速報をTwitterで追いながら、僕は物語の鼓動をたしかに感じた。世間的には無名に近い支店メンが続々と上位にランクインしてゆく。こじはる、たかみな、麻里子様がこれまでだったらあり得ない順位で発表されていく展開に、最高にスリリングで興奮したことを告白しておく。
速報からの巻き返しは当然あるだろうが、全体的な「変革を」という流れは変わらないと思う。
いや、変わらなければならない。
前田敦子卒業以来のAKBは明らかに停滞感が漂っていたと思う。これはある意味では仕方のないことだ。いくら「AKB第2章だ」と運営が煽ってもエースと目標を失ったAKBGが混乱するのは必然だった。
言ってみればポスト前田敦子時代のAKBは『桐島、部活やめるってよ』状態だったわけである(この点に関しては濱野智史が前田敦子をキリストにたとえ、中森明夫が桐島=キリスト説を唱えたことは興味深い)。
突如、到来した絶対的空白。
AKB第2章が峯岸みなみの坊主事件を頂点とするメンバーのスキャンダル騒動が中心で語られてしまったことからも、いかにAKBが方向性を見失っていたかがわかる。
だから(その意図はどうあれ)支店を各地に置いた秋元康は天才なのだ。そして、デビューしたばかりの博多へ指原莉乃を送り込んだのは神の一手だった。
(悔しいけれど)
中央政府が停滞しても、地方は関係ない。おそらく、AKBだけであったら既存のアイドルと同じようにもう物語は終焉へ向かっていただろう。
が、これからむしろ事態は「バカヤロー!AKBGはまだ始まってもいねーよ」になる。
だって、支店の彼女らの物語は始まったばかりだから。
むしろ、支店が本店を倒すという物語すら作れるから。
SKE、NMB、HKT...これら地方勢力がAKBを凌駕する物語。
その象徴が指原莉乃である。
指原の強みとは何か?
それは彼女が前田敦子を軸に語れられないことだ。
大島優子は言うまでもなく前田敦子のライバル。まゆゆは後継者。ぱるるはもちろん運営からもオリメンからも前田敦子という物語の継承者として推されている。彼女らのいずれかがセンターになっても、しょせんは「あっちゃんと比べて...」という話に収束してしまう。
そう、彼女らであっちゃんの亡霊を祓えないのだ。この停滞と硬直を打開することはできない。
その点、指原莉乃は前田敦子をまったく連想させない。彼女がセンターに立つことによってまったく新しいAKBGが始まるのだ。
ちなみに指原の速報1位に驚いている人が多いのがむしろ驚きである。あっちゃん、優子と比較するとまゆゆでは役不足。ゆきりんは自滅。...かといってまた大島優子じゃ面白くない。そうなるとこの1年大きなマイナスを帳消しどころか大幅なプラスに変えた指原しかいない!となるのは実は当然の流れ。地元九州を完全に見方につけている点も大きいだろう。
(秋元康はAKBを高校野球に例えるが、甲子園のように“オラが村のアイドル”を体現しているのは、唯一指原莉乃のみである)
指原莉乃。
2013年6月8日の日産スタジアム。
“前田敦子という物語”を超克するため、彼女は巫女となるだろう。