王子詣 | stella d'argento /silver star

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銀星は瞬き、遥か彼方をも照らす。


その日なら空いているよ、と言って頂いたので


1年ぶりに王子に会いに行きました。



ショコラ色の毛にクリクリの目は変わらずでも


足が去年よりぐぐっと太くなったような気がして


一目見た瞬間に驚きました。



広いフロアを駆け回るかと思えば


手を出すとつつーっと寄ってきて


ごろんとお腹を出しまして


「 撫でれ 」と。



一通り撫でるとしたたーっと遠ざかり


また戻ってきてごろりとお腹を出す、の繰り返し。



新しいブラシは金属が痛いらしく


歯があたった瞬間に飛び起きてしまって


ブラッシングはできず・・・。


痛くないブラシは王子が破壊したらしい。




ご主人様と共に家を出たのですが


「 またね 」と手を振ると、遠くをぼんやりと眺めるような


そんな目をしたので思わず駆け寄って撫でてしまいました。


「 また来るからね 」 




「 行ってきます 」と言って出かけようとする私に


階段の上で尻尾を垂れたダンディが向けた


かつての視線にそっくりでした。


ひとりでお留守番か・・・という顔。


家族の誰かが帰ればひとりではなくなるダンディとは異なり


王子はご主人様が戻るまでひとり。


あの広い空間で、ただ待ち続けるのはどんなだろう。




お留守番の後のダンディはコバンザメのようでした。


どこへ行くにもついてきて、いなくならないか確認。


またひとりにならないか心配しているように。


それでも「 行ってきます 」 を覚えてからは


それを聞いた後はお留守番なのだ、と理解して


留守を守って待っていました。


だからこそ帰宅後のコバンザメを撫でまくり


いつもなら嫌がって逃げ出すいじり方も


この時はされるがままでした。




今度会う時にはもっと褒めてあげよう。


「 いつもお留守番えらいね 」 と。




ダンディのことを思い出しながら


王子のことを思いました。