東山魁夷展 | お気に入りの時間に

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11月30日、仕事帰りに六本木・国立新美術館の「東山魁夷展」に行ってきました。
会期中最後の金曜ということで、チケット売り場から既に行列でしたが、ほどなく購入して2階の展示室へ。

数年前に山種美術館で見た『年暮る』が非常に印象的で、『京都四季』の習作がお目当てでした。
東山魁夷といえば、木立の中の1本1本の木々のシルエット、緑の濃淡で描き分けられた稜線など繊細なタッチの印象を抱いていましたが、40代の作品は意外にも大らかなタッチで描かれたものが多いのですね。
より繊細な作風に変化するのは、北欧へ旅した頃からでした。

東山魁夷の絵画は「モノトーンの美」だと思うのです。
決して多くの色を用いない。
しかしながら、山を描く緑の色は深い緑、ビリジアン、明るい新緑の色、色鍋島のようなさわやかな緑、青みがかった緑…
いったい緑色だけで何色あるのでしょう?

そして、この企画展で圧巻なのは、唐招提寺御影堂の障壁画でした。
『濤声』の展示室から次の展示室へ入った途端、目に飛び込んできたのは『山雲』の間床の貼付絵。


溜息にならない溜息をついて、身動きができませんでした。
濃い霧がかかった深い山。
いつか何処かで見たことのある風景なのに、絵の迫力に圧倒されて言葉にならなかったのです。
美術展を見に行くと印象に残る作品には数多く出会えますが、このように圧倒されて作品に呑み込まれてしまうことはなかなか無いことです。
いつか修復が終わった御影堂で見てみたいと思います。