アーケードアーカイブス グラディウスIII~伝説から神話へ~・その1 | ONCE IN A LIFETIME

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フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

2020年12月24日、レトロゲーマーにとって遂に待望の一作が配信された。言うまでもなく、グラディウスIIIである。これより以前から発表されていた「雷電」などが未だに未リリースなので、当分発売はないと思っていただけに、往年のグラディウスシリーズファンにとってはまさに最高のクリスマスプレゼントとなった。

 

ただ、昨今の記事を読む限り、当時を知らない人たちはさぞや伝説的名作だったのだろう、とその目には映るかも知れないが、リアル世代であれば誰もが存じているように実際は賛否両論渦巻いたゲームである。そのきっかけとなったのはもちろん想像を絶する難易度であり、簡単に説明するのであれば、1周10面終わるまでに1時間、しかも10面もあるにも関わらず、発売から1年以上経った後でも、一般的ゲームセンターであれば3面後半でギャラリーがつきはじめる、と言うとんでもなさである。

 

つまり、大抵の人はそこまでいかずに終わるのだ。よって、初心者であれば2面どころか、1面クリアするのも大変、と言ったレベルである。昨今の弾幕ゲームなども難しいとは言われているが、それでもちょっとプレイすれば3面程度までは進めるであろう。それを考えたら、10面もあるとは言っても3面でギャラリー、と言うのはやはり常軌を逸したレベルである。

 

しかし、下手すればクソゲーと断罪されるこのゲームであっても、諦めずにプレイし続けるプレイヤーたちは何人もいた。理由としては、やはりまずはアーケードゲーム業界では絶大なるネームバリューがあったグラディウスシリーズであった事。フランスで放送された「シューティングゲームの歴史」において、インタビューされた全ての人たちが「1980年代を代表するシューティング」の問いに、「やっぱりグラディウス」と答えていた。それほどまでに巨大な存在なのである。私などはグラディウスの移植やりたさに、初代PSやPS4を購入してきたほどであるが、発売から十数年経ってもハードごと買わせてしまうほどのカリスマ的ゲームであるのだ。

 

しかし、初代や、最も名作とされるグラディウスII、そして沙羅曼蛇などがすでに移植されてきたにも関わらず、グラディウスIIIだけはPS2版とそれを基にしたPSP版のみである。理由は言わずもがな、あまりにもターゲットを絞り込んだそのゲーム性からくる採算性だとは思うが、それでもマニアが多いだけに移植を希望する声は止まなかったものの、やはりその特殊性を理解しているだけに現実は厳しいものと思われていた。PS2版はほぼ完璧な移植なので、それをプレイすれば良いだけなのであるが、このPS2版はブラウン管が主流だった当時ではおおよそ考えもつかないほどの操作遅延があり、シビアな操作性を要求されるこのゲームにおいて致命的な欠点と言えた。

 

それだけに、再度の移植、そしてマイナーなゲームも移植しているアケアカのハムスターならやってくれるのではないか、と淡い期待をしていた。そして、遂に今回我々の願いがかなった、と言う訳だ。普通、FFシリーズなどの超大作を除けば、大体PSストアでは午前10時頃に配信されるのが普通なのだが、やはりハムスターとしても特別なのか、午前12時を回って20分ほどですでにリリースされていたのだ。

 

PS4版さえあれば十分なのだが、生粋のグラディウスファンの私はその後Switch版も購入した。これだけ合わせても1700円程度なのだから凄い時代である。移植の出来に関しては全く心配していないので、懸念と言えば遅延である。「ギャラガ」などにみられるよう、エミュレーターベースの1980年代ゲームの移植はどうしても遅延の影響が避けられないようであり、アケアカでもそのようなタイトルは若干みられる。初代グラディウスなども初期にはあったそうだが、まもなくアプデが施されいまではほとんど気にならなくなったものの、Switch版などはPS4に比べるとやはり若干違和感があり、沙羅曼蛇などはもう少し顕著に表れる。

 

よって、基本レトロゲームでのマルチはPS4版を選ぶのが無難だ。そして、このグラIIIであるが、少なくとも懸念されたPS2版レベルよりかは遥かにマシであり、ほぼアーケード版に近い感覚でプレイ出来る。対するSwitch版であるが、やはりマシンパワーの差なのだろうか、こちらは一発で分かるぐらいの大きな遅延だ。ほぼPS2版と同等と言っていいぐらいなので、これはアプデを入れないとSwitchユーザーはまともにプレイ出来ないだろう。

 

ハードの普及台数から、Switchだけでアケアカをプレイしている人たちの方が多いかもしれないだけに、これだけはさすがに気の毒である。しかし、これだけ多くのシューティングやレトロゲームがリリースされているにも関わらず、SwitchのアケコンのラインナップはPS4のそれと比べると悲しいぐらいにショボい。まあマニアであればハードごと購入する、レベルまでは行くとは思うのだが、その点もう少し周辺機器メーカーにはそのあたり頑張ってもらいたいものである。

 

若干話は飛んだが、私自身このグラディウスIIIと言う作品は、私をアーケードゲームに導いてくれた作品であり、なおかつ最も思い出深い、私の人生の中で最大級に別格のゲームでもある。そんなゲームが、31年の時を経て最新のハードで出来るとは、これはもうハムスターに足を向けて寝られないレベルでの感謝である。BGMの問題が避けられないが、次は是非家庭用では一度も再現されることのなかった、「難易度上昇がアーケード版そのままのパロディウスだ!」を移植してもらいたいものである。