Citi Field | ONCE IN A LIFETIME

ONCE IN A LIFETIME

フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

以前、アメリカ生活のまとめをアップロードしていた時、何故かNYメッツの本拠地であるシティフィールドには全く触れてはいなかったので、5年前の事ながら忘却の彼方へとなってしまう前にあえてここで綴ってみる。

 

まず、何故シティーフィールドなのに綴りがCitiなのか、と言う問題であるが、実際にロゴを見れば分かるが、シティバンクのシティだからCitiだそうである。まあそれはさておき、ニューヨークメッツ(NYM)と言えば、かつてはかの野茂英雄を始め、吉井理人や新庄剛志、そして松井稼頭央らが所属していた、一般的日本人にもかなり馴染みの深い球団のひとつである。多分、他にも所属していた日本人はいるかも知れないが、とりあえずググらずとも思い出せる選手と言えば前述の4人ぐらいであろう。

 

がしかし、大都市であるNYCを本拠地としながらも、いまひとつマイナー感がぬぐえない球団でもある。それはもちろん、同じ都市に世界で最も華やかなりし名門球団が存在するからである。もちろん、それはニューヨーク・ヤンキースの事である。日本で言えば、かつての読売ジャイアンツと日本ハムファイターズの図式を思い浮かべる人も多いと思うだろうが、やはり東京の球団と言えば誰でもジャイアンツを思い浮かべるように、NYCと言えばヤンキースである。かつて、故伊良部秀輝氏が所属していた千葉ロッテが、どういういきさつだかは不明だがサンディエゴ・パドレスに一方的にトレード権を譲ってしまったために、ヤンキース一択だった伊良部氏と球団の間に大問題が起こってしまった事は有名だが、もちろん伊良部氏がかなり叩かれはしたものの、実際にNYCに行けばヤンキースの偉大さと存在感は嫌と言うほど実感するのは間違いないので、今となっては彼の気持ちは物凄く良くわかるのである。

 

私自身も小学生の頃から、ベースボールマガジンのMLBの記事を熱心に読んでいたほどのファンだったので、やはりかのベーブ・ルースを始め、ルー・ゲーリッグやジョー・ディマジオ、ミッキー・マントルらの伝説的な名選手を生んだヤンキースに憧れるのは野球少年だった自分としては至極当然の事であり、3ヵ月の滞在中に最低でも12回以上は通ったと思う。

 

しかし、当然の如くその間にはNYMの試合も組まれてはいたのだが、当然ヤンキースの試合がある時はヤンキース優先で観に行っていたため、シティフィールドに足を運んだのはたった3回程度であったと思う。ただ、ブロンクスに位置するヤンキースタジアムは、マンハッタンの職場からは行きやすかったのであるが、住居であったエルムハーストのシェアハウスからは圧倒的にシティフィールドの方が近く、家からでも電車待ちさえなければ20分程度で着くほど利便性は高かった。

 

つまり、「ヤンキースの試合が行われていない私の休日に、シティーフィールドでメッツの試合が組まれていた時”のみ”」がシティフィールドに足を運ぶ条件となったがために、それがシティフィールドに足を運んだのがたった3回と言う理由である。まあ、貴重な経験と言えばそうなのであるが、実際は手間暇がかかってもヤンキースタジアムに向かった方が絶対に満足出来るため、これは致し方ない部分であろう。

 

因みに、この年もインターリーグ、日本における交流戦が両者の間で組まれたのであるが、あいにくNYCに到着直後ぐらいに行われてしまったため、「サブウェイ・シリーズ」と称されたこの対決は見ることが出来なかった。何故サブウェイシリーズなのかは、両者の本拠地が地下鉄で繋がっているから、と言う至極単純な理由からきているのであるが、確かに行き来は地下鉄で出来るものの、両者とも全く違うラインであり、しかも数回乗り継ぎをしなければならないので、球場へのアクセスが鉄道なのは当たり前な日本人からすれば、これをサブウェイシリーズと名付けられるのはかなりの無理があると思う事であろう。これがサブウェイシリーズなのであれば、日本の関東圏の球団は全てレイルウェイシリーズである。

 

さて、肝心の本題であるが、行き方は私の大好きなフラッシングのチャイナタウンへと向かう紫の7号線へ乗り、その終点の手前の駅で降りるだけである。クイーンズのこの辺りは本当に何もないし、乗っていれば嫌でも球場が目に入るし、駅からも一直線で5分とかからないのでアクセスは最高だ。しかし、降りれば一目瞭然なのであるが、球場の周りには何もない。本当に何もない。ヤンキースタジアム駅で降りると、ヤンキースのショップやストリートベンダー、そしてマクドナルドやサブウェイなどのファストフードなど、賑やかな事この上ないヤンキースタジアム周辺とは大違いである。

 

つまり、空腹時に球場へここへ来てしまうと、球場内でバカ高い飲食を頼む以外なくなってしまうのだ。ではどうすればいいのか、ではあるのだが、これはもう単純にここへ来るまでに食事を済ましておくしかない。もしくは、フラッシングで中華料理をたらふく召し上がる事。私がどハマった、深センライクなフードコートに行けば、5ドルで腹が満たされるだろう。実際、これは私自身が2回目以降に実践した事である。

 

チケットはまず当日券が買えるのだが、さすがにヤンキースタジアムよりかは安く、18ドルぐらいだったと思う。しかし、日本であれば外野席一択であるものの、MLBではそんな事はなく、内野の一番上辺りがその価格帯に相当する。もちろん、詳しい席番を指定する事は出来ないが、マップを見せてくれるので、大体の位置は指定は出来る。

 

あとは他の球場と変わらないが、平日の夜ですら満員になるヤンキースタジアムとは異なり、こちらはいつ行ってもほぼガラガラであった。まあ、その分快適に見れるのであるが、正直やはりヤンキースタジアムで実感出来るような盛り上がりは期待は出来ない。また、ヤンキースタジアムでは試合前にミュージアムへと足を運んだり、そして忘れてはならないモニュメントパークへも訪れる事も出来るが、さすがにシティフィールドではそこまでの設備はない。一応、エントランス前にはブルックリンドジャースでそのMLBキャリアを築いたジャッキー・ロビンソンの42のモニュメントや、メッツの殿堂らしきミュージアムこそあるものの、さすがに偉大なるヤンキースのそれと比べては気の毒なものがある。

 

なので、位置こそブロンクスなものの、事実上マンハッタンの球団と言っても良いヤンキースと、牧歌的な事この上ないクイーンズに位置するメッツとでは、同じNYCの球団とは思えぬほどの落差があるものだな、と滞在中は嫌と言うほど実感したものだった。まあ、個人的にはコンクリートジャングルのマンハッタンより、クイーンズの方が遥かに居心地が良かったのではあるが、短期間の旅行などで行くとすれば迷わずヤンキースタジアム一択に尽きるでしょう。