香港旅行記2012年9、10月。その1。 | ONCE IN A LIFETIME

ONCE IN A LIFETIME

フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

同年の台北旅行記同様、当時の様子は全く綴っていなかったので、生きているうちに自分史を少しでも残しておくため改めてここに記す。

この年も、2011年同様、誕生日を台北・香港で過ごすというマルチトリップを選択したが、誕生日の30日に台北から香港へ移動、と言うプランこそ変わりはないものの、価格の関係から今回はキャセイパシフィックから、初のチャイナ・エアラインを選択していった。

前回キャセイを選んだのは、運行時間帯の良さ、と言う点も確かにあったものの、やはり何度も触れているよう、CAは過去に重大インシデントを4年に1回のペースで起こしていた、と言うのが何より大きかった。しかし、1年前と比較し大分旅行慣れした事もあり、なるべく今回は費用を抑えたい、またスカイチーム参加後は大事故は起こしていない、と言う事から、1万5千円以上格安なCAを選択していった。

これにより、大分全体の費用を抑える事に成功出来たのだけれども、事故への不安以外にも、それを抑える事によってのデメリットがもうひとつだけあった。それは、桃園から香港へのフライトが早朝の7時台、と言う事だった。この場合、国際線と言う事を考えたら、やはり最低でも午前5時半には空港に着いておきたい。しかし、桃園は台湾最大の国際空港にも関わらず、最大都市・台北からの鉄道によるアクセスが一切設定されていないのだ。

その代わり、日本の成田空港よろしく、台湾各地へのバス路線は非常に充実しているが、道路状況などにより時間帯が非常に左右されてしまうのは事実だ。もちろん、台北駅のターミナルからでも早朝フライトに十分間に合うようなダイヤ設定こそされているものの、寝坊したら致命的ミスになりかねない早朝便と言うのはやはり高リスクが付きまとう。

しかし、6万近くするキャセイに比べて、高くても4万強で帰るCAのチケットはやはり魅力的だし、幸い、ホテルからターミナルまでは徒歩5分程度の所にある。早朝であればさすがに道路は空いているだろうし、とにかく自分さへ早起きできさえすれば良いのだ。と言う訳で、日本から持参してきた目覚まし時計を午前4時に設定し、無事午前4時半頃にチェックアウトする事が出来た。

おそらく、この時は午前5時ぐらいのバスに乗れたと思うが、席も道路もガラガラであり、50分も経たずに桃園国際空港に着いてしまった。桃園から香港へのフライトは1時間半もなく、日本で言えば国内線で移動のような感覚なので、食事も一応出る事は出るものの、簡単なパンとジュースが提供されるぐらいだった。

当然、この間のフライトは日本語も日本人アテンダント、そして日本人の乗客自体滅多にいないので、何となくだけど国際線独特の緊張は多少強いられる。もちろん、国際線である以上どのFAにも英語は通じるのであるけども、まず間違いなく北京語で話しかけられるので、その度に聞き返す事になるのが多少面倒ではあった。

な訳で、香港にはあっという間に到着してしまう。午前8時過ぎともなれば、バスも電車も平常通りに動いているので、市内までは何の問題もなく着く。初めての香港はAEを利用したものの、この時はバスの扱いにもかなり慣れていたので、A21のバスに乗り、そのまま尖沙咀に直行したと思う。1階席が満員の場合、荷物から目を離したくないがゆえに、2階に行かず立ちっぱなしになる事も多いのだけれども、この時は早朝と言う事もあり無事に後方の席に座る事が出来た。

渋滞が社会問題ともなっている香港、日中であれば1時間以上はかかる事もザラな市内への道であるが、幸いこの時点でもまだ早朝なだけあってかなり早く尖沙咀に到着したと思う。ただ、この時はまだ重慶大廈に泊まるほどの勇気はなく、前回泊まった美麗都大廈(メイライドータイハー, Mirador Mansion)も避けた。一応、この2012年の時点では、両大廈ともにBooking.Comなどでの予約が可能ではあったのだと思うので、避けた理由としては単純にまだ勇気が出なかっただけ、だったと思う。

では、どこにどうやって泊まったか。私が、当時一番利用していた旅行サイトが、世界のナビサイトのひとつである香港ナビだ。そこでは、数にかなりの限りこそあれ、ホテルでの予約も受け付けている。そこで格安の宿を探している時に目に留まったのが、美麗都大廈のやや北に位置する金冠大廈(Golden Crown Mansion)内の「我が家」と言う小さな韓国人経営のゲストハウスだった。

ゲストハウスにも関わらず、1泊なんと6100円、5日間泊まったと思うので何とこれだけで3万円だ。台北滞在時に利用した、チェアマンホテルが1泊4500円弱ぐらい、当時は成田空港そばのホテルでさえ4000円弱で泊まれたのだから、ゲストハウスでこの価格は割高だ。重慶であればその半額で泊まれるので、今では考えられないものの、当時はまだその肝心な勇気がなかったので仕方がなかった。安全性を考えたらのリスク料とも言えるものの、以降は平穏に重慶に泊まれていた事を考えたら、やはりちょっとの勇気が足りなかったおかげで大分損をしていたものだったな、と実感せざるを得ない。

まあそれはさておき、オーナーが韓国人であるとは言え、「我が家」と言う名前からも日本人客受け入れ態勢は整っており、もちろん日本語もペラペラだ。チェックイン時間の午後1時より大分早く着くことになってしまったものの、幸い準備はもう出来ていたという事で、午前中ながらも快く部屋まで迎え入れてくれた。

香港で誕生日を迎えらえる、だけで十分ハッピーなものの、それでもやはり誰かと一緒に祝ってもらいたいものだ。なので、日本を発つ前にある現地の友人と約束していたものの、あいにくその日は中秋節だったので、どうしても家族と過ごさざるをえないという事であり、別の日に会う、と言う事になってしまった。まあそれなら仕方ない、と思っていた矢先、別の友人から今日会いませんか、との連絡が入り、もちろん二つ返事でOKした。

午後に東鉄線のTai Po Market駅で待ち合わせ、との事だったので、
それまでの間に、香港到着時の最優先事項のひとつである、SIMカードを買いに街へと出て行った。香港は法律でケータイは全てSIMロックフリーが義務付けられており、当時日本でその手のものはほとんど流通していなかった事からも、香港から流れてきたフリーケータイが日本で高値でさばかれていたものだった。

実は、この年の3月に、私も香港でSIMロックフリーのiPhone4Sを購入し、そのまま日本でもDocomoのXiのSIMカードで使用していたものの、Wifiが壊れるというトラブルがあり、一応アップルで直してくれたものの、それに不安を覚えた私は6月にソフトバンクに乗り換えていた。よって、当然私が持っていたものはロックフリーではなかったのだけれども、当時すでにアマゾンなどで一時的にフリー化可能な怪しげなツールが出回っていたので、それをかませて台北でも現地SIMを利用していた。

よって、SIMロックフリー天国の香港では、現地プリペイドSIMも特別なIDなどなくとも、旅行者でも誰しもが自由に購入出来る。もちろん、重慶のグランドフロアでも無数なまでのSIMが売られているのだけれども、何故か日本人ユーザーお勧めのThree.com.HKのカードはそこにはなかった。よって、わざわざMTRでSham Shui Poまで出向き、お気に入りのSIMを158HKDほどで購入したと思う。当時は超円高で1HKDが10円を切ろうか、と言う時代だったから、大体1600円ほどだ。若干円高傾向になった今でも、ようやく1HKDが14円前後になろうか、と言うほどだから、本当に当時は何でも安く感じたものだった。

そして約束の時間に間に合うよう、尖東駅からTai Po Marketへと向かう。西鉄線は何度も利用した事あるものの、東鉄線はおそらく初めてだったかと思う。と言うのは、これは元々広九鉄道、Kowloon Canton Railwayと言い、19世紀に香港と大陸を結ぶために建設された鉄道であるため、香港の繁華街を渡り歩くには不向きな路線だからだ。よって、香港最古の歴史を持つ路線であるにも関わらず、大陸へ行く目的などない一般の旅行者などは、滅多に利用する必要のない路線だったりするのだ。

しかし、Taipo Marketは東鉄線のみの駅なので、当然利用せざるを得ない。初めて乗る路線、それは何故か他の最新のMTRなどに比べて随分と遅く、ゆったりだな、と感じた。その時は分からなかったが、それはつまり今でも香港と大陸を結ぶ路線、1日に付き10本前後の国境を超えるインターシティトレインが、香港領内をノンストップで走っているがゆえに、スピードを出せない、と言う事だったのだ。

な訳で、尖沙咀市内からにも関わらず30分近い所要時間をかけて、ようやく無事に現地の友人と合流する事が出来た。