今回はいよいよこれまでまともな日本語レビューが存在しなかった、一部界隈で旧マッドキャッツのTEに瓜二つと話題になっていたPXN X9を取り上げる。これまでPXNと言えば、5000円台のマルチアケコンがそれなりに有名であり、Amazonでもアケコンで検索すればすぐに見つかりレビューもそれなりにあるのだが、何故かこのフラッグシップに位置するX9だけはAmazonにもTwitterにもその日本語レビューは見当たらず、これが購入を躊躇させる最大の理由であったのかと思う。
しかし、米Amazonのレビューによれば、星一つこそ一つだけ存在するものの、それ以外はほとんどが星5であり、いずれもMuch better than HORIと絶賛の嵐。英語のYouTubeでも2件ほどレビュー動画がアップロードされており、再生数の多い方は実際にSteamでプレイしているシーンも含まれているが、Amazing!とこちらも絶賛と、これほどまでに評価が高ければ買っても損はしないレベルなのではないか、と思うようになってきた。さすがに、PS4とXboxOneには純正コンが必要、イコール遅延が避けられないのでは、と言う不安は消えなかったのであるが、それを必要としないSwitchやPS3であれば、それなりに使えるレベルであろう、とも思い、そしていよいよ購入に至ったという訳である。
私の使用しているTEは初代のみであり、元となったPS4用のモデルとは直接の比較は出来ないのであるが、単純に筐体の作りに関していえば文句はない。ワンタッチで開けるのは非常に便利であるし、ハードとの接続もUSB-C端子使用で取り外しが容易なのも便利だ。そして、下部は旧パンテラのように真ん中のロゴ部分を除きすべり止めで覆われているので、机上での安定感はもちろんの事、膝置きしても冷たくならないのも素晴らしい。
そして一番重要なレバーとボタンのフィーリングであるが、これもさすがに名機TEを引き継いだだけあって素晴らしいの一言。最も感覚が近いのは旧パンテラだろう、つまりは静穏性が非常に高く、剛性感からくるフィーリングの良さは快適な事この上ない。ただ、気になる点としてAmazonでの画像とは異なり、シャフトカバーが付けられておらず、また変なガタガタ感的な違和感を感じた。最初はカバーの有無からくるものかと思ったが、いざ千石電商で購入した純正シャフトカバー一式を付けようとしてみると、なんと土台とアケコンのネジが緩んでおり、これが違和感の原因だと分かった。中華製品ならではのずさんさかも知れないが、もし違和感があればチェックしてみるのもいい。また、天板からのレバー長は5.6cmと、最もスタンダードな長さである。
ボタンはクリアボタンを使用しているが、個人的な意見としてはノーマルカラーと比べると若干のフィーリングの違いがあり、また音も若干大きい気もする。現在ほとんどのアケコンをクリアにしているため、個人的にはもう慣れてしまったのであるが、そうでない人には違和感があるかも知れない。しかし、それでも純正三和電子ボタンに変わりはないし、さらにガワの剛性感の高さもあり、個人的にはこちらも旧パンテラに次ぐ押し心地の良さであるかと思う。
また、ボタン下部にはLEDが仕込まれており、本体に接続すると光るようになっている。意味のないギミックではあるが、オブシディアンやVictrixのように真横が光ってもプレイ中は全く見えないため、それに比べたら見た目的には綺麗かも知れない。しかし、それによってボタンを交換する際はパネルまで外す必要があるため、それは面倒なのであるが。
そして、メインの本題となるのが遅延である。結論を言えば、ms単位での比較こそ出来ないものの、少なくともSwitchとPS3での使用時に関しては体感できるレベルの遅延は存在しなかった。モニターはもちろんASUSのゲーミングモニターであり全て同一条件であるので、モニターに関する差は一切ない。PS4とXboxOneでの使用時は、本体正面左下のUSB端子に純正コンを接続する必要こそあるものの、悪名高きGameSirやそれを元にした現マッドキャッツのような面倒な設定は一切なく、電源投入前にそのまま接続するだけである。
ただ、そうなると遅延は避けられないのが一般的な常識であったのだが、少なくともかの悪名高きGameSirのよりかはマシであり、少なくともゲーミングモニターを使用していれば違和感なくプレイ出来るレベルにある。しかし、一般のテレビのゲームモードであるとさすがに高級アケコンとの差は感じられてしまうので、PS4メインであれば専用品を購入した方が良いだろう。反面、XboxOneに関しては一瞬で気付くレベルの遅延があり、これはとても使い物にならないレベルであった。また、前述したように、タッチパッドに相当するボタンはないので、アケアカやストリートファイターアニバーサリーをプレイする際は接続しているデュアルショックのものを使用する事となる。
以上がレビューであるが、個人的な結論から言うと18000円台でこれほどのクオリティを誇るというのは驚きの一言。中華製と言う時点で敬遠する人も多いだろうが、旧パンテラやオブシディアン、Victrixなどの高級アケコンを操作してきた自分からしても、決し引けを取らないクオリティだと思う。英語レビューのMuch better than HORIは偽りなしだ。説明書は簡体中国語と英語しか掲載されておらず、May Flashのように日本語サポートも存在しないと思われるので、それだけは注意したい。また初期のGameSirを思い起こさせる天板のイラストがダサすぎるのもいただけない。しかし、それらを遥かに上回る利点が存在するだけに、SwitchとPS3,そしてPCメインであれば自信をもってお勧め出来るアケコンだ。