【今回の記事】

【記事の概要】
①大相撲の貴乃花親方(元横綱)が25日、都内で、日本相撲協会に退職届を提出したと発表したことについての会見を開いた。退職届を、年寄からの引退届と位置づけた上で、今年3月に内閣府に提出した告発状が、事実無根だったと認めるよう協会側から言われていたことが理由だったとした。
   貴乃花親方は、昨年の秋場所中に発生した弟子の貴ノ岩への元横綱日馬富士による傷害事件に対する、協会の対応に問題があったとして、告発状を提出。協会内の反発などが強く、同28日に取り下げた。このことについて、8月7日、協会から書面が届いたと明かした。外部の弁護士に依頼した結果の見解として、貴乃花親方の提出した告発状は「事実無根な理由に基づいて出されたもの」と結論づけられていたという。貴乃花親方は「書面で事実無根ではないことを説明してきた」とも明かした。
   貴乃花親方によると、その後協会側から、事実無根であることを認めないと「親方を廃業せざるをえないという有形無形の要請」を受けていたという。協会の理事会では、全ての親方は一門のいずれかに所属しなければならない旨の取り決めがなされたが、貴乃花親方の場合は「私は一門に入る条件として、事実無根なことに基づいて出されたものとして認めるよう言われておりました」と告白した。この点が貴乃花親方には我慢できなかった。「真実を曲げて、告発は事実無根と認めることは私にはできません」とし、「このままでは私はどの一門にも属することはできません。このままでは相撲を続けることができなくなり、弟子たちは安心して鍛錬、精進することができません」という現状を憂慮。「断腸の思いではございますが、貴乃花部屋の所属しております力士、床山、世話人は継承者である千賀ノ浦部屋(元小結隆三杉の千賀ノ浦親方が師匠)に所属先を変更させていただき、私、貴乃花は年寄を引退させていただく結論に至った次第です」と経緯を説明した。

②貴乃花親方の電撃的な行動の背後には、協会の「包囲網」に追い込まれ、孤立を深めていった親方の姿がうかがえる。
   協会は7月下旬の理事会で、全ての親方や力士は9月27日の理事会までに5つある一門のいずれかに所属しなければならないと決定した。協会から各一門に助成金が支給されている以上、無所属の親方が複数いるのは体裁が悪いとの理由だった。一門所属を義務づける決定は公表されず、各一門代表の理事から親方衆に通達されただけ。貴乃花親方がこの事実を知ったのは、今月の秋場所序盤としている。電話で伝えた中堅親方は「彼(貴乃花親方)には何も情報が入っていない。“本当ですか?”と驚いていた」と明かした。
   協会は「圧力」の事実を否定したが、無所属のままならば部屋閉鎖や一代年寄剥奪とする案もささやかれており、あらゆる条件を付けて「追放工作」を図ったようにも映った。

【感想】
   昨今、学校現場では、自閉症スペクトラム障害の子どもが周囲から誤解されてA君はどうしてこんなことをするんだろう?」等と不審な目で見られています。
    私達は誰でも生まれながらに大なり小なり自閉症スペクトラムの特性を持っています自閉症スペクトラムの特性が「0」という人はいません)その特性の強さがある一定基準以上になると「自閉症スペクトラム障害」と診断されます。
   実は以前投稿した記事でも紹介しましたが、貴乃花も、その自閉症スペクトラムの特性を強く持っています。もちろん、これまで大人社会の中で生活してきたので、障害域にある方だとは決して思いませんが、私と同じようにグレーゾーン周辺にいる方ではないかと思われます。
   今回は、先のような子どもの「なぜ?」を今回の貴乃花の引退表明を例に皆さんに分かってもらいたいと思い、この投稿記事を作成しました。


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   さて、以前投稿した記事でも紹介しましたが、自閉症スペクトラムの特性は多岐に渡りますが、その中に、特に貴乃花に関係する以下のようなものがあります。
愚直なほど「……であるべき!」という正義感が強い(「想像力の弱さ」の為)
あいまいさが嫌い(「コミュニケーション能力の弱さ」の為)
自分の信念に対する“こだわり”が過度に強い(「想像力の弱さ」の為)
他人との意思疎通不得手不器用(「社会性の弱さ」の為)

   今回の問題は、貴乃花がどこかの一門に所属さえすれば問題は解決するのですが、自分の告発状をもみ消そうとする協会の理不尽な行動に対して非常に強い強い嫌悪感を抱いている(「真実をもみ消そうとするのは間違っている!」)貴乃花には、そんな協会に属する一門に属することは、自分の主義信念こだわり)がそれを許さないのです。自身の地位確保のためとはいえ、事実を“あいまい”にしてまで今の協会と付き合うことはできないのです。
    少し話題がズレるかも知れませんが、その“あいまいさ”を嫌う特性は、例えば、料理の味の好みにも表れます。私の例で恐縮ですが、私はウリが苦手です。なぜなら味が薄くハッキリしないからです。キュウリは好きで食べますが、あのくらいハッキリした味がしないと、なぜか気持ち悪いのです。同様に、自閉症スペクトラム障害の子どもはハッキリした味付けを好みます。また、何かと何かとを混ぜて食べるのが嫌いです。それぞれの味が混じり合ってしまいよく分からないあいまいな味として感じられるからです。

   また、世の中には、今回の貴乃花の記者会見を聞いて、「弟子との間柄を切ってまでして、どうして引退しようとするんだろう?なんて人情が薄い人だ。」と不穏に思っている人もいるのではないでしょうか?実はその背景には、自閉症スペクトラムが、基本的に自分の世界に閉じこもりがちで、他者との繋がり、つまり「社会性」が弱いという特性を持っていることが存在しているのです。
   つまり、私が最も伝えたいことは、これまで紹介してきた貴乃花の言動は、あくまで先天的に私達に内在している特性であり、決して貴乃花が、「単なる頑固」とか「人間味がない非常な人」という見方は当たらないということです。
   また、このことは貴乃花に限りません。先に「私達は誰でも生まれながらに大なり小なり自閉症スペクトラムの特性を持っている」とお話ししました。私達の中にも、いわゆる「頑固真っ正直」「(『潔癖症』を初めとする)様々な“こだわり”」「人付き合いが苦手」等という形で自閉症スペクトラムの特性が存在しているのです。そしてその性格は、大抵の場合、子どもの頃からほとんど変わっていないのではないでしょうか?

   また、記事②によれば、「一門所属を義務づける決定は公表されず、各一門代表の理事から親方衆に通達されただけ。貴乃花親方がこの事実を知ったのは今月の秋場所序盤。電話で伝えた中堅親方は『彼(貴乃花親方)には何も情報が入っていない。“本当ですか?”と驚いていた』と明かした。協会は“圧力”の事実を否定したが、無所属のままならば部屋閉鎖や一代年寄剥奪とする案もささやかれており、あらゆる条件を付けて『追放工作』を図ったようにも映った。」との事。
  “急に”且つ“内密に”「どこかの一門に入らなければならない」というルールを決定しておいて、その後、「どこかの一門に入る代わりに、告発状が事実無根ということを認めること」と言う協会の要求は余りにも理不尽です。
   しかし、そのような非常識な行為があっても、「自分の地位保身のためには、まあ仕方ないか」と「なあなあ」に済ませてしまう人が多い中で、この貴乃花はまさに「ならぬものはならぬ」とハッキリとした立場を示したのです。

   これまでの人類の歴史の中には、時々こういう人間が現れて、大きな英断を下したり、歴史的な偉業を成し遂げたりして来ました。事実、“歴史上の偉人”と言われる人たちの中には、自閉症スペクトラムの傾向が強い人物が多いのです。

   自閉症スペクトラム障害の子ども達は、感覚過敏の特性を強くもっているために、ちょっとした苦手な刺激で精神的に不安定になり、不適応行動を示しますが、環境が整えば、貴乃花のように正義感が強く、ひたすら正しい行いをとろうとします。「朝の挨拶は大切だよ」と教えられれば、いわゆる「健常者」と言われる人以上に、キチンと挨拶をするステキな子ども達なのです!