【今回の記事】

【記事の概要】
「子どもは褒めて育てよ」とよく耳にしますが、どんな褒め方がいいのでしょうか。やってはならない褒め方ってあるのでしょうか?
   そこで今回は、『「テキトー母さん」流子育てのコツ』の著者の立石美津子が具体的な方法をお伝えします。

◯「結果」を重視する?「過程」を重視する?
   スタンフォード大学の心理学教授がキャロル・S・ドゥエック(Carol S. Dweck)教授が小学生に行った実験です。
   A・Bグループとも同じテストを出して
  • Aグループには「よくできたね。頭がいいわね」と“結果”を褒める。
  • Bグループには「よく頑張ったね」と“努力”を褒める。

   結果、頭の良さをほめたAグループは、新しい問題を避け、同じ問題を解こうとする傾向が強くなりました。(新しい問題に挑戦して、“結果”でボロを出して自分の能力を疑われるかもしれない問題は一切やりたがらなかったのです。一方、努力(それをする過程)を褒められたBグループは、更に難しい問題にチャレンジし、積極的に挑戦する姿勢が見られたそうです。このことから能力結果を褒めるのではなく、プロセスを褒めることが大事であることがわかります。

子どもの下手な絵をどう評価するか

   例えば、子どもの絵が作品展で入選したとしましょう。いい絵を描いたから、入選できたね。素晴らしいね」と絵の出来栄えに焦点を当てて褒めていたら、下手な絵を描いてしまったり、次回、入選しなかった場合は親にその結果を見せないでしょう。難しい絵に挑戦することもしなくなるでしょう。だからと言って、下手な絵に対して「凄く上手に描けているじゃない」とはお世辞にも言えないですよね。もし言ったとしても、「そうやって僕をおだてて」とか「ママは私に気を使っている」と子どもから見抜かれることもあります。そんな時は親が嬉しそうにその絵を眺めて絵を描いたんだね。ここに貼っておこうね」と壁に飾ってやればいいのです。「上手、下手」なんて評価しなくてもいいんです。親が認めてくれた」ことで、子どもにとっては励みになります

テストの結果が悪かったとき、運動会でビリだったとき

   テストの成績でも「100点とれて偉いね」、運動会の徒競走でも「優勝して立派だね」「他の子ども達よりもいい成績を残して立派だねこのような“結果”に対して評価する褒め言葉しかかけていないと、一番になれなかったとき、子どもだけではなく、親側にも褒める材料がなくなるわけです。こんな経験をしていくうちに、子ども自身も自分のことだけでなく、「負ける人間は価値がない」という風に周りの子を見下す感覚がついてしまいます。成績が悪くても「残念な結果だったけれども、頑張って勉強していたもんね。それだけ勉強してきたんだから確実に学力はついているよ徒競走でも2番でも3番でも、たとえビリになっても「ずっと練習してきたんだから足の力は強くなっているね」と言ってやればいいのです。また「頑張って最後まで走ったね」と言葉をかけてやればいいんです。これ以上走っても一番になれない」とわかっても、途中で歩き出したりリタイアすることなく、最後まで歩くことなく走り続けることは素晴らしい行動だからです。それから、「今度は頑張ったら絶対に100点がとれるよ」「来年の運動会は絶対に一等賞がとれるから」などと(根拠の無い)保証をするような励ましの言葉もよくないですよ。

【感想】

負ける結果の出せない人間は価値がない
   親の褒め方を間違えると、このような誤った価値観を子供に植え付けてしまうのですね。ある意味恐ろしい事です。更に、自分が良い結果を出せそうにないと思った新しい課題には挑戦しなくなったり自分が良い結果を出せなかった時は親に隠す嘘をつくようになったりする事も分かりました。

   私は以前このブログで、夏休みの自由研究の事について取り上げたことがありました。学校では2学期になると自由研究発表会が行われますが、時々、明らかに親の手が入っていると思われる出来栄えが素晴らしい作品が見られます。学校によっては、それらの研究に“”をつける学校もあるようですが、往往にして、出来栄えが素晴らしい研究に高い評価が下される事があるようです。
   そこで私は「学校の先生方には、単に『出来栄え』よりも、先の『主体性や『粘り強さを評価してあげて欲しい」と述べました。学校の先生方が、出来栄えの良い研究を高く評価していると、子供はどうしても親の力に頼らざるを得なくなります。なぜなら、子供だけの力では出来栄えの良い研究をする事は難しいと子供自身が分かっているからです。
   つまり、大人が結果出来栄えに主眼を置いて評価し続けていると、子供はその評価を得るために、いつも他者の助けを求めたり、勉強以外の経験を軽視したり、良い結果のテストしか見せなくなったりするようになるのです。

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   なによりも、今の企業が学生に求めている資質や能力は、技能の高さではなく、主体性ねばり強さなのですから、やはり、評価するべきは、“結果”ではなく、取り組む“プロセス”という事になるでしょう。