【今回の記事】

【記事の概要】
よ~く洗いなさいでは子供に伝わらない
子供が言うことを聞いてくれない」「一から十まで言われないと分からない」これは、2歳の子のママでも、5歳の子のママでも、そして中学生の子のママでも悩む、子育て中ずっと続く難題です。
   しかし、ママが発している指示を聞くと、そこには、「あいまい語」が列をなしていていることがよくあります。ママが使いがちな「あいまい語」とは? 子供に伝わる指示の出し方とは?
   上手な指示出しをマスターし、余計なイライラや親子げんかを防いでいきましょう。
強く叱っているのに、何回も注意しているのに、なぜ伝わらない?
   ママにしたら、「なぜこんなに繰り返し怒られているのに、分からないのか」とイライラするばかり。何回もしつこく言っても大声で怒鳴っても強い言葉で言っても変化なし
きちんとしなさい!」
しっかりやりなさい!」
「人の話をよく聞きなさい!」
と口を酸っぱくして、繰り返しているのに、なぜ……?

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親子間のギャップを生む「あいまい語」とは?
   でも、このおなじみのフレーズ、もう一度よく見てみてください。「きちんと」「しっかり」と言っても、どれくらいが「きちんと」で、どれだけやれば「しっかり」なのでしょう? 
   人それぞれ、解釈の仕方は違います。「きちんとやりなさい」とだけ言われたら、子供たちは、ママの期待度よりもずっとずっと低いレベルでも、「まぁ、これくらいでいいや」と自分にOKサインを出したくなってしまいます。
「あいまい語」はまだまだあります。
「帰ってきたら、きれいに手を洗いなさい」
「ほら、お客さんが来るから、部屋をちゃんと片づけて」
遠くには行っちゃだめよ」
夕食までには帰ってきなさいよ」
時計を見なさい!」
いずれも、太文字部分が「あいまい語」です。こんなフレーズ、言っていることありませんか?
母子間の理解のギャップを最小限に
   ママの期待と子供の解釈にギャップがあると、「ちっとも言うことを聞いていないじゃないの!」という展開になりやすいので、「どこまで達成したらOKなのか」「どこを超えたらNGなのか」が子供に伝わるように、分かりやすく提示していきましょう。
「帰ってきたら、きれいに手を洗いなさい」ではなく、
せっけんがヌルヌルしなくなるまで流して」や「手をゴシゴシしながら10数える」と何を達成すべきかを伝えます。
「ほら、お客さんが来るから、部屋をちゃんと片づけて」ではなく、
ほら、お客さんが来るから、この本をあの本棚にレゴは全部バケツに入れて」と具体的にやるべきことを加えます。
「遠くには行っちゃだめよ」ではなく、
〇〇公園の中だけで遊びなさい」「ここから〇〇さんの家の前までで遊びなさい」と具体的な距離感を伝えます。
「夕食までには帰ってきなさいよ」では、子供はお腹がすくまで夢中になって遊んでしまいます。なので、「17時までには家に戻りなさい」「学校の5時のチャイムが鳴ったら帰宅だよ」と子供に具体的な帰宅時間を伝えます。
「時計を見なさい!」も時計が読めるようになると、つい言いたくなる言葉ですが、読めても、時計を見て行動できるわけではありません。なので、「今7時20分だよ。〇〇しなさい」と具体的な行動も一緒に伝えるようにします。
   ママは大人で、子供は子供なので、互いの理解度のギャップをゼロにするのは難しいかもしれません。でも、分かりやすい表現を使えば、限りなくゼロに近づけることは可能です。子供が既に知っている「色」「物の名前」「数字」などに落とし込むと、子供に伝わりやすい表現になります。

【感想】
   ずいぶんたくさんの「あいまい語」が出てきました。記事中で紹介された“あいまい例(+@)”とその“改良型”を列挙してみましょう。
①「ダラダラしないで早くしなさい!」
⇨「◯時◯分までには終わらせようね
②「勉強はいい加減にしないで、もっとしっかりやりなさい!」
⇨「勉強は文字や数字を丁寧に書こうね
③「人の話をよく聞きなさい!」
⇨「人の話は相手の目を見て聞こうね
④「帰ってきたら、きれいに手を洗いなさい!」
帰ってきたら、30数えるまで手を洗おうね
⑤「お客さんが来るから、部屋をちゃんと片づけて!」
⇨「お客さんが来るから、この写真(綺麗な時の様子を写したもの)のように片付けようね
⑥「遠くには行っちゃだめよ!」
⇨「◯◯(店や家の名前)より遠くに行かないようにね
⑦「夕食までには帰ってきなさいよ!」
⇨「公園の時計を見て◯時◯分になったら帰っておいで
⑧「今何時だと思ってるの?時計を見なさい!
◯時◯分迄に終わらせようね
⑨「お役さんがきているから廊下は静かに歩きなさい」
⇨「お役さんがきているから、忍者のように音を立てないで歩こうね
⑩「だれかスーパーで卵買ってきて!」(シーン…)
⇨「◯◯ちゃんスーパーで卵買ってきてくれる?

   これらを情報伝達のポイント5W1H」で整理してみましょう。
What何を)〜“対象物”や“回数・量”を指示して「何を」「どれだけ」ハッキリさせる。②③
Whereどこで)〜“場所”を示して「どこで」をハッキリさせる。⑥
Whenいつ)〜“時間”を指示して「いつ」取り組めばいいかがをハッキリさせる。①⑦⑧
Whoだれ)〜“人”を指示して「だれが」すればいいかをハッキリさせる⑩
Whyなぜ)〜“目的”を指示して「なぜ」をハッキリさせる。⑤⑨
Howどのように)〜“やり方”を指示して「どのように」すればいいかをハッキリさせる。③⑤⑨

   記事中にもあるように、子供が既に知っている名前や表現等を取り入れると、子供に伝わりやすい表現になります。
   例えば、“時間When)”については、時計が読める子なら「◯時◯分迄に」で理解できますし、読めない子であっても「長い針が◯の所に来るまで」という表現なら理解できます。ところが、同じ時計でも「あと◯分したら」のような言い方は頭の中で計算しなければならないので苦手な子供が多いです。但し、子供の側にデジタルタイマーを置いておけば、「あと◯分」という表示が常に示され、時間が来ればアラームで教えてくれるので逆に効果抜群になります。特に何かに夢中になっている子供には効果を発揮します。
   また、“対象物What)”も「文字や数字」や「相手の目」という表現なら子供でも分かります。しかし、「漢字の勉強をもっとしなさい」では抽象的で分かりにくいので「学校の漢字ドリルを」の方が何をすればいいかがハッキリします。
  “場所Where)”も、「◯◯君の家」というふうに知っている友達の家なら分かります。但しこれが、「◯番目の信号機のとことで」というような一般的な表現になると、子供は不安になり上手く伝わりません。
  “目的Why)”については、ただ「部屋の片付けをして」と言うと「えーなんでー?」という反応が返ってくるだけですが、「大切なお客さんが来るから部屋の片付けをして」と目的をつけると言うと「それならやらなきゃ」と思うに違いありません。
  “やり方How)”についても「知っている大人の人には礼儀正しくしなさい」は抽象的でよく伝わりません。しかし、「知っている大人の人にはおじぎをしなさい」は行動内容が具体的なので子供は理解できます。

   また、言い方も「命令調(「…しなさい!」)」ではなく「諭し調(「しようね」)」で言いましょう。その方が子供は反発心を抱くことなく受け入れる事ができます。因みにこれは、究極のサポート法「自立4支援任せて、見守り、諭して、褒める)」のうちの一つです。
   特に、⑩のように仕事を頼む時は「お願い調」(「…してくれる?」)で言いましょう。家族内の愛着が強まります(詳細は「家族の愛着を強める方法 〜家族の中に「『相手に聞こう』ルール」を取り入れよう!〜」参照)。

【追加情報】
   あるテレビで聞いた情報ですが、家事をしていたあるお母さんが、旦那さんに対して「何か手伝ってよ」といっても全く動かなかったのに、「皿洗いしてよ」と言ったら、すぐに腰を上げ手伝ってくれたそうです。これは「What何を)」を具体的にした事例です。大人でも同じことが言えるのですね。