世界中のどこにでもあるチャイナタウン、もちろんそれは世界最大の都市ニューヨークにも存在する。ただし、7つほど存在すると言われているが、私が実際に訪れたのは2つだけ。最初が最も有名と思われるマンハッタン南部、そして休日に何度も足を運んだ7番線の終点であるフラッシングだ。
ただ、私が3ヶ月住んでいたクイーンズのエルムハースト駅周辺も、かなり中国人人口は多く、駅前の公園はほぼ華僑で占められていた。2店あるスーパーマーケットも中華系、その他小さな薬屋やベーカリー、そして広東料理屋なども存在していた。他の住人もほとんど移民であり、私が毎週月曜日の朝に利用していたランドリーはメキシカン、その他もタイ料理屋なども存在し、いかにもな白人のアメリカ人など見かける事は皆無に等しかった。
それでも、前述のように圧倒的に華僑が多く、言語も普通話か広東語が半々程度だった。しかし、使われている文字は全て繁体中国語であり、もちろん英語も併記されていたため、それは香港に近かったが、マーケットのスケールは大陸だったため、香港と大陸の雰囲気が混ざったような感じだった。因みに、前述のようマーケットは2つ存在したが、何故かもう一つの香港マーケットは閑古鳥が鳴いており、ガラガラだった。自分も特にそこで買う必然性もなかったので、ほぼ毎日メインの方を訪れていった。
しかし、マーケットこそ充実し買い物には全く困らなかったものの、軽食に関しては不便だった。夕食に関しては前述の広東料理屋に非常にお世話になったものの、本当こじんまりとした所だったし、メニューもほとんどが文字のみだったので、ほぼメインの夕食のみ、と言う感じだった。よって、その不満を補うために、時間がある度に電車で15分程度のフラッシングへと足を運んでいったものだった。
ただ、最初に訪れたのはやはりマンハッタンだった。しかし、クイーンズからだとかなり不便な場所にあり、少なくともスマホのアプリを駆使しないとまずたどり着けないレベル、普通にたどり着けても40分程度はかかるため、平日はもちろん、休日にも簡単に足を運ぶ気にはなれなかった。そして、こちらはマンハッタンと言う事もあるせいか、完全な中国の街そのものと言うより、横浜の中華街のよう観光地的な雰囲気を醸し出していた。
よって、特別なインパクトを受ける事もなく、かといって別に購買欲もそそられなかったため、結局その1回限りで終わってしまった。よって、かなり失望させられたものの、まだまだ他にもチャイナタウンは存在する、と言う事で、さっそくネットからの情報でフラッシングへと足を運んでいった。
こちらはかなり大規模なチャイナタウンであり、さらにマンハッタンのような高層ビルも多くはないので、前述の横浜などとも異なりほとんど「中国」と言う感じであった。特に、駅からすぐの巨大なスーパーマーケットの中に入ればまさにそこは完全なる中国、台北のジュンク堂書店よろしく、まるでどこでもドアをくぐって行ったような錯覚を覚えたものだ。ここも、エルムハーストのマーケット同様、繁体中国語と英語でこそあるものの、雰囲気的には香港ほど洗練されてなく、さながらシンセンのような雰囲気、と言うかまんまシンセンそのものだった。
そして、ここでのお目当てが低層階に位置するフードコート。NYC在住時に最も頭を悩ませたのが食費であり、一応週50ドルのお手当は出ていたとは言え、露店のホットドッグが3ドルもするなどとにかく高い。よって、仕事中は1ドルピザや、マックのチーズバーガー単品などで凌いでいったものの、こちらフラッシングのチャイナタウンはそれに比べると信じられないぐらい安かった。特にお気に入りが、わずか1.5ドルで買えるサワースープであり、これとチャーハンや餃子、春巻きなど組み合わせても10ドル行かないぐらいだったため、ここぞとばかりにたらふく食べていったものだった。
そして、日本では買えないが、香港ならどこでも売っているものが買えたのも嬉しかった。具体的にはVITAのドリンクや、香港人御用達のあまりにも種類が豊富な出前一丁だ。香港に足を運んだ時の楽しみの一つが前者のドリンクであり、特に何故かチョコレート味のパックドリンクは日本では見かける事すらないため、まさかアメリカで飲めるとは思っていなかっただけにパックでまとめ買いしていったものだった。日本では決してメジャーとは言えない出前一丁も、信じられないぐらいの種類があり、しかも3袋で1.5ドルぐらいだったため、これも週数回私の胃袋を満たしてくれていったものだった。
チャイナタウンのマーケットは、セブ島のアヤラモールよろしくアジア中の食品が用意されているため、上記以外にも日本語表記の製品も多く、おーいお茶や、インスタントのお味噌汁なども容易に買う事ができたため、あえて高い日本食レストランなどに行く必要もなかった。ただ、アジアならどこでも買えるポカリスエットやアクエリアスはアメリカで見かける事は皆無、チャイニーズマーケットでもポカリスエットのみしかも3ドル近くしたりと割高だったため、それらが飲めなかった事は辛かった。
後半にはフォレストヒルズなどにも足を運ぶようになったものの、それでも休日の大半はエルムハーストやフラッシングに足を運んだため、今思うとせっかくのアメリカなのに、中華の雰囲気ばかり味わってきたというのはもったいなかったかも知れない。ただ、元々アメリカは移民の街、本当に各国の移民で構成されて居るという、実際に行かない限りなかなか実感する事の出来ないアメリカの別の姿を経験する事が出来たとも言えるので、それはそれで貴重な体験をしてきたと思いたいものだ。