以前もお話ししましたが、私は将来「愛着と父母両性の在り方の関係」について細々と講演活動をしようと考えています。そのために、少しずつそのプレゼン用スライド資料を作成中です。
 今回はその中から、「失敗した時すぐに叱られる子どもの中でどんなことが起きている?」というタイトルのスライドを紹介します。


 まず「失敗してすぐ叱られる」が続くと、子どもは「この人から褒められることはない」と諦めてしまい、より良くありたいという気持ちが薄れ、自己肯定感が下がってしまいます。その結果、親に対してさえ心理的な距離をとるようになり、最終的にはそれが発端となって「回避型」愛着不全(→ https://ameblo.jp/stc408tokubetusien/entry-12261672150.html)になってしまう可能性がありますで。

 次に「失敗してすぐ叱られる」と「いいことをして褒められる」の両方だとどうなるでしょう。親の対応が複数あれば、当然子どもはそれらから自分に有利な方の対応選択する、つまり「叱られるより、親が喜ぶことをして褒められたい」と意識するようになります。これは子どもにとって極めて自然な考え方です。
 しかし仮に、“褒める”と“叱る”について親の一貫した基準が無く気分的なものになった場合、たとえ子ども自身が納得していなくても、親に褒められたいがために「親の顔色を伺う」「親に依存する」という現象が始まり「不安型」愛着不全(→https://ameblo.jp/stc408tokubetusien/entry-12261842563.html)に陥る危険が高まります。

 その一方で「失敗しても一度目は許される」と「いいことをして褒められる」の両方だとどうなるでしょう。子どもは「親は失敗する自分をも受け入れてくれる」と認識し、失敗した時にも避難できる自分の“安全基地”として親を信頼するようになるでしょう。これが、失敗する子どもであっても受け入れる親の「無条件の愛」(→https://ameblo.jp/stc408tokubetusien/entry-12361701027.html)と言われるものです。この愛を享受できる子どもは、自分の失敗も受け入れることができるので、「親に褒められるように」と焦ることもなくなり「安定型」愛着(→ https://ameblo.jp/stc408tokubetusien/entry-12261542596.html)を身に付けることができます。
 以前、いじめによる自殺が続いた時期に、白梅学園大学の増田修治氏が「親が普段から子どもに『強くあれ』と願う風潮があり、そのためにいじめられていることを自分の“弱さ”だと捉えてしまう子どもが、親にいじめ被害を相談できずに自死に至ってしまっている」と指摘されていました。いざという時に子どもの命の行方を左右するのは、普段の子どもの失敗を受け止める親の態度なのではないかと思います。逆に「失敗せずうまく出来た時だけ褒めてあげる」という親は「条件付きの愛」で子どもに接しているのです。

「一度目の失敗は認める」ことが いかに重要か、お分かり頂けたのではないでしょうか?

 なお、この「一度目の失敗は認める」を取り入れた叱り方の概要については、本ブログのダイジェスト記事「【叱り方】~段階を踏んだ叱り方のルーティンで子どもは進んで行動を改める~」(https://ameblo.jp/stc408tokubetusien/entry-12383348265.html)を参照ください。