【今回の記事】
魚を与えるのではなく、魚の釣り(方)を教えよ!」から考える教育論

【記事の概要】
「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」と言う言葉は、教育の世界ではよく出てくる言葉の一つです。中国語では『授人以魚 不如授人以漁』と言われ、「人に魚を与えると1日で食べてしまう。しかし人に釣りを教えれば生涯食べていく事が出来る」と言う(老子が言ったとされる)言葉。
   仮にお腹を空かした人が居た場合、魚を与える事は一時的な空腹を満たすためには簡単な方法だけど、それでは、その人は空腹になる度に誰かを頼り、魚をもらい続けなければならないし、もらい続ける癖がついてしまう。これに対し、釣りの道具を与えて魚の釣り方を教え、実践して貰えば、空腹になっても自らの力で魚を捕まえて食べられるようになる。と言う意味。目先の困難を助ける(満たす)事も時には大事です。しかし「本質的に相手のためになる」とは限りません。「本当に相手のためには何が1番か?」と言う事を、考え、教えてあげたり、環境(場所や人など)を作ってあげたりする事も大事です。

【感想】
   以前、特別支援学級に在籍していた知的障害の子どもが、給食中にパンを食べ終わって空になったビニール袋の口を結ぼうとしていました。しかし、難しくてなかなか結べません。私はその様子を見守りました。「さあ、ガンバレ!」という期待を込めて微笑みながら。しかし、期待とは裏腹に、どう頑張っても結ぶことはできませんでした。そこで、私はそのビニール袋を受け取り、結び方を説明しながらやって見せました
   しかし、ここで終わってしまっては、子どもに「魚を与えた」だけです。その後、私は結んだビニール袋をほどき、また子どもに与え、もう一度挑戦させました。「そうそう上手!」「うんうん、そこをそうして…」と実況中継をしながら応援していると、とうとう結ぶことができました。私はその子の手を取ってたくさん褒めました
   それまでは、「できないのでやってください」と言うことが多かった子どもでしたが、その日以来、その子は給食にパンが出るたびに、自分で挑戦するようになりました。そうして、形は多少いびつでも、自分で結んだビニール袋を嬉しそうに私に見せてくれました。その子はとうとう「魚の釣り方」を学んだのです。

「魚の釣り方」を学ぶということは、初めは時間がかかりますが、一度学びさえすれば、その後は親が楽になる上に、子どもは、自分のことは自分でできる“自立した大人”に一歩近づくのです。大切なことは、大人が根負けして代わりにやってしまわないことですね。
   ただし、生活上どうしても時間がない時は別です。代わりにやってあげないと、職場に遅刻して迷惑をかけてしまいます。そういう時は、時間のある休日を使って「魚の釣り方」を教えてあげましょう

   ちなみに「◯◯のやり方」を教える時には、以下の記事で紹介している「4ステップ」が効果的です。実は、先の結び方指導でもそのステップを使っています。このことについては、以下の記事のURLタップにてご参照ください。
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