100年経って出てくる「流言飛語」 | 偕楽園血圧日記

100年経って出てくる「流言飛語」

 エアコンの入っていない場所にしばらくいると、頭がほおっとしてくるような暑さが続いている……。


 NHKが関東大震災時の記録フィルムをカラー化したものを使った特集番組を創っていた。
「ディティールがよくわかるようになった」とか「人々の表場が見えるようになった」はいいのだが、元の史料に手を加えたものは「作品」であるということは忘れないように。
 いってみれば源氏物語の現代語訳を読んで「平安時代の人々の様子がよくわかる」といっているに近しいのだということは、常に頭の片隅に置いておかないと。

 同番組の後編では、いわゆる「朝鮮人虐殺」についても触れ、「231人」という確定史料を出したところはよかったのだが、その後で「もっと多い説も」といったのは蛇足。
 そういうことをしているから、「政治的」に話を膨らませる勢力が現れるのだから。

 北朝鮮など、

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 北朝鮮「関東大震災の朝鮮人虐殺は反人倫的犯罪…2万3千人を虐殺」

 北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は1日、関東大震災朝鮮人虐殺事件について「古今東西、前例のない最も極悪な反人倫犯罪」とし、当時2万3千人余りの朝鮮人が虐殺されたと主張した。

 労働新聞は「100年の歳月が経っても絶対に覆い隠すことはできない」という見出しの記事で、「日本の反動は罪悪の歴史について誠勤(誠実)に謝罪し賠償する代わりに、必死に歴史歪曲遊びに固執し、この厳然たる事実を否定、抹殺しようとしている」と指摘した。
(中略)
 労働新聞は朝鮮人虐殺事件について「日本当局によって計画的に、組織的に敢行された犯罪」とし、「警察官が拡声器を持って都市を巡回しながら朝鮮人を殺せと公然と扇動」したと主張した。
(後略)
 中央日報日本語版 9/1(金) 10:15

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 こんなことまで言い出している。

 1920年代に持って巡回できるような「拡声器」があったといいだしているのにも呆れるが、「岡山大学経済学会雑誌16(4),1985,107-145」に掲載された「震災復興期の東京府下朝鮮人労働者に関する人口・職業分析 松本俊郎」によると、当時の関東地方居住の朝鮮系日本人の人数は、


(震災復興期の東京府下朝鮮人労働者に関する人口・職業分析 松本俊郎)より

 というものなのに、在住者以上の人数が殺されたといっているのにも呆れる。
 まったくお話にならない。

 この話では(2023/09/01の記事、教訓は自尊心満たしの道具ではない) で引用した「機関銃で次々に撃った」証言に続いて、

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 1923年の関東大震災後、流言を信じた日本人に虐殺された朝鮮人らを追悼する催しが2日、東京都墨田区の荒川河川敷で開かれた。20~40代の日本人や在日コリアンらによるグループ「百年(ペンニョン)」などが主催し、初めて実施。目撃証言や自分たちの思いを朗読し、差別にあらがう社会を誓った。
「子供たちは並べられて、親の見ている前で首をはねられた」「電柱に朝鮮人が縛られ、<なぐるなり、けるなり、どうぞ>と書いた立て札があった」。「百年」のメンバー16人は会場で、600人以上の参加者を前に虐殺の目撃証言を約30分かけて代わる代わる朗読。「100年で終わりではない。これからも関心を寄せて」。韓国から来日した犠牲者の遺族もマイクを握り訴えた。
 毎日新聞 9/2(土) 22:01配信「朝鮮人虐殺、若者らが独自の追悼式 『100年で終わりではない』」より

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 こんなことを言う者まで現れた。

子供たちは並べられて、親の見ている前で首をはねられた」。いやはやすごい話だ。
電柱に朝鮮人が縛られ、<なぐるなり、けるなり、どうぞ>と書いた立て札があった」さすがにそんなことがあれば目撃者もかなり出ていることだろう。

 こんなもの、「朝鮮人が井戸に毒」と何が違うのだ?

 もともとが貯金の返還要求だった「慰安婦」の話が、「強制連行」「性奴隷」という話に膨らませられていったものと同じ過程がここにある。
 普通に「そういうことがあった」というならば多くの日本人も「そうですか。大変でしたね」とねぎらうことになる話が、嘘を交えた「非難と罵倒」になるから「なんだあいつら」という気持ちに転化する。
 そして分断が生まれる。
「ジープ」だの「クリスマス休暇」だので膨らませた「強制連行」という空想を否定すると、左系が「慰安婦がなかったことにする愚行!」と騒いだ。それと同じく「何千人虐殺」を否定すると「虐殺をなかったことにするウヨ!」と勝手なレッテルを作って喚きまくる。
 それでいったい誰が「得」をするというのだろう?
「悪いやつらを叩いている」という思い上がりに浸ろうとする者たちだけではないか。馬鹿らしい。


 今年はこの「朝鮮人虐殺」をいう記事がやたらと多かった。
 共同通信などは、ヤフージャパンだけでも1~5日にかけて「1行もの」を除いた福田村ものも含めて国内カテゴリーだけで10本を数える。

 これだけ取り上げられた「朝鮮人追悼のなんたら」のことなのだが、

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 総連の関東大震災追悼行事に出席 尹美香議員の除名求める=韓国与党

【ソウル聯合ニュース】韓国の旧日本軍慰安婦被害者支援団体の前理事長で国会議員(無所属)の尹美香(ユン・ミヒャン)氏が在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)主催の関東大震災犠牲者追悼式典に出席したことについて、韓国与党「国民の力」の首席報道官は3日、「韓国国会議員の資格がない」として、議員資格を失わせる「除名」とするよう求める論評を出した。
 尹氏は関東大震災の発生から100年となる1日に東京都墨田区の横網町公園で開催された朝鮮総連主催の追悼式典に出席した。同日に在日本大韓民国民団(民団)が開催した犠牲者追悼行事には出席しなかった。
 論評は「国民の血税をもらう韓国の国会議員が韓国の存立を脅かす団体と肩を並べた」として、「このような議員を韓国の一員として認めることが正しいのか」と指摘。「国会は反国家勢力と韓国を脅かした尹議員の除名で自由民主主義を守るべきだ」と強調した。
 聯合ニュース 9/3(日) 13:55

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「北朝鮮系組織が主催していたものがある」ということで、韓国本国ではそれに出席した人間が問題になっている。

 なるほど。

 そういえば共同通信は、日本のマスメディアの中で唯一ピョンヤンに支局があるということを誇っていたことがあったな。
 韓国政府はこの「朝鮮人虐殺」で日本に対して特に非難ステートメントを出すことをしていないのだが、上で引用した記事にあるように北朝鮮は「話もりもり」で騒いでいる。

 なるほど。

 そしてこの話で、

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 関東大震災100年:立民・杉尾秀哉議員「喉に刺さったとげを放置したまま真の日韓和解は困難」

「関東大震災での朝鮮人虐殺は『のどに刺さったとげ』のようなものです。この問題を隠したまま日本と韓国、両国が真に和解することはできないでしょう」
 最近東京で会った立憲民主党の杉尾秀哉参議院議員(65)は「真の和解をしようと思うなら、(日本が)歴史的事実から目をそらしてはならない」とし「歴史と向き合い、誤りがあれば認めて謝罪し、新たな日韓関係をつくる契機にすべき」と語った。関東大震災での朝鮮人虐殺事件は、1923年9月1日にマグニチュード7.9(推定)の大地震が東京を襲った後、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」というような流言飛語が広まり、数多くの朝鮮人が日本人によって殺害された事件だ。日本政府は公式調査や謝罪をしていない。

 日本政界で朝鮮人虐殺はタブーのように見なされている。そうした中、TBS記者出身の杉尾議員(当選2回)は今年5月、国会で谷公一・国家公安委員長に、関東大震災当時の朝鮮人虐殺について政府レベルの調査を求めた。日本の国会で議員が関東大震災における朝鮮人虐殺問題を公論化したのは、この100年で初めてだ。

-政治家らが嫌う朝鮮人虐殺問題を公論化した理由は。
 「政治家になる前も、関東大震災のとき、流言飛語のせいで多くの朝鮮人が虐殺されたという歴史的事実は知っていた。ただ、日本政府がこれについていかなる立場なのかはよく知らなかった。調べてみると、『(朝鮮人虐殺は)政府が調査したところでは事実関係を把握する記録を見つけられない』という立場であると。記録すら認めず、明らかな誤りにもかかわらず100年間、関連の国会質疑・応答は一度もきちんとなされていない。非常に驚いた」

-朝鮮人虐殺は日本の歴史教科書にも載っている歴史的事実ではないか。
 「その通りだ。日本の歴史教科書には、警察・憲兵といった公的な立場の人々が(虐殺に)加担したと書いてある。2008年に内閣府傘下の中央防災会議が出した報告書にも、朝鮮人・中国人虐殺について記述がある。中央防災会議の報告書は、政府に依頼に基づいて出された報告書だ。それにもかかわらず否定する。国会図書館にも公式な記録がある。その写しを見せてもらって国会で質問したが、政府の答弁は『記録を見つけ出せない』だった。資料をもっと集めて、9月に開かれる国会でもう一度問題を提起する考えだ」
(後略)
 朝鮮日報日本語版 9/3(日) 6:42

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(2023/05/12の記事、「陰謀論」が現実化するか?)で書いたように北朝鮮の浸透工作が問題になっている韓国メディアに顔を出す日本の国会議員もいる。

(2023/03/27の記事、さぁて、誰がやらせているのかな?)でも書いたように、彼が属する政党の前身は、北朝鮮と関係のある組織への献金が明るみに出ている。

 なるほど。


 本日の観察。

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 粘菌やキノコの標本いかしてアートに 宝塚市で高田光治さんの展覧会


(写真、朝日新聞デジタルより。キノコなどの標本を使ったアート作品=宝塚市)

【兵庫】粘菌やキノコの標本を使ったアート作品を集めた展覧会「高田光治(たかだみつじ)のミクロコスモス劇場展―粘菌と胞子がつむぐ物語―」が宝塚市立文化芸術センターで開かれている。9月3日まで。

 大阪芸術大教授の高田さんは、自ら採取した粘菌やキノコ、蜂の巣、タンポポの綿毛などを標本にしてから、着色したりオブジェと組み合わせたりしてアートにしている。
 平面作品やオブジェなど約1500点を展示。イタチの骨と粘菌で森の食物連鎖を表現した作品などもある。高田さんは「アートとサイエンス、どちらの側面からも楽しめる展示になっている」と話している。
 高校生以上は1千円。問い合わせは同センター(0797・62・6800)。(三浦宏)
 朝日新聞デジタル 2023/08/31 10:30

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 面白そうだなぁ。
「イタチの骨と粘菌で森の食物連鎖を表現した作品」か。イタチは粘菌を食べたりしないが、どういう構成になっているのだろう?

 着色とかしないでもこういうものは面白そうだ。
 粘菌観察とかしてみたいのだが……偕楽園の朽木などにいないかな?
 苔のようなものならばよく見かけるのだが。