ニンテンドーSwitch専用ソフトとして発売されたナムコットコレクション、名称から察する通り、過去のファミコン版ナムコゲームのアーカイブスである。PS4派の私としては、「またSwitch専用か…」と思わざるを得なかったが、さすがにこればかりはコンセプト的にそれは仕方がないな、と思っていた。しかし、その発売日と同日、ほぼノーアナウンスで他機種にもひっそりと「NAMCO MUSEUM ARCHIVES」の名称で移植されていたのだ。
こちらは1,2のセット販売のみであり、かつSwitch版独自のUIなどは一切搭載されてはいないシンプルな作りなのであるが、UI含めて全て英語版である以外、ソフト自体は全てNES版と同じである。本体とソフトさえあれば、半永久的に所持できるという家庭用ゲームの特性上、アーケード版のアーカイブスよりも存在意義は薄れてしまうのであるが、それでもれっきとしたファミコン世代の私としてはそれなりにそそられるものはあった。また、単なる移植に過ぎない他機種版よりも、単体発売かつ独自のUIを持つSwitch版が一番所有欲を満たされるのも間違いなく、Switchユーザーとしては迷わずそれ一択となるはずなのであるが、レトロゲームの移植である以上絶対に妥協できない点を考慮すると、残念ながら他機種を選択せざるを得ないのである。それはもちろん、遅延問題だ。
前にも触れたが、遅延と言うと必ずアケアカ版グラディウスの時のように、盲目的に「モニターが~」と叫びだす輩が必ず存在する。確かに、ゲームモードを積んでいる民生用テレビであっても、ある程度の遅延は必ず発生してしまうのであるが、それはゲーミングモニターを使えば解消される。後者と言えど、さすがにブラウン管にはかなわないのであるが、私の体感的にはほぼ違和感ないレベルで遊べる域には達しているとは思うので、SwitchもPS4も同一環境であればモニターの遅延は言い訳にはならないのだ。そして、ギャラガの件で証明されたように、バンナムが公式Twitterにおいて、「Switchは仕様上必ず遅延が発生してしまう」と声明している。私自身も、同一タイトルのアケアカで、はっきりとSwitch版の方が遅延が大きいという事は確認している。よって、昨今の状況においてモニターの遅延は全く言い訳にはならないという事を、まずははっきりと示させておくことにする。
と言う訳で、その仕様かつ豊富なアケコンの存在を考慮する限り、現行アーケードの移植はPS4一択である。ただ、今回はあくまでファミコン版の移植であるので、正直あまり興味はそそられなかったのであるが、Vol1に関してはいくつか思い入れのあるソフトもあったので、価格もそれほど高くない事もあってそれだけひとまず購入してみた。
言うまでもなく、ナムコはファミコン本体の売り上げに最も貢献したサードパーティである。しかし、当時は小学生がゲーセンなどありえない時代だったので、少なくともナムコの影響を最も受けた世代は、アーケード版ゼビウスをリアルタイムで体験できた当時中学生以上に限られただろう、つまり、私の世代ではナムコの移植作品にはほとんどそそられず、やはり一番影響を受けたのはコロコロコミックで毎月特集が組まれていたハドソンのゲームであったに違いない。
一応、ゼビウスはコロコロでも大きく扱われていたし、そしてたまたま初めてプレイした縦画面のアーケードゲームがゼビウスだった事もあって、それだけはファミコン版をおねだりして買ってもらった。また、同じくドルアーガの塔の宝箱の出し方も、一部ではあるがコロコロで紹介されていたため、それも買ってもらったものだ。しかし、それ以外のソフトはほぼ無関心であり、せいぜいクラスメイトが持っていたのをプレイさせてもらったぐらいだ。
そういう訳で、私自身は一部を除いてナムコのファミコンソフトにはあまり思い入れがないのである。もちろん、オリジナルのアーケード版には興味があったので、PSでナムコミュージアムが発売されるとすぐに買っていったのであるが、同コンセプトのファミコン版には全く興味が生まれなかった。な訳で、ゼビウスとドルアーガ以外のファミコン版をプレイしたのは、ほぼこのPS4版が初となったのだ。
スプライトで横ラインを並べないファミコン版となると、当然ギャラクシアンやギャラガの敵は背景扱いとなっているのだろうが、全くそれを感じさせない技術は今見ても感心した。ただ、1プレイが100円で、飽きたらいつでも止められるアーケード版とは異なり、さすがにこの単調な内容で4900円と言うのは、35年以上前の物価を考えたらコスパはかなり悪いと思わざるも得なかった。まあ、その元を取るために当時の少年たちは、限界までハイスコアを伸ばすために必死にやりこんだものだったのだが。
また、さすがにアーケード版では未体験だったものの、PS版ミュージアム2と、ゼビウス3Dプラス版のゼビウスでそれぞれ1000万点を記録はしているので、このファミコン版も楽勝、だと思ったのだが、これがなかなか難しく、特にアンドアジェネシスだとスクロールが止まってしまい、またガルザカートも横画面で距離が近いだけ難しい。結果、16エリアのクリアすら出来ないままゲームオーバーとなってしまったのだが、意外にもそこそこ楽しめた。もっと容量があれば、地上絵や海上の模様も再現できたと思うので、あと1年あればもう少しアーケード版に近い出来となっていたかも知れない。
また、肝心の操作遅延であるが、少なくともゲーミングモニター上であればほぼノー遅延に近い状態でプレイする事が出来た。ドラゴンスピリットはNESの英語バージョンであるが、それ以外は日本版と違いはないし、アケコンの存在も考慮すれば、遅延ありで720Pのレトロフリークよりかはマシな環境でプレイする事が出来るであろう。あの時代のソフトをノスタルジー的に楽しめるのであれば、買っても損はしないかも知れない。