HONG KONG LEGENDS、香港レジェンド、通称HKLは2000年代前半に一世を風靡し、全世界の香港映画ファンを喚起させたイギリス発のDVDレーベルである。香港MEDIA ASIAによる、数年をかけたと言われる超絶リマスター、当然全て16:9対応、そしていくつかのDVDにはオリジナル英語音声、さらには圧倒的な特典と、それはそれは現在でもあまり見かける事もない「ここまでやるか」的な神がかり的なレーベルであった。もちろんPALのため、早回しであったのだが、そんなデメリットがどうでもよくなるほどメリットが上回っていたものだった。
UKと言う事はリージョン自体は2であり、日本と同じだ。しかし、映像形式がPALなため、国内メーカーで再生出来るプレイヤーはパイオニアとJVCだけである。つまり、これだけを見るのであれば、正確にはリージョンフリー機は不要であったのだが、さすがに海外盤を輸入するほどのマニアであれば他国版も買うのは当然、まあほとんどの人がマルチリージョン機を所有していた事であろう。
そのHKLが2003年に発売したDVDボックスは、運よく公式サイトで割と格安で買う事が出来た。しかし、その時が特別安かっただけであり、それ以降は利用する事はなかったのだが、UKの場合はAmazonではなく、ほとんどで同じくUK発のCDWOWを利用していた。英語版のWikipediaによると、今でもWOW HDの名前で存続しているようであるが、今は知らないがこちらの場合は香港にも拠点、そして倉庫があったため、北米盤よりも遥かに早く届いたのが何よりのメリットであった。しかも、確か送料も無料であったので、旧作であればそれこそ1000円ぐらいで買えた時もあったと思う。当時は毎月のようにHKLから新作が発売されていたため、これがまだスマホもYouTubeもない時代の何よりの楽しみであった。
しかし、英語音声があるとは言っても、基本のフィルム自体は香港バージョンがほとんどである。そんなある日、あるジャッキー・チェンの海外盤レビューサイトによると、スウェーデンやデンマークで発売されている北欧盤がフィルムまで英語版そのままが収録されているという。正直、スウェーデンからの個人輸入となるとかなりハードルが高いものであったが、幸い英語サイトも存在していたため、自力で購入する事が出来た。内訳はブルース・リーのBOXと、ジャッキー・チェンの福星シリーズであり、いずれも完全な英語バージョンであった。
2006年ぐらいにリリースされた「ドラゴン危機一発」と、「ドラゴン怒りの鉄拳」のプラチナムエディション以降、色々関係者の間でひと悶着があったようであり、その辺りから自然と音沙汰がなくなっていった。その後、別のレーベルが発足したものの、それもいつのまにか自然消滅、あの美しいHKL盤はブルーレイに移行される事なく廃盤となってしまった。
今ではあえて海外盤を選択する理由など皆無となってしまったが、それでも現在英語バージョンのブルーレイが存在しないと思われる作品は今でも見返す時がある。具体的に挙げるとすれば、「プロジェクトA」や「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ2」などだ。これら2作品はオリジナル英語音声が使用されているが、その出来が非常に良く、一度これで見たら広東語バージョンには戻れないほどだと言ってもいい。特に、前者のジャッキーとサモは、「スパルタンX」と同じ声優が演じているので、日本人のファンにはすぐに馴染める事であろう。中古はそれなりに流通していると思われるので、PALが再生出来る方は是非ともご覧になってほしい。