4月20日 武藤十夢 個別お話し会 | 不条理に抗う:女性アイドル最高評議会

不条理に抗う:女性アイドル最高評議会

不条理な経験について記します。その逆も書こうかな。
「アイドル最高評議会」とは「ジェダイ最高評議会」のパロディ。
記事を投稿するにあたっては時間をかけて推敲しています。しかし、まちがったこと、書き忘れたことをあとから思い出して加筆修正しています。

こんにちは。

 

遅くなりましたが、4月20日に都内某所で行われた「武藤十夢 個別お話し会」についてです。

 

・抽選を求める意見もあるが、現実的ではない

 

今回のチケット販売方法は先着でした。今回初めて生島企画室がファンクラブ・イヴェントにはっきりと名前を出して、生島企画室の通販サイトで販売されました。抽選ではなく、先着だったことに対して、一部の会員に不満はあるようです。

先着販売がよくない理由は、私も理解できます。なぜならば、先着販売にすると、ひまでなおかつ先着販売に慣れた私のような会員が常に勝利して、買える人と買えない人との区別が固定していくからです。

その一方で、先着販売にするしかない理由も理解できます。なぜならば、抽選販売は非常に高度な方法だからです。昔は往復はがき、プッシュフォン通話などで抽選販売をすることも可能でしたが、ぴあだって原則先着でした。そして、抽選販売にも短所はあって、もし運営が気か利かずに、3枠に応募して全部当選する人と3枠に応募しても全部落選する人とに分かれたら、当選者は常に変わっても、結局、先着販売と同じ不均衡が生じるからです。そういう不均衡もなくすように設定したり、結果を調整したりするなら、高度な仕組み、人の手間が必要になります。

 

 

・枚数制限を設けなかったことの不手際~AKB48の劇場盤販売方法を見習って、最初は枚数制限を厳しく、それでも売れ残れば、制限を撤廃していくべきだった

 

最初、三部が売りに出ました。ページが削除されてしまっているので、もう詳細はわかりませんが、おそらく1部につき、一枚30秒2,500円が50枚。しかし、買えない人が続出しました。

結果論で批判しているのではなく、 AKB48の劇場盤販売方法を思い出せば、購入制限がなかったことがまちがいでした。

たしかに、わざわざ泊りがけで来る人のことを考えたり、あるいは十夢さんの場合、AKB48時代のオンラインお話し会のころは、部数も多く、しかも売り切れない部数が多かったので、依存症にかかってもおかしくないほど何枚も買えたりしたことを思うと、たった2枚、3枚でーーはるばる遠方から交通費、宿泊費に何万円、数日かけてやってきて、本来の目的にはたった五千円使ってたった1分話して帰っていくーーは物足りない人もいたでしょう。まとめ出しが多く、参加人数が少なければ、スタッフも会場整理の手間が減ります。

他方、先着販売で他人を出し抜いてうまく買える人が、だからといって、合計150枚しかないのに、5枚、10枚も買っていくのは、ほかの会員の参加の機会を奪っているので、非常識な行為です。しかし、人間は制限がなければ、全員ではなくても、数人はその非常識な行為さえやってしまうのです。そういうことに関しては、運営側が予見し、先手を打って、そういう非常識な行為をできないようにするルールを設定しなくてはなりません。

 

 

・販売開始時間にスタートしないというトラブルがまた起きたが、二部を追加してくれたのは思いやりを感じる

 

3月20日の正午にすぐに通常枠が売り切れたあとに、買えなかった会員から枠を増やしてほしいという要望がありました。そこで、十夢さんの希望もあり、ファンクラブが増やしてくれたことには思いやりを感じました。運よく、15時以降、会場に予定が入っていなかったか、それとも何かをキャンセルしてもらえたようです。

ただし、3月30日の20時から追加2部100枚が販売開始される予定でしたが、またもトラブルが発生し、一日延びてしまいました。

ごらんいただければおわかりただけるように、追加枠では「1人2枠」という制限が設けられましたが、遅きに失した感はありました。

 

 

 

・会場はいわゆる隠れ家的、穴場的でいい場所だった~山手線沿線でも目立たないところにあり、目の前に踊り場のような場所がある

 

さて、当日。「場所は都内某所。購入者だけにお知らせします」というルールがあったので、はっきりとは書けません。「都内」といっても、三宅島や小笠原諸島でなかったことはたしかです。しかし、"レコード会社、紙の出版が生き伸びるために法に触れない範囲で何をやってもいいからCDを売りまくれ、写真集を売りまくれ"、という大きな商業的動機づけ、陰謀が働き、グループのメンバー全員が拒否する権限なく総動員されるシングルCD発売記念、写真集発売記念の特典会、握手会と違って、今回は、大きな力が動いて大会場を押さえたり、あるいは大型書店、大型CDショップ、チェーンが場所を提供してくれたりすることはもうありません。せいぜい"ディジタル・ファンコミュニティと言っても、紙の会報を発行しないのはいいとしても、リアルのイヴェントを年に何回かやらないとまずいだろ"という程度の弱い動機づけしか関係者には働いていません。平たく言うと、グループ時代の握手会や写真集、カレンダー発売のお渡し会はレコード会社や出版社の主導でリリース、出版してやる条件として首に握手会、お渡し会の縄をつけられて武藤十夢に強制されたものでしたが、しかし、今回のお話し会はファンクラブのサーヴィスとして数ある選択肢のなかから武藤十夢、生島企画室、そしてANYLANDが任意で選び取ったものです。やらない選択肢、やれない事情も考えられます。そうすると、目黒にあるらしい生島企画室の近くで、ひょっとしたら関係者が個人的なつてを頼って探したようなこぢんまりとした会場を押さえたのだと推測していました。こういう住宅地の場合、会場前の狭い場所に参加者が早めに来て溜まっていると、会場が住宅と住宅とのあいだに建っていたりして近隣住民から苦情が来やすいです。今回の会場の前には坂の途中の踊り場のような場所があったことを考えても、会場選びが的確でした。

 

 

・防犯上、あまり書かないほうがいいのですが、48グループ時代と比べれば、警備はとても軽かった(が、スタッフは四人もいた)

 

私は全体で五部のうちの最初の回の二枚を購入していました。誰も会話を区切ろうとしないので、ことばに詰まって、自分から「もう一分経ちましたよね」と言って去って行くくらいにはがしのないゆったりとしたお話し会でした。

スタッフ四人がいて、ついたて、テーブル、荷物置き場はあったと思います。でも、もち物検査はありませんでした。プレゼントにはそれ用の受け取りボックスが用意されていました。

襲撃事件、そしてコロナ禍以降、AKB48に関しては、握手会では、アカウント登録などで身元が明らかな人に対してだけの販売、もち物検査、金属探知機、テーブル、柵、ヴィニール・シートを用いた厳重というよりも過剰な警備が行われています。(これがAKB48の活動を重くしています。参加者が当日、開始直前に参加券を買って参加できるし、5人グループにスタッフがチェキの撮り手として2人だけしかついていないようなアイドル・グループはごまんといます。)それと比べると、今回のお話し会は小回りの利く会でしたね。

もちろん参加者とのあいだにテーブルはあって、十夢さんは立っていたと思います。肉体的負担を軽減するために座ってもいいと私は思うのです。が、AKB48とは違って、過剰な警備を解いて、参加者を威嚇、威圧して押さえつけないぶん、万が一のときには、十夢さんには自分で素早く逃げてもらう必要があることを考えると、座らずに立ってもらわざるをえないです。厳重に警備してもらうと、椅子のうえにあぐらをかいて握手や会話をできるのですが、しかし、必要以上に参加者を威嚇、威圧してしまいます。アイドルやスタッフがそれを嫌だと思ういい人たちならば、警備をできるだけ軽くして、立ったままで参加者を迎え、いざというときはアイドル本人にすぐにうしろに下がってもらうしかないです。

ただし、厳重な警備を解いても、受けつけに1人、ついたての入り口に1人、ついたての向こうに入ったあとに十夢さんの脇に2人もスタッフがいたので、人件費がそれなりにかかりますね。

AKBの握手会で一人、一列に四人がつくのはほとんどグループ時代と変わらないです。しかし、それ以外では、芸能人一人でもスタッフが四人必要なのに、グループ総勢で五人でもスタッフが四人だけしか必要としない仕事も多く、それが経費を払ったぶんできるだけアイドルの数を増やしてどれか一つでも成功することに賭けたい事務所にはソロのアイドルよりもグループのアイドルが好まれる理由の一つかなと思います。

 

・なぜ対面よりもオンラインが多いのか~オンラインはwithLIVEなどに丸投げすればいいが、対面はそうもいかない

 

事務所を辞めてフリーランスで活動し始めたアイドルでも、部屋と端末さえあれば、withLIVEなどに丸投げ、委託すれば、オンラインのお話し会はできます。オンラインならば、襲撃、暴行、そして感染の問題に取り組む必要はありません。残るは、暴言、肉体の露出の問題だけ。

グッズ販売は自分でデザイナー、業者を探して制作し、友だちと一緒にでも、自分でゆっくり梱包、発送すればいいです。ファンクラブもディジタルなものを選択し、faniconなどに丸投げ、委託すればいいです。

でも、リアルのイヴェントはアイドル一人では開催できません。オンラインのお話し会と違って、どこか特定の会社に丸投げすればいいものでもありません。会場をどこにするか。どうやって近所迷惑にならない動線を引くか。どうやってアイドル、スタッフ、参加者の安全を確保するか。アイドル自身は握手しながら、自分ではがしをしたり、警護をしたりできないので、結局、何人スタッフが必要なのか。考えて実践するには、意欲だけではどうにもならず、めんどくさいことは数限りないです。

 

 

・ファンへの対応力を身につけなくてはならない現代のアイドルらしいお話し会~芸能人、作家のサイン会と違って、マネージャー、編集者などのスタッフが会話に聞き耳を立てて参加者に話しかけてこない

 

少し余談を。十夢さんはアイドル出身だとはいえ、生島企画室は広くアイドルを扱う事務所ではありません。そこで、十夢さん、スタッフ、参加者のあいだの関係がどうなるかを見ていたのですが、私がスタッフさんに話しかけられることはありませんでした。これはアイドル以外の世界では当たり前のことではないです。

私は、ほかの芸能人、作家のサイン会にも行くのですが、横に立っているマネージャー、編集者にもかなり話しかけられます。

運よく2月18日紀伊國屋書店新宿本店でのpecoのサイン本お渡し会に当選して行ったときーーこのときは、十夢さんのオンライントーク会のチケットを買ってすぐに家を出たーー、私は「ryuchellのことは気の毒でしたが、お子さんともどもしあわせになってくださいね」と言ったら、静かに私のことばに耳を傾けているpecoの代わりに横に立っていたマネージャーらしき人物にはっきりと「ありがとうございます!」に言われました。

話しかけられたわけではありませんが、2月4日紀伊國屋書店新宿本店でのヒコロヒーのサイン会に行ったときは、「鶴瓶さんのラジオ番組に出たときの話、おもしろかったです」と言ったら、ヒコロヒーには通じず、「何ですか?」と言われましたが、私がもう一回言うまえに後ろに立っているマネージャーさんが「鶴瓶さんのラジオ」と言ってくれました。会話の内容にそ知らぬふりをするアイドルのスタッフと違って、芸能人のスタッフは会話の内容に聞き耳を立てているのがわかります。

作家なら、直木賞を受けた作家、河﨑秋子のサイン会(2月8日紀伊國屋書店新宿本店)であれば、私が「読みました。メロドラマの要素が一切ないのがすばらしいです。しかし、そこに、作者である河﨑さんの世界に対する深い慈愛を感じました」と言ったら、横に立っていた編集者が「まあ、書評みたいな感想ですね」、と。

2月24日ーー武藤十夢オンライントーク会が終わってからすぐに向かったーー紀伊國屋書店新宿本店、芥川賞を受けた九段理絵のサイン会であれば、私が「『文學界』の新人賞を受けたときは、「低調な選考だった」と言われて、あまりほめてもらえませんでしたが、右肩上がりで書き続けられるのがすばらしいと思います」と言ったら、「「低調な選考だった」と言われて」のところで四人のスタッフが爆笑していました。

おそらく、ひとつは、編集者、マネージャーもふだん自分の手掛けている作家、芸能人のファンに会う機会がないので、興味津々でいわゆるテンションも上がるから、もうひとつは、芸能人、作家もそれほど頻繁にサイン会、サイン本お渡し会をするわけではなく、場慣れしていないので、編集者、マネージャーは助けてやりたいという気持ちが強いから、一人の参加者を主役を含めて主催者側の何人かの人間がいろんな角度から取り囲んでしまうような状況を作ってしまうのでしょう。柵や、本を載せてサインを書くためのテーブル以外に参加者と距離を置くためのテーブルやはがしなど物理的なバリアはなくても、スタッフがある種のバリアを形成している感じですね。やはり、向う側からしたら、私たち一人一人と差し向かいで話をする、話をさせるのは怖いのです。

そうすると、アイドルは特典会でスタッフが横に警備で立っていても、会話には入ってこないまま、ファンと差し向かいで話すことができる(ほど場慣れしている)のがいいところですね。なまりのない日本語のネイティヴ・スピーカー同士の会話でも、声質、声の高低、話す速度によって相手の話していることが聴き取りにくい場合はあるでしょう。それでも、アイドルは場数を踏んで、いろんな日本語を聴いているので、語彙力が乏しい人はいても、リスニング能力は高いのだと思います。

アイドルには動じずに、そしてできるだけうまくファンと差し向かいで話す能力が求められるその反面、TVタレント、ファッション・モデル、そして作家(クリエイティヴな能力を必要とする職業)で成功するには、そういった能力が低くても、いっこうにさしつかえないです。

 

 

結論 枚数制限は必要

 

さて、今回の結論、改善点を言います。抽選制を実施できないのはしかたがないとしても、AKB48劇場盤握手会でおそらく試行錯誤、紆余曲折を経て知恵として定着した"まず一人当たり、一部当たりの購入枚数を制限して販売を開始し、売り切れなければ次回から徐々に制限を緩めていく"というやりかたは武藤十夢ファンクラブでも継承していくべきでしょう。

 

 

おまけ 「武藤十夢 個別お話し会」の謎~誰とグループお話し会を開催するのか

 

今回のイヴェントは「武藤十夢 個別お話し会」と題されていました。「個別お話し会」の反対は「グループお話し会」なんでしょうね。でも、AKB48を卒業したのに、武藤十夢は誰とグループを形成するつもりだったのでしょうか。生島企画室内の生島ヒロシ、ピーター、花田憲子とでしょうか。だとしたら、映画俳優として代表作のあるピーター以外とは、うまく会話できる自信が私にはありません。

 

それでは、また。