「人間の手がまだ触れない」 | 偕楽園血圧日記

「人間の手がまだ触れない」

 晩御飯のあと少し胸が痛んだので横になっていたら、ずいぶん遅い時間になってしまった。
 今日は簡単に。

 先日のトンガの噴火による津波で、

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 未明の津波警報発令、避難者わずか4%「テレビで様子見」「外も寒くて暗いので」

 南太平洋・トンガの海底火山噴火で発生した津波で16日、東日本大震災以来となる津波警報が発令された岩手県沿岸12市町村に読売新聞が避難状況を取材したところ、避難指示の対象者に対し、実際に避難した人の割合はわずか4%にとどまったことが分かった。地震による津波でなかったことや、時間が未明だったこともあるが、避難率の低さについて、防災担当者の間では「なぜ少なかったか検証が必要」との声も上がっている。

 読売新聞が避難指示の最大の対象人数を確認したところ、合計は4万6882人だった。これに対し、最大の避難者数は合計で1855人にとどまった。陸前高田市は避難指示の対象899人に対し、避難者は約9%の79人。同市防災課の中村吉雄課長は「決して多い数字とは言えない」と語った。
 今回、沿岸部で最初に発令されたのは警報でなく、午前0時15分の津波注意報だった。大船渡市の避難所にすぐに避難した無職男性(74)は「(1960年の)チリ地震の経験もあり、遠い場所からの津波こそ、油断すると怖いという思いがあった」と語ったが、注意報で避難した人は少なく、「テレビで様子を見てしまった」「注意報なので大丈夫だと思ってしまった」などの声が目立った。
 大槌町の自営業女性(54)は「注意報では家で待機したが、3時頃に再度テレビを確認したら津波予想が3メートルと出ており、急いで避難した。防災用の荷物も家に忘れ、震災の教訓を生かしきれなかった」と反省を口にした。一方、避難した人の中でも警報発令中の夜明け後、避難所から帰っていく姿が多くみられた。

「現実味なく」
 こうした状況は、県が時系列で公表した避難状況でもみてとれる。午前1時45分時点では避難者は57人にとどまったが、同2時54分に警報が発令された後の同6時には1348人に増加。だが、解除前の同10時には402人に減った。
(中略)
 宮古市の60歳代女性は「地震を伴わない津波となると現実味がなく、外も寒くて暗いので避難をためらってしまった」と語った。震災後、防災対策が進んだことによる安心が避難行動に影響した状況もみられた。山田町の60歳代女性は「震災の時は家も職場も浸水したが、震災後は堤防もできたし、大丈夫と思った」と話した。

再度の周知も
 
未明の注意報だったが、各自治体ではすぐに避難指示を出し、防災無線やメールなどを通じて何度も避難を呼びかけた。それにもかかわらず、十分に避難が進まなかったことについては、防災担当者で危機感も生まれている。中村課長は「再度周知が必要だと思っている。今後、夜とか冬といった最悪の条件を想定した訓練も考えなければいけない」と話したほか、久慈市消防防災課の田中淳茂(あつしげ)課長も「改善すべき点を協議し、避難訓練を繰り返して意識の徹底を図りたい」と語った。
 読売新聞オンライン 1/18(火) 15:56

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 岩手県の避難状況がこんな程度だと読売新聞が書いていた。

 いろいろ理由が並べられているが、東日本大震災を経験した地区でもすでに「注意報なら」とか「寒いし」といった「億劫さ」が出るようになってしまっているのか。
「震災を風化させない」という言葉が出てくるような地域でもこんなことでは、「電車が止まった」程度の地域ではもう震災は遠い彼方になっているだろうな。
 ちょうど一昨日は阪神淡路大震災から27年目だったということでいろいろ追悼式が行われていた。
 高速道路が倒れ、三宮のビルが倒れといった惨状はいまだに忘れられないのだが、それも私が神戸に何度も行ったことがあるからなのかもしれない。


 ネットでは元有名バンドのドラムをやっていたという人間が、


https://twitter.com/atomicdrum/status/1482399599843110914

「注意だ避難だの前に理由を説明しろ!」といって叩かれているようだが、そこまで屁理屈を言わないまでも、避難に理屈付けが必要とされる人は増えているようでもある。

 仙台の市長までが、

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 仙台市長、気象庁に苦言 津波注意報「精度上げて」

 南太平洋のトンガ沖で起きた海底火山の大規模噴火で、気象庁の津波注意報が津波観測後に発表されるなど情報発信が混乱したことについて、仙台市の郡和子市長は18日の定例会見で、「命にかかわることにつながるので、ぜひ精度を上げてもらいたい」と苦言を呈した。
 今回の大規模噴火に伴い、気象庁は当初、日本への影響について「若干の海面変動の可能性はある」と発表。その後、太平洋沿岸部で大きな潮位上昇を相次いで観測し、一転して注意報や警報を発表した。
 郡市長は会見で、気象庁の判断について「非常に難しかったのだろう」とした。その上で、「住民の不安や、混乱にもつながっただろうと思う。警報が出された所では、もう少し早く避難ができた方がよかったという気持ちを持った人もいただろう」と精度の向上を求めた。
 産経新聞 1/18(火) 13:25


 郡和子仙台市長 定例記者会見 1/18

 郡和子仙台市長の18日の定例記者会見での主なやりとりは次の通り。
(中略)
Q 南太平洋・トンガ沖の海底火山噴火に伴う津波が仙台港でも観測された。影響は出ているか。
A 海岸線や河口エリアに避難指示を出し、避難所の開設準備もした。真夜中で、不安に思った市民が多くいたと思うが、大きな被害は確認されていない。
Q 気象庁は「被害の心配はない」と発表し、津波観測後に警報や注意報を出した。この対応をどう感じたか。
A (予測が)非常に難しかったとは思うが、住民は不安を感じ、ある意味で混乱にもつながった。警報が出された地域では「もう少し早く避難できた方が良かった」という人もいただろう。いずれにしろ命に関わることであり、もう少し精度を上げてもらえるとありがたいと、率直に思う。
 河北新報 2022/01/18 12:53

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 こんなことを言っているし。

 が、今回の津波は、正確には「津波様状態」とでもいうもので、専門家でもまだその発生メカニズムが「説」としかいえないというところをみなくては。
 仙台市長は「精度を上げて」といっているが、通常の津波メカニズムとは違う形で起きているものなので、この後普通の津波のような収まり方を示すかどうかもわからない。幸い転んだ人が数人の他は船がひっくり返る経済的被害が出たぐらいで済んだが、メカニズムが分かっていないものなのだから、もしかしたら「もっとひどい波が来ていた可能性」もあった。

 現に南米の方では、

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 噴火で「異常な波」、2人死亡 ペルー

【サンパウロ時事】南米ペルーの災害救援当局は16日、南太平洋トンガ沖の海底火山噴火に伴う「異常な波」によって、北部ランバイエケ州で2人が死亡したと発表した。
 RPPラジオによると、2人は女性で、15日午後に家族ら計12人で遊泳中、突然の高波にさらわれ溺れたという。
 ペルーでは北部から中部にかけ、噴火の影響とみられる高波が観測され、22の港湾が一時閉鎖された。ペルーはトンガから1万キロ余り離れている。 
 時事通信 1/17(月) 9:12

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「異常な波」による死亡者も出ている。

 なにより今回の「津波」は通常の岩盤の崩壊などによって押しのけられた水の移動によるものではないので、その到着時間が通常のものよりも早かったことを忘れてはいけない。
 これを「精度の話でどうこう」いうのは「無茶」というものである。

 夜中にスマホが鳴ってから朝までNHKをつけていたが、画面には刻々と上がる潮位の数字が表示され、アナウンサーが緊張した声で各地の人たちにインタビューを行っていた。
 これで「家も危ないかもしれないから、とりあえず高いところに逃げとこうか」と思わないのならば、その責任は避難しない自分にある。

 ましてや外野から気象庁を叩いたところで、何にもならない。


 本日の寒波。

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「御神渡り」出現に期待 長野県諏訪市〔地域〕


(写真、時事通信より。結氷した諏訪湖上で氷の状態を観測する八剣(やつるぎ)神社関係者ら=17日、長野県諏訪市)

 長野県の諏訪湖で、冬季に湖面の氷が割れてせり上がる自然現象「御神渡り(おみわたり)」の出現を待ち、八剣神社(諏訪市)の宮坂清宮司と氏子らが観測を続けている。湖畔の観測地に集まり、午前6時半ごろから気温、水温を測定。氷の厚みや状態などを調べている。
 宮坂宮司によると、この現象が見られるのは気温が氷点下10度を下回る日が3日程度続き、湖面が全面結氷した場合だという。2018年2月に確認したのが最後となっている。今年は年明けから降雨がなく、関係者らは4年ぶりの出現に期待を寄せている。 
 時事通信 1/18(火) 10:12

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 去年もかなりいい感じに凍っていたのだが、諏訪の神様が夫婦喧嘩でもしたのか、突然(2021/01/22の記事、ピント外れのところで騒いでいる議員は「やじ馬」とどう違う?)で取り上げたように「風で氷が砕けて」しまうことになった。

 今年は仲直りしていてくれたらいいなぁ。