【今回の記事】
IQが高い子どもよりも「動機付け」がうまくできている子どものほうが人生で成功を収めやすいことが判明

【記事の概要】
   カリフォルニア州立大学フラトン校のアレン・ゴッドフリード博士らによる研究チームは、およそ130人の子どもが大人になるまでの長期間にわたって行った追跡調査により、人生で成功を収めることにつながる要因は、IQ(知能指数)よりも、勉強など様々な努力を行うための「動機付け」をうまく出来ることのほうが、より効果が高いことが明らかにしました。 
   この研究から明らかになったのは、子どもの頃に「動機付け」がうまくできていることの重要性です。年齢が低い段階で、子どもに備わっている学術に関する動機の強さをはかるテスト「Children’s Academic Intrinsic Motivation Inventory (CAIMI)」で高い得点を示した子ども、すなわち「自分で勉強することを楽しめる子ども」は学校で良い成績を収め、同級生の間でも高い成績を収められていたとのこと。そのような子どもは自分に自信が持てるため、クラスの中でもリーダー役を担うことが多く、青年期に入っても難しい課題に挑戦し、リーダーシップ能力を発揮する傾向にあったそうです。
   これらの子どものIQを測定したところ、一般的に「知能に恵まれている」とみなされる「IQ 130」をマークした子どもは全体の19%で、一部の例外を除いて大部分の「動機付けがうまくできる子ども」と「IQが高い子ども」は一致しなかったという結果が明らかにされています。つまり、学校で高い成績を収め、リーダーシップを発揮できた子どもと、IQの間には意味の有る関連性は確認されなかったと言うことを意味しています。研究に参加しているアデル・ゴッドフリード博士はこの結果について「優れた結果を出すうえにおいて、その子に備わった動機付けの能力の高さが関与する比率はIQの高さに比べて大きなものとなっています」と語っています。
   また、この「動機付け」の能力には、子どもが育った家庭の中での取り組みが少なからず影響を及ぼしていることも浮き彫りにされています。子どもに対して親が多く「読み聞かせ」を行った家庭では、読書をする習慣を身に付けた子どもが多くなったとのこと。またこの傾向には、「家の中に何冊の本があるか」は影響なかったとのこと。そしてこのようにして好奇心を持つようになった子どもは、科学に対する関心を示し、成長して高校生になった時にはより難しいクラスを選択する傾向が確認されたそうです。
   つまり、子どもに対して好奇心自立心、そして努力することを教えて実行させることで、子どもは自ら動機付けができるようになり、結果を残すことにつながったというわけです。

【感想】
   今回の記事で最も大切な事は、学校で良い成績を収めたり、難しい課題に挑戦したり、リーダー性を発揮したり、するようになるのは、IQ(知能指数)が高い子供ではなく、「好奇心」「自立心」「努力」がある、自分で勉強することを楽しめる子供であるという事です。

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   更に、これら3つの要素を身につける上で大きな影響力を及ぼすのは家庭内の教育力であるという事も重要です。その一例として紹介されているのは、家庭における“読み聞かせ”の習慣であり、これによって読書の習慣が身に付けられます。読書の習慣を身につけた子供は“語彙力”が増し、問題や課題が“文字”で出される教科で高い成績を収めます。これは上記の「好奇心」を高める一例と言えるでしょう。

   では、その他に「好奇心」「自立心」「努力」を高める家庭での実践例にはどんなものがあるでしょうか?

   まず、「好奇心」についてです。この育て方については、以下の記事で紹介しています。
この記事で紹介されているアメリカの研究では、「大人が『あれをさせたい!』『これを教えなければ!』と一生懸命になるほど、子どもは興味を失い、好奇心も萎えてしまう子どもの興味を持続させるには、大人の興味よりも、本人の興味を優先し働きかけていく」「親は、子供のその様子を注意深く見守り子供が興味を示すものに対し、その興味を広げるよう働きかけることが大切」と指摘しています。
   本来、子供は好奇心の塊です。動物が好き、虫が好き、鉄道が好き、星が好き…。人に迷惑をかける物でなければ、それら子供が興味を示したものを尊重して、決して親の価値観で子供を誘導せず、逆に「すごい発見をしたね!」と褒めることが大切だと思います。

   次に「自立心」についてです。この育て方については、以下の記事で紹介しています。
これらの中では、「親が代わりにやってしまうのではなく、やり方をきちんと教えたうえで、あとは子供に任せ親は見守り、うまく出来たらほめる、出来ない時は諭す言い方でさり気なく助言する」という内容をお話ししています。

   次に「努力」についてです。この育て方については、以下の記事で紹介しています。
この中では、「“結果”をほめるのではなく、途中の“努力した態度”をほめる事で、努力する事の価値の高さを教える」ことの大切さをお話ししています。

好奇心」「自立心」「努力」を高める家庭教育、大切なのですね。