斉藤由貴「Xmas live 2023」ビルボードライヴ東京(含セット・リスト写真) | 不条理に抗う:女性アイドル最高評議会

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不条理な経験について記します。その逆も書こうかな。
「アイドル最高評議会」とは「ジェダイ最高評議会」のパロディ。
記事を投稿するにあたっては時間をかけて推敲しています。しかし、まちがったこと、書き忘れたことをあとから思い出して加筆修正しています。

[以下で、実物の写真を含めて、セット・リストについて書いています。何も知らない新鮮な気持ちで、これからも大阪、横浜と続く斉藤さんのビルボードツアーをごらんになりたいかたは読むのを控えていただけたら、たいへんありがたいです。]

 

11月30日に行われた斉藤由貴「Xmas live 2023」Billboard Live TOKYO (ビルボードライヴ東京)の追加公演に行ってきました。斉藤さんのライヴに行くのは、2020年のビルボードライブ横浜以来3年ぶりです。

 

 

はっきり言ってしまうと、私がこの公演の予約状況をチェックし続けたところ、『週刊文春』に斉藤さんが未練を断ち切れずに浮気相手を訪ねていったという記事の影響だと思うのですが、一度満杯になった予約がちらほらとキャンセルされていました。しかし、またなんとか予約で埋まりました。

 

出演者は、

 

斉藤由貴 (Vocals)
矢吹卓 (Piano)
立川智也 (Bass)
沼直也(Drums)
Kazco (Chorus)
金原千恵子(トレ ジョワイユ)(Violin)
笠原あやの(トレ ジョワイユ)(Cello)

 

 

私は何度もビルボードライブの最前の真ん中に座ったことがあるので、斉藤さんとは出演者が異なる多くの公演でも、ステージのいろんなところにセット・リストが貼り付けられていることを知っています。(ビルボードライヴのPAがどうだったかわかりませんが、観客が自分の見える範囲で本物のセット・リストを探すなら、演者の足元かPA席にいる音響担当、音響さんの近くかです。)上の写真の左下隅にも蛍光に光るセット・リストが写っていますね。これが斉藤さん用にスタッフが観客の見えないところにひそかに用意したつもりだったブツです。もちろん私は開演前も公演中もこのセット・リストを見ていましたし、「M9 夜曲」「M10 おとなの掟」が何を指すのかは測りかねていました。
今回もセット・リストの場所に気づいていて、終演後撮ろうとしたら、スタッフが慌てて飛んで来てはがしていきました。私に対してすごく嫌そうな顔をしていました。
しかし、そのまえに一枚だけ写真を撮ることができました。以下に上げたものが斉藤由貴用の11月30日セカンド・ステージのセット・リストをもっと大きく撮ったものです。撮ろうとして私が伸ばしたスマホと両手両腕の影も写っていますね。ひょっとしたら、ルール違反にあたるかもしれませんが、しかし、楽屋に忍び込んで撮ったわけでもなく、ステージ上に置いてあったものです。あくまで、出演者がおらず、最前の観客から見えている舞台上を撮っただけであり、隠れた舞台裏、舞台袖を撮ったわけではありません。セット・リストに関して十分信頼できる情報の根拠を提示するためだけではなく、セット・リストのこういう実物があるんですよ、ということをファンのみなさんに知っていただいて、斉藤由貴と彼女のライヴ・パフォーマンス、そのほかの歌手によるライヴ・パフォーマンスを崇めるだけではなく、たいへん愛おしく思ってもいただくために載せたいと思います。
 
 

以下、期間限定で公開されたオープニング映像です。たしかにライヴの冒頭で流れたのですが、最前で見ると少し近すぎたし、セット・リストを確認していたので、触れるのを忘れていました。(12月27日記)

 

 

 
セット・リストについて
 
いちばんうえに「B」と書いてあるのは、最低でも「A」「B」の二種類があるのでしょう。「A」=ファーストステージ、「B」=セカンドステージなのかどうかは私にはわかりません。
 
M1はザ・ビートルズのカヴァー。ちなみにジョン・レノンが作った曲だと思います。斉藤さんが歌うスタジオ録音も存在していて、それはアルバム『ETERNITY』(2015年)の8曲目に収録されています。
M4はポール・マッカートニーのカヴァー。"Simply having a wonderful Christmas time"という歌詞を演者、観客みんなで合唱するやりかたを斉藤さんが伝授してくれました。斉藤さんの期待に絶対に応えたいかたは、そこまでする必要もないとは思いますが、ライヴ前にポールのオリジナルに合わせて"Simply having a wonderful Christmas time"と何度か歌ってみてください。
M6ももちろんスタンダード・ナンバーのカヴァー。ビング・クロスビーが最初。
M9は中島みゆきのカヴァー。大阪で中島みゆきトリビュート・コンサートに出演したときに歌った二曲のうちの一曲だそうです。たしかトリビュートで歌った(けれど、ここでは歌わなかった)のは「歌姫」。
M11は椎名林檎のカヴァー。二番目の娘さんの趣味で聴かされていたのですが、斉藤さんご自身も好きになったそうです。音楽アプリから年間使用報告があったということは、察するに、娘さんも「Spotify」か私と同じで「AWA」かを使っているのでしょう。
M5のメドレーは斉藤さんのオリジナル・アルバム『LOVE』(1991年)収録曲で構成されたメドレーでした。「いつか」→「Yours」→「LETTER」→「Julia」。とくに「Yours」が最近はやりのシティ・ポップのアレンジであり、このアレンジがスタジオ録音よりもメロウなところが私は好きでした。
「着替え」はもちろん斉藤さんが衣装を着替えてステージに帰ってくる時間であり、「着替え」という歌を歌ったわけではありません。
M11は鈴木ダイスケ『歌謡曲 meets シティ・ポップの時代』(シンコーミュージック、2023年)収録の斉藤さんのインタヴューでも触れられていますが、当時、斉藤さんが自分で書いた歌詞の内容をレコーディング・ディレクターにも教えずにスタジオに入って歌入れした斉藤由貴入魂の一曲です。
 
今回ストリングスが演奏に加わったのがよかったですね。チェロの笠原あやのさんには私には見覚えがありました。11年半前佐野元春のビルボードライブにも加わっていました。私は大の佐野元春ファンでもあります。
 
昨年から、わざわざ演者が本編終了後いったん控室に引っ込んでまた控室から出て来るアンコールという儀礼的な慣習をなくして、そのぶん一曲でも多く歌うようにしたそうです。ですから、今年もアンコールはありませんでした。
 
斉藤さんご自身のいわゆるヒット曲はたった二曲だけしか演奏されませんでした。斉藤さんのお話では、いわゆるヒットパレードにすると、毎年同じになってしまうからだそうです。
俳優という職業は自分とは違う他人になりすます、他人になりきる仕事です。これだけ長年歌っていれば、斉藤由貴の歌はもう斉藤由貴の分身です。イントロが流れたら、何も考えずに一体化して歌えるはずです。そういう意味では、M9、M10など他者性をもって自分の前に立ちふさがる曲を自分のものにしようとするのは俳優らしくていいことだと思います。
M5のメドレー、M9、M10のカヴァーに象徴されるように、たとえ笑われることになっても、恥をかくことになったとしても、ヒット・パレードではなく、新しいことをたえずやっていきたいようです。結局、斉藤由貴のレパートリーの歌詞で言うと「嘘をついて大人になるより 夢見る迷い子で旅を続けていたいの」。またいつか「砂の城」も聴きたいですね。
 
 
頼んだ食べ物はシーフード・ピッツァと辛口のジンジャー・エール。おいしかった。私はふだんピッツァを食べないぶん、ビルボードではピッツァしか食べません。私がビルボードライヴに行き始めたころはピッツァももっとサラミなど具に肉が多かったです。しかし、最近は魚介類、野菜などが具の主体であるピッツァのほうが多くなってきましたね。
斉藤さんははっきりと「私たちの演奏を聴きながらでも、楽しく召し上がってください、そういう場なので」とおっしゃっていました。ですから、こういうミュージック・ライヴ・レストランでは当たり前のことですが、あなたが演奏を聴き取るのを妨害するほどでなければ、つまり隣人がただの咀嚼音を立てているのであれば、たとえ演奏中でも隣人の食事を注意するのはやめておいたほうがいいでしょう。
 
先日、小泉今日子の出版記念トークショーに行ってきて一列目に関係者が占めるなか二列目で姿を見たのですが、彼女は声もしぐさも話し方も表情もとにかく愛くるしいです。
それに対して、斉藤由貴はとにかく美しかったですね。
歌か演技か何をする人かわからないし、自分がいいと思っても他人はどう思うかわからないといつも冷静に考えているのに、写真を見た瞬間に、私がこの人は絶対に売れると確信したのは斉藤由貴と松浦亜弥だけです。冬休みに、あのとき、私はコミック雑誌を読む習慣はなかったのですが、斉藤由貴が表紙を務める『週刊少年マガジン』が新幹線のホームのキヨスクに置かれているのを見ながら、いったん歩いてキヨスクの横を通り過ぎたあとに、自分が大きなまちがいを犯したことに気づいて、慌ててすぐに引き返して『週刊少年マガジン』の新年号を買ったときのことが忘れられません。まさしく、あれこそが思わず息を呑む美しさでした。
もちろん、斉藤由貴は吉永小百合、倍賞千恵子あたりから始まり、梶芽衣子、彼女の同年代なら、薬師丸ひろ子、原田知世を経て、柴咲コウ、そしてさらに後輩の長澤まさみ(星泉名義)、上白石萌音へと続く、いわゆる"女優系"の歌手ですよね。(と言いつつも、上白石萌音の歌唱力はもう女優系の歌手の次元を大きく超えています。)このビルボードライヴでのライヴ・パフォーマンスを見ても、斉藤由貴は音程、声量、節回しなど歌唱力は十分ではなくても、豊かな表現力で聴き手を魅了することができると思いました。しかし、何よりも、あれから40年近く経っても、やはり美しいです。
 
それでは、また。次回は菊池桃子のライヴについて書きます。