オンライン英会話 | ONCE IN A LIFETIME

ONCE IN A LIFETIME

フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

外国人と会話していると、極まれに「英語を学ぶ上で何が難しいですか?」とか聞かれたりする。つまり読み書き会話のうちどれが、と言う話であるが、ぶっちゃけ日本語ネイティブスピーカーである以上、全てと言わざるを得ない。今なお、日本人は英語が出来ない、と言うのが一般的な認識であり事実でもあるが、統計によれば日本人のIQは欧米諸国より高く、香港、韓国に次いで3位。そして先進国ならではの高い教育水準と、決して日本人が馬鹿だから、レベルが低いとかで話せないという訳ではない。要は、日本語が英語を始め、欧州系言語からあまりにも言語間距離が離れすぎている言語であるため、前述のように日本語ネイティブと言うだけですでにディスアドバンテージを背負っているのだ。

 

よって、たまに「私は馬鹿だから英語が話せない」と悲観する人もいるが、正直上記の理由から余程集中的に勉強でもしていない限り、話せなくて当たり前だ。北欧人の英語レベルが高い理由のひとつとして、「幼いうちから英語のアニメや番組に慣れ親しんでいるから、自然と身に付く」なんて話があるが、それはあくまで欧州系言語が英語と相性良いからであって、臨界期を過ぎた日本人がそれだけで習得するのは不可能に等しい。よく、「日本の英語教育がなってないからだ」と言う意見を耳にするが、それらの理由から週数時間程度の英語の授業で英語脳が身に付く訳がなく、英語脳なしで英文を理解出来る最良の方法で学んでいるだけであって、決して理にかなっていない訳ではない。もしも、英語だけで生活出来るレベルをこなすためには、香港の英文中学のように、国語以外の授業を全て英語でこなす必要があるだろう。

 

よって、日本人にとっては全ての要素が難しい、と言わざるを得ないが、それでも最も習得に時間を要しかつ最も困難なのは、やはりスピーキングである事は間違いない。文法や読み書きであれば、留学などで一度ノウハウを掴んでしまえば、後は独学でもなんとかなる。自分がそうだったから。リスニングも、今ではネットのおかげで素材に全く困る事はないので、毎日英語のニュースを聞く事が出来る。しかし、会話だけはやはり相手が居ないと極めて困難だと思う。フィリピンに3ヶ月留学しても、そうそう一日中会話と言う授業はありえないため、短期間で身に付けるにはジェット・リーや渡辺謙のように、家庭教師をつけて一日8時間ほどのマンツーマン授業でも付けなければ不可能だろう。つまり、一般人にはほぼ無理だ。「英語圏に住めば自然と話せるようになる」と信じている人間も未だ多いが、一度でも渡航経験があればそれはあり得ない事が分かるし、所詮は素人の戯言に過ぎない。

 

そこで、日本に居ながら英会話力を身に付ける現在最良の方法が、オンライン英会話だ。おそらく2007年ぐらいから立ち上がり、今では無数の業者が乱立しているが、1ヶ月1万円以下の定額コースは大体フィリピン教師と言って良い。

 

日本人は欧米のものなら何でもありがたるいわゆる欧米信仰が強いが、アジアに対しては冷淡だ。確かに、日本とフィリピンでは国力に大きな差があるのは事実であり、実際、自分がフィリピン留学を決めた時には馬鹿にしたような笑みを浮かべたスペイン人とのハーフも居たりした。しかし、自分にとってはとにかく誰でもいいから英語を話せる機会が欲しかったし、会話の上達には相手がいないとどうしようもない事にも気づいていたから、その存在を知ってすぐに登録して初めて行った。2009年3月の事である。

 

当時、相模原のUSA居住エリアに良く出向いていたが、確かに駅前留学とかに比べたら安いとは言えそれでも一回1時間で3000円はなかなか馬鹿にならない金額だ。しかも、基本的にほとんどが素人の主婦のアメリカ人なため、ある程度の教材はあるだろうが、そう特別なトレーニングをされているとも思えないため、向こうが一方的な会話をしているだけで終わった事すらままある。毎日でも行ければそれでもいいのかも知れないが、英語のために1ヶ月10万を平気で費やせる人間はなかなか多くはないと思うので、現実的ではない。

 

それに比べたら、自宅に居ながら1ヶ月5000円程度で1日25分まで話せる、と言うのは驚くべき価格だ。2009年当時の価格は覚えていないが、コース自体は25分と50分の2つが存在していた。とりあえず当時はほとんど話せなかったし、英語に対するモチベーションも大きくはなかったので、前者で始めていったが、当然グローバル性皆無の当時の自分は外国人の友人など皆無、もちろんフィリピン在住のフィリピン人と話すのは初めての事だった。

 

ここで、おそらく多くの人が不安に思うであろうフィリピン人の英会話能力と、そして訛りだ。フィリピンや香港、そしてシンガポールなどでは学歴と英語能力はほぼ完璧と言っていいぐらいに比例しているので、高学歴であればあるほど流暢な英語を話す。よって、フィリピン大学から厳選されたと言われる講師陣は、みな非常に高いレベルで英語を話してくれたが、その後企業を変更した時は、その限りではなかったため、人によっては文法のミスや、かなりの訛りも感じられたのは事実だ。

 

それに対するケチをつける人も確かにいる。しかし、先進国の中でも圧倒的な英語力の低さを誇る、我々日本人がどうこう言えるレベルなのかも確かだ。フィリピンではハリウッド映画はもちろんの事、英語のニュースやドラマ、そしてWWEも全て字幕なし英語のままで放映されている。つまり、リスニングの中でも極めて困難とされる、映画やWWEのマイクパフォーマンスをダイレクトに理解出来る、と言う事だ。それほどまでの英語能力を持つ彼らに、日本人がケチをつけるとかナンセンスの極み甚だしい。前の基地内店舗にいた時、ある年配の方が「フィリピン人は訛りが云々」とケチをつけていたが、いやいやそういう前にあなたの英語はアメリカ人に通じているのか、と突っ込みたくなったものだ。

 

さらに、全体的に言える傾向として、特別ゆっくり話してくれなくても、フィリピン人の話す英語は比較的分かりやすい。一応英語が公用語ではあるものの、ほとんどの人たちにとっては母語ではなく外国語、つまり英語を外国語として学ぶ大変さも良く理解してくれているので、そういう面からも気遣いが出来るのだと思う。

 

以上のような理由から、ずっとフィリピン人講師の授業を受けてきたのだけれども、当然初期の方はフリーカンバセーションなど不可能だ。な訳で、サイト推奨のSide by SideをAmazonで購入し、1冊終えるまで3ヶ月間それを使用していった。内容的には仮定法や、完了形中心だったと思うが、ぶっちゃけ英語を真面目に勉強していたのは中学までであり、それ以降何を習ったのかさっぱり覚えてもいないし、当然身に付けてもいないから、英語のみによる授業ではほとんど理解出来ていなかったと思う。

 

それでも、何とか回答していき、それが終わってからはサイトの問題集などを利用していき、面白くなくとも我慢して続けていくうち、なんとか年末頃にはそこそこ上達が感じられていった。が、一番大事なモチベーションが欠けていたので、さすがにもう日本に居るだけではこれ以上無理、と実感していった私は、2010年1月に遂に留学を決意、4月まで学校選びそして6月にとうとう人生初の海外生活を迎える事となった。

 

セブ島の中でも著名な学校を選んだので、どの先生方も英語能力は素晴らしく、学校以外ではショッピングセンターや商店街などでしか現地人と会話する機会がなかったとは言え、その能力には明らかな違いがあった。もちろん、街は英語表記ばかりだし、現地語で話しかけてきたのはタクシー運転手ぐらい、十分英語だけで生活出来るぐらいフィリピン人の英語能力は高かったものだが、それでも教師、特に上のレベルに位置する人たちは、ネイティブに近いぐらいの流暢さを誇っていた。

 

帰国してからオンラインを再開し、留学前と比べると会話、ボキャブラリー共にかなりの上達を実感したが、やはり日本人、日本語のみの当時の環境では、なかなか会話の上達は厳しく、言いたい事がなかなか出てこなかったり、会話に詰まってしまう事はしょっちゅうだった。また、このオンラインは講師の自宅からで回線が不安定な事が多く、停電によるキャンセルはしょっちゅう、また当然パートタイムである以上、お気に入りの講師が突然辞めてしまったりするなどして継続が困難になりつつあり、かつてフィリピンで知り合った方が他のオンラインのレビューを上げていた事をきっかけとして、2011年7月にとうとう他社へと移行した。

 

そこでもフィリピン人のみであり、前述のように訛りが強い方も見受けられたが、サイトの使いやすさや予約の取りやすさなどは断然こちらが上だった。そして、以前は夜限定だったものが、こちらは朝から予約が可能、つまりお出かけの前にも授業が可能となったおかげで、会話する機会が飛躍的に増えていった。そのおかげで、会話に詰まる事も少なくなり、大体始めて半年後ぐらいで「あれ?今日の俺めっちゃ流暢に話せてるな」と実感する事が多くなっていた。

 

2015年11月、今の店に移籍してからは、電車通勤と言う事もあって時間がさらに厳しくなり、2016年12月を持って休止、ほぼ24時間OKなD社へと移行し今に至る。こちらは世界中から講師を選抜しているので、南米や南アフリカなど、これまでは想像もしえなかった国の人たちとも会話をする事が出来るが、やはりコストの関係からか大部分はアジアであればフィリピン、欧州であれば東欧の旧共産圏、セルビアやボスニアヘルツェゴビナ、ルーマニア、特にセルビア人講師が圧倒的比率を占めている。

 

私の渡航経験は、アジアとアメリカしかないため、欧州人と会話した事は片手で数えられるぐらいしかない。よって、ここぞとばかりに欧州のみの講師ばかりを選択していっているが、やはり同じ欧州系言語と言うアドバンテージ、そしてほとんどの国が地上で隣接している事から、多言語を話す講師も珍しくなく、元々の言語能力が高い事もあって、ほとんどの方がネイティブにも劣らないぐらいの流暢な英語を話してくれる。

 

一応、さらにお金を払えばイギリスなどのネイティブとの会話も出来るコースがあるが、やはりどんなに頑張った所でネイティブ並は無理、そして自分にとって英語はあくまで共通言語である、と言う認識なため、ネイティブじゃなければ嫌、なんて気持ちはさらさらない。もし、自分が多くの日本人のように、そうでなければダメ、と言う変な認識の持ち主であったとしたならば、今まで自分が選んできた選択肢はなかったろうし、自分の手で自ら様々な英語を学ぶ道を閉ざしていたかも知れない、という事にもなるだろうから、改めて自分が余計な偏見の持ち主でなくて良かった、と今さらながら思う。

 

そういう訳で、本当に英語を学び話していきたいならば、まずは余計な偏見や拘りを捨てるべきが私の持論だ。ただ、やはり最初に触れたよう、日本語ネイティブと言う時点で大人が日常英会話レベルまで持っていく事すら非常に困難であるため、最低でも2年は毎日レッスンを積んでいく必要はある、と言うのが私のこれまでの経験による結論だ。