そうこうしている間に、機は既にアプローチに入っている。やはり、ヴィジュアル、いや、コンタクトアプローチだ。
ダイレクトベースからファイナルターンへ、スムーズに旋回し静かに接地した。
一般的に、スムーズな接地が上手いパイロットと言われがちだが、そうともいえない。パイロットに聞くと状況による、との事。
勿論スムーズな接地は心掛けてはいるが、その時の天候や、風、滑走路の状態、長さ等の条件によっては、接地のショックは犠牲にしてでも、接地点に着ける事を優先する事も多いとの事。
事実、飛行機のAOM(Aircraft Operation Manual)には、接地のスムーズさよりも、接地点に確実
に接地することを推奨している。
接地のショックだけで、パイロットの腕を判断してはいけないのだ。着陸とは実に奥が深いものである。
Capを先頭に、Copさんと二人が事務所に入ってくる。
「お疲れ様です!」『こんにちは』、やはりコミュニケーションは大切。
デブリーフィングは、挨拶から始まる。
二人とも制帽を脱いで、カウンターの前に立つ。それまでの柔らかい雰囲気が、ピリッとした緊張感に変わる。
Capが口を開く、『え~40000で来ました。途中、ライトマイナス程度の揺れが数分入りましたが、特に問題ありません。帰りはオリジナルでお願いします。』
訳すと、40000フィート(約12100メートル)で来ました。途中で、軽い揺れがありましたが、運航に問題ありませんので、帰りは、元々計画されていた41000フィート(12400メートル)のフライトプランを採用します。
天気の良い日は、こんな程度で終わりとなる。
あまりにも簡単におわるので、「インサイトはどの位でしたか?」等と聞いてみたりするのだが、『100マイル位から見えてたよ』と言った答えで終わる。
この便は、出発まで一時間程時間があるので、パイロットは、事務所でお弁当を食べる。私達と、フライトの話や趣味の話等をするので、私達にとっては貴重な勉強時間にもなる。
今日は、私の飛行慣熟訓練なので、CapとCopさんに挨拶をする。
すると、顔見知りの、石津Capは『楽しんで下さい』と、若くて顔見知りではないCopさんは『そうなんですか! 宜しくお願いします』と言ってくれる。
この時の雰囲気だけでも、その日のフライトの良し悪しが決まると言っても過言ではない。
今日は、二人とも感じの良いパイロットなので安心した。
*他にも、『元飛行機関係者のしょうもない話』を書いていますので、よろしければご覧下さい。(station-control)です。