沢登りから無事、温泉宿に帰ってきた。
Rちゃんは、仕事があるため、朝の電車で東京に帰っていたけれど、その間も何度か山岳警備隊や宿に電話したらしい。そして、無事を確認してくれていた。
宿について、前日分のキャンセル料を払おうとしたら、食事の準備もしてたはずなのに、「無事かえってきてくれただけで結構です」といって、お金をとられなかった。
また、お風呂に入りたい私たちに、日帰り入浴の割引券までくれた。泊まらなかったから客でもないのに、すごく親切にしていただいた。
帰りの車で、携帯の電波がはいったところで、Rちゃんに電話すると、無事をすごく喜んでくれた。練馬でおろしてもらい、そこから彼と一緒に帰った。まだ実感がなかったけど、すべて、終了したんだなって思った。
その後、いろんな人にあって、わたしの顔がヒドいので「どーしたの?」ってきかれたし、ラジオの収録もひとつ休んだので、事情を説明した。
でも、一番話したい人には、なかなか話す機会がなかった。
けっきょくわたしが、Rちゃんに会ったのは、それから3日後のきょう。
ランチの約束をしたのだ。Rちゃんにも同じように事情を説明するんだろーなーと思ったけど、レストランに座ってる彼女をみたときに、ぐっとこみあげてきてしまった。
リアルに思い出したのだ。温泉宿で笑顔で見送ってくれた彼女のこと。
Rちゃんに会いたいなーと思いながら、歩いたけど、結局帰れなくて、山の中ビバークしたことを。不安でいっぱいだったことを。
「会いたかったんだよー、すごく」と言葉にしたら、心のやわらかい部分が反応しちゃって、涙もでてきてしまった。
Rちゃんのお父さんの隊長と、だんなさんの玄ちゃんの話をして、わらって、またちょっと泣いて、ごはんを食べた。
Rちゃんとご飯を食べるのは、2日前のわたしの一番の夢だった。
「生きててよかったね」といわれた。
待つほうも苦しかったらしく、「自分も、こうやって親に心配かけたりしたんだろうなぁ」と話していた。
そして、わたしの顔をみて、ボツボツだらけなのに、「いい顔になったね」といってくれた。いい顔なもんかっ!