【今回の記事】

【記事の概要】
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【感想】
   このお母さんは子供への接し方がとても上手です。どんなところが上手かと言うと、叱る前に子供に猶予時間を与えているところです。
   以前からお話ししていますが、子供は失敗する生き物です。上記の記事でも、もうすぐ夕食だというのにオモチャを散らかしっぱなしにしていたり、テレビに気を取られてご飯が進んでいなかったり、頼まれていた靴の整理を忘れていたりと、失敗のオンパレードです。このお母さんは当然そのことに気付いていますが直ぐには叱りません。失敗の度に叱っていると、子供は嫌気を起こし親に対して反発心を持ちますし、親御さん自身もストレスが溜まります。
   更に、以前投稿したように、人は自分がやる前に人から催促されたり強要されたりすると「やりたくない」という気持ちにスイッチが入る心理的リアクタンス」が起きるそうです。しかし、このお母さんは独り言のように呟いているだけなので、幼い子供達は催促されている意識がありません。事実、この子供は記事冒頭にあるように、「お母さんがわざと聞こえるように言っているとは思いもよらず、叱られる前に気がつく自分はえらい」と感じています。見事に「心理的リアクタンス」を回避させています。きっとこの後、このお母さんはニッコリ笑って「あら、言われる前によく直したわね」と褒めているでしょう。
   記事中の最後にあるように、子供は当然、いつかはお母さんがわざと聞こえるように言っていることに気付くのですが、お母さんの「つぶやき作戦」は同じように続きます。その頃は、「お母さんから催促されている」という認識はあるのですが、今度は“叱られない為のラストチャンス(猶予期間)”と認識する様になります。たとえ、小学校高学年くらいになっても、子供は依然として失敗を続けるわけですから、たとえ「心理的リアクタンス」が働いたとしても、叱られない為にお母さんが与えてくれているラストチャンスは子供にとってはこの上なくありがたいのですね。

   さて、このお母さんの“つぶやき作戦”が成り立っているのは、過去にお母さんが子供達を真剣に叱った経験があるからに違いありません。子供は、「その気になればお母さんはこわい」という“不利益”を知っているので、それを回避する為に自ら行動を起こすのだと思います。「カウントダウンが『0』になっても叱られない」と思わせてしまうと、子供にとっての“不利益”は無くなりますから、「つぶやき作戦」は通用しなくなるのです。これこそ正に「愛の鞭」でしょう。

   最後になりますが、この「おかあさん、ずっとみてて。」のシリーズは、お母さんに対する子供の気持ちを知る上でとてもタメになるお話です。また、お母さんの子供達に対する接し方にも、子供の一生の人格形成に影響を与える母子間の「愛着(愛の絆)」を形成する為の「愛着7」の愛情行為が随所に見らていて、子育てイメージ作りにも適しています(しかも漫画による視覚情報なので分かりやすい!)。現在1話から12話まで掲載中です。ぜひご覧ください!