前回の記事で現行のハヤブサVと、三和レバーへの換装について触れたが、それがきっかけでスティックに興味が湧いてしまい、ちょうどヨドバシのポイントアップも重なったおかげで、遂にフラッグシップモデルであるファイティングエッジ刃を購入してしまった。
HORIこそ今はオリジナルのハヤブサレバーを搭載しているが、基本的にどこのメーカーもフラッグシップは三和電子パーツが基本だ。つまり、どこのメーカーであろうと基本的な操作感自体は全く変わらない訳であり、所詮筐体はユーザーの好みでしかないはずではあるが、不思議な事に同じパーツを使っていても、気持ちの問題もあるかも知れないが、やはり高級感と重量感のある金属製の筐体の方が、心なしかパーツの反応も良い印象を受けるし、プレイする事への満足感も違ってくるものだ。
自分自身、それこそ数えきれないぐらいのスティックを購入してきたが、PS全盛時は現在のように本格仕様は存在せず、一時はスティックの空白期間までも存在し、私などはHORIが初期に出したファイティングスティックを大事に使っていたりしたものだった。そんな時、久々にHORIが発売したのが鉄拳4仕様のスティックだ。定価は3980円ほどだったと思うので、筐体はプラスティックでボタンも6ボタン仕様、もちろん連射装置も非搭載であったが、安価でありながらスティックやボタンは以前のモデルよりも大幅に改善されており、アーケードゲーマーの需要にもそれなりに応えられるものだった。
さらに、多少の加工を加えれば、当時すでにアーケードで主流であった三和電子のレバーが取り付けられる事を一部のユーザーが気付き、実際のやり方もネットにアップロードされ、早速私も真似して取り付けてみたものだった。しかし、ご存知のように三和のレバーは、当時私が慣れ親しんでいたセイミツよりもレバーのストロークが長く、自分には違和感を覚えるものだった。それに、レバーを変えた所で筐体は安定感も何もないプラスティック製であり、高級レバーとのアンバランス感も拭えなかった。
それから2年後、遂にHORIが本気を出し、初の三和電子レバー搭載のリアルアーケードPROがリリースされた。当時の定価で8000円台と、今の感覚から言えば中級グレードレベルであるが、当時としてはセガがかつてリリースしたアストロ筐体コンパネモデルに次ぐ高さであり、もちろんHORIの歴代スティックでは最高価格、当時としてはかなり思い切った価格設定だったのだ。
ボタンと配置がオリジナルだったのが気にはなったが、一応6ボタンの格ゲーをプレイするには支障はないレベルであり、もちろん連射装置も搭載されていたため、買わない理由はなかった。そして実際に触ってみた所、同じ三和レバーでありながら物凄くやりやすく感じたものだ。もちろん、立派な筐体がもたらす特有の満足感も多分にあるのかも知れないが、やはり金属製の作りがもたらす剛性の高さ、たわみのなさがもたらしているのは間違いなく、筐体の作りがいかに重要か証明したものだった。
そんな訳で、前振りが長くなったが、同じハヤブサパーツを使っていながらにも関わらず、ハヤブサV 2017のデザインやボタン配置が微妙な事もあった事もあるが、このファイティングエッジ刃も初代RAPをプレイした時のような満足感を与えてくれたものだった。
ただ、未だに賛否両論のハヤブサパーツであるが、少なくとも個人的にボタンに関しては及第点であり、変える必要もないほど満足はしている。しかし、レバーに関してはやはりアーケード、家庭用フラッグシップの世界では三和電子が「デファクトスタンダード」レベルであり、その感覚が完全に左手に染み付いている人間たちにとっては、今更乗り換えるのも難しいし、乗り換える理由もない訳だ。
もちろん、PS・SS初期のファイティングスティックや、前述の鉄拳4スティックと比べれば、比較にならないほど進化しているし、よく言われる斜めの入りづらさも、元々の三和レバー自体セイミツとも比べて感覚が軽く、斜めに入りやすい仕様になっているので、特別ハヤブサレバーが悪い訳でもないと思う。
しかし、前述のように三和電子が事実上インテル的存在となってしまっている以上、やはりフラッグシップモデルなのに三和ではない、という違和感が生じてしまい、買ってすぐに保証シールを剥がすのはためらわれたが、結局新品の三和レバーに換装してしまった。
やはりスタンダードのまま使うべきか、と思い直して再換装してしまったものの、一旦保証シールを剥がしてしまえば元には戻せないので、結局再々換装し、三和レバーのまま使っている。まあやはりというか、最高のレバーと筐体の組み合わせは素晴らしく、充実感と満足感からゲームプレイがさらに捗っていった。
しかし、そんな完璧な製品にも弱点があり、連射装置が搭載されていない事だ。もちろん意図的なものであろうが、やはり家庭でプレイするにはボタンへの負担を抑えるためにも欲しい機能だ。そんな訳で、エッジ購入から2週間も経たないうちに、ハヤブサNを購入に至ってしまった。
実は、かつてのブラストに近いノアール配置と、オプション系ボタンが上に付いている事から、かねてから購入を考えていた製品だったのだが、パーツも反応速度もハヤブサVと同じという事、そして4KテレビやPROやXの購入で出費が一気にかさんだ事もあって、ずっと購入をためらっていた。
それでも、1台ぐらいは保証シールを剥がさずに純正のものを残しておきたかった事、そして連射装置と全てのボタンが天面に付いているという利便性から、価格が下がってきた事もあって遂にこちらも購入してしまった。感想は、はっきり言って大満足。写真だけでは伝わらなかった想像以上の高級感、掌が完全に天面に置ける安定感、エッジ同様のレバーとボタンの絶妙な広さなど、これまで購入した製品の中でも、マッドキャッツのXbox360用のTEに比肩するぐらいの満足感を得たものだった。
そんな訳で、今でもHORIの高級モデルは4製品がラインナップされているが、どうしてもビュウリックス配置と三和レバーじゃなければダメ、という人以外であれば、総合的な完成度からも絶対的にこのハヤブサNをお勧めしたい。一時期は17000円前後が相場であったが、最近では15000円前後で買えるところも多いので、尚更お勧めだ。