【今回の記事】

【記事の概要】
   突き上げる感情をそのまま相手にぶちまけることを“反応”といい、自らの感情に気づき、相手にとってより適切な向き合い方選択することを“対応”といいます。ノンストップで続く子育て生活では、子どもの好ましくない言動に思わずママの怒りの感情をぶつけてしまうこともあるものです。でも、それもわが子が愛おしいからこそ。「可愛さ余って憎さ百倍」というように、どうでもよいと感じる相手に対し、そうは感情的に“反応”することもありません。
   この記事では、18年間様々な立場から教育に携わる筆者が、米国でベストセラーとなったしつけについての本(※)を元に、どう上手く対応していくかをお伝えします!

突き上げる「怒り」に気づいたらまずしたいこととは?
   怒りがこみ上げるのに気づいたら、まずは深呼吸。力の入った身体の箇所を、吐く息と共に緩めましょう。強い感情を感じる時とは、眉間・頬・舌・肩・こぶしなどに、ぎゅっと力が入っています。また子どもの安全が確保できるようならば、一旦その場を離れてみるのも方法です。

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「反応」より「対応」を心がけるために思い出したい3つの質問
   そして、以下にあげる3つの質問を思い出してみましょう
●質問1「なぜこの子はこんなことをするのだろう?」
   お腹がすいていませんか。疲れて眠いのではありませんか。体調は万全ですか。年齢が低くなるほど、子どもの言動は体調に大きな影響を受けるものです。また、ママを困らせるその言動は、反抗期など発達に必要な過程ではないでしょうか。それとも、ママの注意を引きたいのでしょうか。子どもの言動の背景理由)を思うことで、“対応”へのヒントが見えてきます。
●質問2「私はこの子に何を教えたい?」
   手を出すのでなく言葉で相手に伝えること。相手への思いやり。約束を守ること。「好ましくない言動」は、こうしたことをママが「教え」、子どもが「学ぶ」絶好の機会です。貴いレッスンとして、生かしていきましょう。
●質問3「どうしたらこの子にその教えが最も伝わるだろう?」
どんな言葉を用いて説明するとその子の心に届くか」。また、「どんな質問をすることで、その子が自らの頭で考えるか」を想像してみます。親子で気持ちを落ち着け、「おもちゃを取られて悲しかったね。でも叩かれた〇〇ちゃんもどんな気持ちだったかな?」「今度お友達があなたのおもちゃを取ってしまったら、なんて言ったらいいかな?」など、その子が理解できる言葉で話し合ってみましょう。

   以上のように、3つの質問を通し、その子の言動の背景を探り、どのように接するのがその場では最も適切かを整理します。できる範囲で上のような流れを繰り返す内に、徐々にママがその子を観察する力も培われ、より自然に対応できるようになっていきます。
①自らの怒りに気づく
②深呼吸で身体を緩める
③「3つの質問」を自分に問う
   この流れを思い出し、ぜひ子育て生活での“反応”を減らし、“対応”を取り入れていきたいですね。

【感想】
   そもそも「怒り」という感情はなぜ湧くのでしょうか?
   それは、“親自身の認識”と“子供の行動”とがずれている時ではないかと思います。仮に「子供であってもこのくらいの事はできるはずだ」という親自身の認識が子供の実態に比べてレベルが高過ぎた場合には、「なぜこのくらいのことができないの?」という感情が湧いてくるでしょう。
   しかし以前からお話ししている通り、子供は失敗する生き物です。それに対して親が「失敗することなくできるはずだ」という認識でいると、必ず両者の間にギャップが生じます。
   私は先日次のような記事を投稿しています。
この中のこの記事の中に登場するお母さんは、子供が約束や頼まれたことを忘れているという事を前提にして、その子供たちがやるべきことを思い出すように独り言のように“カウントダウン”をつぶやいています。すると、子供たちはカウントダウンの間に自ら行動を起こし始めるのです。

   では、ここから記事中の「質問1〜3」について考えてみましょう。
質問1「なぜこの子はこんなことをするのだろう?」
   問題行動をした子供を注意する時最も大切な事は、始めに子供の気持ちを聞く事です。子供に限らず、人の行動には必ずわけ(そう行動しようと思った気持ち)があります。この「質問1」は、「その気持ちを忘れてはいけない」という
ここで分かった子供の行動のわけは、その後「質問3」に活きることになります。

質問2「私はこの子に何を教えたい?」
   感情的になっていると、この“指導内容”を忘れがちになります。子供の未熟な点を指導することは「叱る」行為ですが、感情だけをぶつけるのは「怒る」行為です。ですから、この「何を教えたいのか?」という“指導内容”が分かっているかどうかは、「怒る」になるか「叱る」になるかの分かれ道になるのです。
   例えば、本来下品な事が好きな男の子が、テレビのアニメの真似をしてお尻をペロンと出した時に、単に「そんなこと止めなさい!😡」と怒ってしまうと子供は恐怖しか自覚しません。一方で、「人がいるところでお尻やお◯ンチンを出すのは『下品』と言って、人から『変な人』と思われる行動である」という“指導内容”を親自身の中でハッキリさせることは、やはり次の「質問3」に活きることになります。

質問3「どうしたらこの子にその教えが最も伝わるだろう?」
   さあ、この「どうしたら」つまり「指導の仕方」が一番大切です。子供が問題行動を起こした後に、どんな「反応(適切な対応)」をすれば良いのでしょう?
   子供問題行動を起こした時に一番始めに必要な「反応」は、「どうしたの?」と子供に問うことです。つまり、子供がなぜその行動をしたのか子供の言い分を聞くのです。これが先の「質問1」に当たります。
   その次の「反応」は子供の気持ちへの「共感」です。「質問1」で分かった子供の気持ちに寄り添うことです。「そうか、あなたは……しようとした……したかったんだね。」等と。先の「お尻ペロン」であっても、子供にすれば大好きなアニメを見ているうちに、ついキャラクターの真似をしたくなってやってしまったのです。ですから、「そうか、大好きな『◯◯ヨン◯◯ちゃん』の真似をしたくなったのね。」と対応します。
   更にその次の「反応」は、 子供に対する「指導」です。これが先の「質問2」に当たります。子供の気持ちに共感した後に、「でもね……」と続けます。「でもね、人がいるところでお尻やお◯ンチンを出すのは『下品』と言って、人から『変な人』と思われることなのよ」と“諭す(「自立4支援」の一つ)”ように話します。一番初めに、自分の気持ちを分かってもらった子供は、親からのこの指導を素直に受け入れることができるのです。
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   以上のまとめです。
①自分の怒りに気づく
②深呼吸をして落ち着く
③「どうしたの?」(気持ちの理解)
④「そうか、あなたは……しようとした……したかったんだね。」(気持ちへの共感)
⑤「でもね……」(指導)
これらが、子供が問題行動を起こした時の望ましい親の「反応」だと思います。