりストVをプレイするのであればこれで、というモチベーションの向上に繋がる。
ケーブルは旧Pantheraと同じ着脱式であり、色々考えられている現在のアケコンと比べると若干不便さを感じるが、これはまあ致し方ない。そしてヘッドホン端子も存在しないため、夜中に手っ取り早くイヤホンをつけたい時なども断念せざるを得ない感じだ。ガワ内部は前述のケーブルの収納スペースと、スペアのボタンや、そしてドライバーをも入れるスペースが備わっている。ぶっちゃけケーブル以外はさほど必要に迫られるケースでもないのであるが、それでもないよりはあった方が全然良いだろう。
そして、5年前の製品と言えばまだアケコンによって遅延にかなり差があった時代でもあったのだが、当時すでにアケコンではトップクラスの反応速度を誇っていたため、今でも十分気にならずプレイ出来るレベルである。さすがにUFBはもちろん、現行のフラッグシップよりかは劣る部分もあるかも知れないが、本当に誤差レベルと言って良い。少なくとも私は気になる部分はなかった。
正直、まだアケコン戦国時代を迎える前の2016年に、これほどのレベルのアケコンが発売されていたというのは驚きでしかないのだが、さすがにこれだけのスペックだけあって価格も一級品、のちの刃やObsidianを遥かに上回る27750円、しかも税抜き価格なので実質3万円という破格の値段で発売されていたと言う。当時はまだ今のように2万円が当たり前、という感覚ではなかったはずなので、その中で3万円となると気軽に買える価格とはとても言えなかったはずである。現行品でさえ、それを上回るのはVictrixただひとつなのだから、如何に高額だったかと言うものが分かるというものだ。しかし、一度でも触ってみればそれだけの価値があった事も間違いはない事実である。