香港でのTV出演のこと。その1。 | ONCE IN A LIFETIME

ONCE IN A LIFETIME

フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

おそらく、これまでの私の人生において最も奇跡的な出来事のひとつと言えば、ブルース・リー没後40周年にあたる2013年7月20日、香港の生放送の番組に出た事だろう。もちろん、クレジットも紹介もされていないので、ほとんどいち観客みたいな感じではあったものの、それでも出演した事実には違いない。当然、その時の写真などはFACEBOOK上にアップしてあるものの、いきさつなどはこれまで触れる事はなかったので、形に残しておくためにも今ここに綴っていこうと思う。

前述のよう、この年はブルース・リー没後40周年にあたるため、ブルース・リークラブによって何らかのイベントが行われる事は数ヶ月前より告知されていた。しかし、一応まだこの時点ではアメリカの有給インターンの話がまだ残っていたので、7月には日本にはいないつもりだったから、行くことはないだろう、と思っていた。しかし、前に触れたよう、様々な理由により延期になってしまったため、当面の間日本に残る事になってしまった。

そして7月、クラブ主催による献花式や、ゆかりの地を回るバスツアーなどがFB上などで告知された。しかし、私は会員ではないし、ツアーに参加するというのも苦手。よって、わざわざ献花式のためにだけ香港に行くのもどうかな、と思っていた矢先、香港文化博物館にて5年間限定ながらブルース・リーのエキシビションが開かれる事になり、その一般公開日が7月20日であると告知された。

すでに7月上旬となっていたが、この時点ならまだ都合は付く。あわてて航空券を探してみると、運の良い事に、台北経由のチャイナ・エアラインの3万6千円の席がまだ残っており、重慶大廈の部屋にもまだ余裕があった。正直、いくらゲストハウスとは言っても、現地での諸々の経費を考えると、1階の旅行につきどうしても10万円は超えてしまう。アメリカ行きのために少しでも貯金しておきたかったのが本音だったが、こちらも一生に一度の機会でもある。時間が迫っている事もあり、2週間前にしていきなりの香港行きを決めた。

到着日は7月18日。19日には文化博物館にて、プレス向けの記者会見があったものの、一般人は行けないと思っていたのでパス。その代わり、漫画家などによるイラストの展示会がWan Chaiで行われていたので、そこに向かう。ついでに、理由は忘れたが西九龍中心にも立ち寄り、女性モデルか何かの発表会を見て帰る。

そしていよいよ本番となる7月20日。会場はもちろん、星光大道なので、重慶からならすぐだ。しかし、告知によると献花式は誰でも参加出来るというものの、花は各自で用意との事だったので、前日夜から慌ててネットで花屋を検索するも見つからず、結局行く前に朝から尖沙咀周辺で探し回ったものの見つからず、結局着いたのは時間ぎりぎりの午前1030。

当然すでに人だかりが出来ており、「燃えよドラゴン」のテーマソングが大音量で流れていたのと、またNHKワールドのスタッフまで訪れていた。当日夜のニュースで流れていたらしいが、日本人の参加者は決して多くはなかったので、もっと早く訪れて居ればインタビューされたかも、とそれはちょっと悔やんだ。また、黄色のトラックスーツを着た小太りな日本人の芸人?が銅像の前でヌンチャクを振り回して、日本語で色々喋っていたが、当然反応はなかったため若干恥ずかしい思いをしたものだった。

そしていよいよセレモニー本番。運よく前の方に紛れ、しかも花までもらえたので、最初の方で献花する事が出来たが、先頭の人はいきなり銅像の前で膝まづいての礼までしていたり、死後40周年経ちながらも世界中で愛されているこの事実を改めて目の当たりにして、さすがの私もちょっと感極まってしまったものだった。

セレモニーはクラブのリーダーの方が広東語と英語、それを日本人の女性スタッフが日本語に訳す、と言う感じで進行されていた。セレモニー自体は30分もしないうちに終わったと思うが、実姉であるフィービーさんを始め、出演者やスタッフの方々が記念撮影などに応じており、しばらくの間私もその場に居て機会を伺っていた。そして、順番が空きそうなところに私もお願いした所、男性スタッフのひとりから許可をもらい、とうとうお姉さんのフィービーさんと会話をする機会を得る事が出来た!

もちろん英語で、Your brother changed my life.みたいな事を話したと思うが、あまりの緊張と感激に早口になってしまいうまく伝わらず、Are you speaking Mandarin?みたいな事を言われてしまった。その後どうしたかは覚えていないが、記念撮影にまで応じて頂いた。テレビやビデオでも拝見している、ブルース・リーを良く知る一人、しかも身内、実のお姉さん…ブルース・リーとここまで深い関係な人物と会うのはもちろん生まれて初めてなだけに、本当に私の心は感動に打ち震えたものだった。

しかし、奇跡はそれにとどまらなかった。しばらくしてすぐに、先ほどの西洋人らしき男性スタッフの方が、「今日テレビでブルース・リーの追悼番組をやるんだけど、良かったら出てみないか?」と尋ねてきた。午後11時55分からそのような番組が行われる事は、すでにYouTubeで知っていたが、まさか自分が出る側となるとは!ただ、深夜スタートの生放送、と言う事は、部屋に帰るのはどう考えても朝方だ。それには一抹の不安を覚えたが、憧れの香港で人生初のテレビ出演、しかもブルース・リーの追悼と言う、おそらく人生で二度とやって来ないかも知れない機会、こんな奇跡を逃す訳にはいかない。当然、二つ返事でOKした。