【今回の記事】

【記事の概要】
子供の脳を育てる4つの言葉かけ
1.ポジティブな言葉かけ
    0~2歳児は、まだこの世に生まれたばかり。「~をしてはだめでしょ」と注意されても、一体、何を求められているのか想像できません。そういう否定の表現より、「~しようね」と、すべきことをポジティブに、具体的に伝えてください。そのほうが何をしたらいいかがはっきりわかって、学びにつながります。また、「まったくもう!」「いい加減にして!」など、自分のネガティブな感情を吐き出さないよう、保育のプロとして、意識してコントロールしたいですね。ネガティブな言葉は、子どもの脳を育てないことが研究でもわかっているんですよ。 「言葉のかかわりはポジティブに具体的に」。これがひとつ目の基本です。
NG:否定語・禁止語では、子どもはどうしたらいいかがわからないばかりか、脳の育ちにもマイナスです。
OK:ぜひいつも、「〜しよう」という、ポジティブで具体的なかかわりを心がけて!

2.自己決定できる話しかけ
    保育の目的は、「子どもが自立し、その子の人生の主人公となって生きるための援助」です。その援助に必要なのは、子どもを自分の思いで動かす言葉ではありません。子どもが自分で決めて行動できるよう促す言葉です。たとえば、「ご飯だからもう片づけて」ではなく、「そろそろご飯だけど、どうする?」というような問いかけですね。このとき、まだ遊びたいようなら、「まだ遊びたいんだね」と、その気持ちを一度受けとめます。そのうえで「じゃあ、終わったらおいでね」と、自分で終わりの時間を決められるようにします。このような“子どもを主体とした保育”では、子どもを急がせたり待たせたりする必要がほとんどなくなります。
NG:時間を基準にして一方的に動かすと、子どもが自己決定する機会を奪ってしまいます。
OK:その子の自己決定を尊重します。まだ話せない子であっても、一方的に話さず、相手の気持ちをくみ取りながら対話するような形で。

※記事タイトルで「子どもの脳を育てる4タイプの『言葉がけ』」とある通り、本来は全部で4タイプありますが、その内容面からここでは省略しました。

人権侵害レベルのNG集!子どもの脳を傷つけるネガティブな言葉のかかわり
    命令する、どなる、叱りつけるなどの言葉は、子どもの脳の発達を妨げることがわかっています。 相手が大人なら言わないのに、幼い子どもだとつい言ってしまう言葉はありませんか?チェックしてみてください。
1.脅し
    子どもを動かすために、「鬼が出るよ」とか「どうなっても知らないよ」などと脅すようなことをいう。
2.感情の吐き出し
    感情をコントロールしようとせず、自分の怒りやイラつきをそのまま子どもにぶつける。
3.強要
    やりたくないことを無理にやらせようとする。たとえば、声をかけずにいきなり抱き上げたり、「オムツ替えようね?」と声かけをしないでオムツを替えたりするのも、強要といえます。
4.行動・人格否定
    ほとんど物的な環境構成をすることもせず、子どもを叱ってばかりいる。
5.否定的な決めつけ
「いっつも~だよね」「どうせ~だよね」とネガティブに決めつける。
6.あきれて見下す・からかう
    子どもの発達段階を考えず、できないことをあきれたり、からかったり…。
7.執ように長い説教
    0~2歳児は、そもそも長く話しても最後の部分しか記憶として残らない。長い説教は貴重な遊び時間を奪ってしまう。
8.乱暴な言葉づかい
    ガサツな物言いはとげとげしく、心をすさませる。実際の「乱暴」は、完全に人権侵害です。


【感想】
    今回の記事は、もともと保育士さん向けのものとして書かれていますが、「安全な環境の下で安心できる時間を過ごさせる」と言う“保育”の働きは、「外部で抱えてきたストレスを癒す」と言う“家庭”における働きと共通した面があります。

◯ポジティブな言葉かけ
記事中に指摘されているように、「……をしてはだめでしょ」は、「それ以外の行動をしなさい」という指示でしかありません。幼い子どもにとっては、「自分の行動が否定された」というネガティブな印象を与えるだけでなく、「次はこう行動しよう」ということが分からず意欲が湧きません。「また注意されるかも」という不安感だけが生まれ、更にそれが繰り返されることによって、消極的な子どもになってしまうでしょう。そこで、「……しようね」という、ポジティブで具体的な言葉が大切になります。例えば「何?そのだらしない食べ方は!」という注意は、どうすればいいかが分からないために子どもの意欲が下がるだけでなく、子どもの行動を否定するネガティヴな印象を与えることによって、子どもの一生の人格形成に影響を与える「愛着」の構築にも悪影響を与え、人間関係が苦手な社会性に欠けた大人になってしまう危険が高まります。そこで、記事中にあるように、「お茶わんは持って食べようね」等のような「〜しようね」という具体的でポジティブな言葉がけが必要になります。そのことは、以前投稿した記事子どもへの注意の仕方 〜まとめ 〜」で詳しく紹介しています。お茶わんを持って食べなさい」でも具体性はあり、どうすればいいかは分かりますが、命令口調のために子どもには「自分の行動を否定された」と言うネガテイブな印象を与えてしまいます。

◯自己決定できる話しかけ
「子どもが自分で決めて行動できる」ようになるための話しかけ方です。記事では、晩ご飯前の声がけ場面を例に次のように挙げています。
①「そろそろご飯だけど、どうする?
②「まだ遊びたいんだね
③「じゃあ、終わったらおいでね

    この中で、自分で終わりの時間を決められるようにするのであれば、上記の③では、あと何分したら終わりにする?」の方が、子どもも親も明確な見通しが立つのではないでしょうか?上記の「じゃあ、終わったらおいでね」だと、いつまでやるかは子どもに任せられたことになるのですが、その言葉通りいつまでもやめないでいると、結局は「もうご飯だからもうやめなさい」ということになるでしょう。結局は「終わったらおいで」と言う約束が守られなかったことになってしまいます。

    また記事では「“子どもを主体とした保育”では、子どもを急がせたり待たせたりする必要がほとんどなくなります。」と指摘しています。“大人を主体とした保育”では、子どもは大人を基準にして動かされますから、当然急がせ急がせられたり待たせられたりする場面が出てきます。子どもが自己決定することによって、余分なストレスを子どもに与えずに済むと言うわけです。
    サッカー日本代表の森保監督は、選手に注意する代わりに、「あの場面ではどうすればよかったか?」と問いかけるとのこと。親が「もうご飯だから片付けをしなさい」等と子どもに注意する時も、「この場面ではどうすればいいか?(片付けるか遊ぶか、片付けるとすれば何時までに片付ければいいか)」を子どもに問いかければ良いのですね。

子どもの脳を傷つけるネガティブな言葉
1.脅し
2.感情の吐き出し
3.強要
4.行動・人格否定
5.否定的な決めつけ
6.あきれて見下す・からかう
7.執ように長い説教
8.乱暴な言葉づかい

    これらが、「愛着」研究の第一人者の岡田尊司氏が「どの家庭でも『愛着』不全に陥る可能性がある」と危惧している「否定的・支配的養育」と言えるでしょう。

《子どもの否定》
    子どもを未完成な存在と考えず、大人である自分を基準と考えているため、「できて当たり前」「なぜできない?!」と子どもを否定する考え方
4.行動・人格否定
5.否定的な決めつけ
6.あきれて見下す・からかう

《子どもの支配》
    まるで、子どもが自分の家来であるかのような“支配”する考え方
1.脅し
2.感情の吐き出し
3.強要
7.執ように長い説教
8.乱暴な言葉づかい

    これに伴って、私の考えの“幹”に当たる内容を選抜して改めて書き下ろした「ダイジェスト記事」の中の「要注意!一般家庭でも愛着不全の子どもにしてしまう落とし穴」についても一部加筆しました(加筆部分は赤文字で記しています)。


  “言葉がけ”だけで子どもの脳の成長が妨げられると言う指摘はもちろんのことですが、“言葉がけ”によって親子間の「愛着」が破壊され、子どもの人間関係能力、知能、自立性、異性関係、結婚生活、各種依存症、身体的健康、更には寿命に至るまで、子どもの一生に渡って人格形成に悪影響を及ぼし、その結果、いじめ、不登校、ひきこもり、非行、家庭内暴力、恋愛・結婚回避、セックスレス、離婚、薬物依存、家族内殺人等、昨今毎日のようにニュースで報道される深刻な問題にまで発展する、と言う「愛着」研究の第一人者である岡田尊司氏の指摘は、看過できない重要な問題だと思います。