ドラゴンクエスト35周年 | ONCE IN A LIFETIME

ONCE IN A LIFETIME

フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

先月の5月27日で初代ドラゴンクエストの発売から35年を迎えた。今更語るまでもないが、このドラクエというゲームは、一般的にはコンピューターRPGの始祖とされる「ウルティマ」と、そして日本人の大好きな「ウィザードリィ」のいいとこ取りである。特に、後者に関してはシナリオの堀井雄二氏をはじめとして、多くのスタッフがのめり込んでいたがために、特にその影響は大きいとされる。

 

となると、悪く言えばパクリとも捉えられないのであるが、ドラクエの最大の意義というのはそんなゲームをあの時代にリリースした事である。当時はディスクシステムが発売されたばかりであり、1メガビットROMがようやく登場した、という大変少ない容量が主流だった時代だ。それだけゲームのジャンルも幅狭く、シューティングとアクション程度しかなかったのだ。一応、同年2月にはかの「ゼルダの伝説」が発売されており、一応RPG的なゲームは発売されてはいたのだが、まだまだアクション要素が強く、RPGという呼称もなかったがために、それだけドラクエの登場というのは衝撃的だったのだ。

 

一応、「日本語テキストを読む」という事に関しては、前年に発売された「ポートピア連続殺人事件」で実現がなされていた。言うまでもなく、こちらも堀井雄二氏の代表作であり、これも後のドラクエを考えての発売であった事は想像に難くない。当然、週刊少年ジャンプでも大々的に特集されたために、多くの初代ドラクエユーザーは、このポートピアも事前にプレイしていたものだった。もちろん、アルファベットが当たり前だった当時のファミコンユーザーにとって、すべてが日本語フォントというのは実にインパクトがあったものだった。

 

そして今回、35周年を記念してか、遂にドラクエIIIのリメイクが発表された。このドラクエIIIに関しては、今なおシリーズ中最も評価の高い作品として知られている。当然私もリアルでプレイしていたのだが、発売前の盛り上がりというのは尋常ではなく、それが結果的にあの伝説の大行列へと繋がっていった訳だ。

 

当時のRPGというのは、まだまだ自由度が高いシステムが支持されていたので、一本道だったドラクエIVやVが発売されて以降、相対的にドラクエIIIの評価が上がっていったものだった。実際、ファミ通のランキングでもIIIの方が高かったし、今アンケートをとっても似たような結果となるだろう。しかし、私個人としてはそうではなかった。というのも、これは前にも触れたかも知れないが、「ウィザードリィ」にどハマってからは、戦闘やパーティや職業や転職のシステムがあからさまにウィズを参考にしたものと分かり、一気にドラクエIIIの魅力が薄まってしまったのだ。

 

シリーズの中でも唯一パーティの完全な入れ替えが可能であり、勇者以外であれば育て切っても再びキャラメイク出来るのはIIIの大きな魅力ではあったのだが、それと引き換えにストーリー性が希薄というのがあった。当時ライバルだったFF、特にIIがストーリーを全面に押し出してきたために、システムのドラクエとストーリーのFF、というのが当時のイメージだった。それに影響されたのかは知らないが、IVとVは連続してストーリー重視の作りとなっていった。

 

当時、特にIVの発売時はかなりの批判が集まり、特に勇者以外の名前も固定だった事もあって、IIIの方が良かった的な意見が大多数を占めたものだった。特に、第5章では勇者以外はAI固定であり、命令出来ない事への不満も多かった。今でこそ、11年後の完璧なリメイク、そして今なお語られる個性的なキャラクターのおかげで、シリーズ中でも評価の高い位置を示す作品となったものの、当時の評価はかなり辛口だったのだ。

 

しかし、転職自体はVIで復活するものの、V以降もやはりほとんどの仲間キャラクターは名前が固定され、現在はそれが当たり前という認識となった。私は最後まで終わらせたのはVIIが最後であり、9と10に至ってはプレイすらしていない。オンラインの10は例外としても、最新作の11も完全ストーリー重視であり、特に今の時代などは次にどこにいくか、何をするか完全に分かるようになっており、謎解きの要素自体もほぼ皆無である。まあ、昔と比べると3Dのわかりにくさもあるし、ほとんどのユーザーが大人で時間も考える余裕もなくなった訳だから、それはそれで別に良いとは思うのだけれども、少なくとも今となってはストーリー重視が当たり前であり、むしろIIIが異端である、といった感じだ。

 

なので、世間的な評価とは裏腹に、私的にはさほどIIIには思い入れがない感じである。もちろん、リアルタイムでプレイしていた頃に、闇の世界に辿り着いた直後の感動などは言葉では表現出来ないほどのものがあったし、ファミコン史上屈指の名作である事は間違いないものの、個人的にはキャラクターの個性を全面に押し出したIIやIVの方が思い入れがある感じだ。