「あなたも私も“自閉症スペクトラム” 」のその3です。

   さて、世の中には、いろいろな性格や特質を持った人がいます。例えば…
無口、人見知り、物静か、正義感が強い、友達が少ない、バカ正直、急な変更が苦手、几帳面、頑固、シャイ、一人で抱え込んでしまう、記号や数字にこだわる、高所恐怖症、慎重、職場が変わると慣れるまでストレスが増える、KY(空気が読めない)、熱中すると周りが見えなくなる、時間にうるさい、マニアック、完璧主義、飲み会のような集まりには参加したがらない、難しい言葉を使う、潔癖症、没頭タイプ、1人が好き、人の行動がとても気になる、規則を頑なに守ろうとする、食わず嫌い、負けず嫌い、いつも同じ事をする(ルーティン)、神経質、曲がったことが嫌い、マイペース、単純作業が好き、頑固、心配症、ビビリ、小心者、リアクションがオーバー、怖がり、不器用(考え方を含)、生真面目、話が詳しくて回りくどい、気難しい、表情が乏しい、常識やマナーに疎い、他人に対して遠慮がない、冗談が通じない等々

   実は、これらの性格や特質は、いずれも自閉症スペクトラムAutism Spectrum=AS)の特徴にあてはまるものと考えられます。
 自閉症スペクトラムの特徴として、①社会性の問題、②社会的コミュニケーション力の問題、③想像力の問題やこだわり④感覚過敏などが挙げられます。以下に、上記の性格や特質をこの①〜④の項目に整理してみましょう。

社会性の問題
   無口、人見知り、物静か、KY(空気が読めない)、マイペース、単純作業が好き、飲み会のような集まりには参加したがらない、友達が少ない、1人が好き、表情が乏しい、一人で抱え込んでしまう
社会的コミュニケーション力の問題
   話が詳しくて回りくどい、難しい言葉を使う、KY(空気が読めない)、常識やマナーに疎い、バカ正直、他人に対して遠慮がない、冗談が通じない
想像力の問題やこだわり
   几帳面、潔癖症、没頭タイプ、頑固、職場が変わると慣れるまでストレスが増える、急な変更が苦手、時間にうるさい、マニアック、完璧主義、人の行動がとても気になる、規則を頑なに守ろうとする、正義感が強い、熱中すると周りが見えなくなる、食わず嫌い、曲がったことが嫌い、頑固、負けず嫌い、ルーティン、生真面目、記号や数字にこだわる、気難しい、不器用(考え方を含)
感覚過敏
   神経質、心配症、ビビリ、小心者、オーバー、怖がり、高所恐怖症、慎重、シャイ
(以上、青木省三著「ぼくらの中の発達障害」参照)


   これらのことから、世の中には、ASの特徴を持っている人がたくさんいるということが分かります。
   さらに、上記の性格や特質がたくさん当てはまる人もいれば、一つしか当てはまらない人もいるでしょう。しかし、一つも当てはまらないという人はいないのではないでしょうか?
   さらに、以前の投稿で紹介した、千葉大学の若林氏は、1000人以上の健常者と障害者を対象に50問の設問でASの傾向を測定する実験を実施しました。すると、AS傾向が「0」という人は1人もいませんでした。つまり統計上、健常者と言えども全ての人が大なり小なりASの傾向を持っているということが言えるのです。

   つまり自閉症スペクトラム(AS)の傾向は自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder=ASD)の人だけが持っているのではありません。健常者でも皆が自閉症スペクトラムの特徴を大なり小なり持っているし、その傾向の強い人もいれば弱い人もいる。つまり強い人から弱い人まで連続(スペクトラム)して分布しており、「自閉症“スペクトラム”障害」と呼ばれている人達はAS傾向がたまたま障害域にあるだけなのです。