香港は自由主義者の「禁足地」になってしまった | 偕楽園血圧日記

香港は自由主義者の「禁足地」になってしまった

 昨日は不思議なほどヤフージャパン配信ニュースに「安倍総理は~」というものがなかったな。
 ほとんどずっと官邸詰めで、日医会長との会談以外は外部とかかわっていなかったからだろうか?
 それとも、マスメディアが都知事選挙を前に「小池貶し」に力を入れるようになっているおかげで、安倍叩きの方まで手が回らなくなっているのかな?

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午前9時51分、公邸発。同52分、官邸着。
(中略)
午前11時18分、北村滋国家安全保障局長、今井尚哉首相補佐官、外務省の秋葉剛男事務次官、滝崎成樹アジア大洋州局長が入った。同48分、滝崎氏が出た。午後0時6分、全員出た。
 時事通信 7/2(木) 8:10配信「首相動静(7月2日)」より

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 というあたりがなかなか注意を引くところなのだが。


(2020/06/29の記事、香港は「遠い海の向こうの島」ではないぞ)などで取り上げた香港の「国家安全法」、

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 香港国家安全法成立 中国が直接取り締まりも 「一国二制度」瀕死

【北京時事】中国・北京で開かれていた全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は30日、香港への統制を強化する「香港国家安全維持法」を全会一致で可決、成立させた。
 同法は香港の憲法に相当する「香港基本法」の付属文書に例外として追加され、香港政府が同日中に公布、即日施行。国際社会の批判にかかわらず、香港が英国から中国に返還されて23年に当たる7月1日を前に施行し、香港統治の正当性を強調した。
(後略)
 時事通信 6/30(火) 19:16

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 先月末に可決され、周知期間もなくこの一日から施行、

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 香港デモで370人逮捕 うち10人は国家安全法違反


(写真、AFP=時事より。香港で行われた国家安全維持法への抗議集会で、機動隊に拘束される男性(2020年7月1日撮影))

【AFP=時事】(更新)香港の中国返還記念日となった1日、同市で新たに施行された国家安全維持法に反対するデモが禁止令に反して行われ、数千人が参加した。香港警察は同法違反容疑の10人を含む約370人を逮捕した。
 警察はデモ隊に対し放水砲や催涙ガスなどを使用。警察の発表によると、警察官7人が刃物で肩を刺されたり、バイクにはねられたりして負傷した。
 新法の下では、特定の政治的見解やシンボルの使用が違法となり、禁止対象には香港や台湾、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)の独立への支持表明も含まれる。
 警察が発表によると、国家安全維持法に違反したとして逮捕された人々は、独立を支持する旗やステッカー、チラシを所持していた疑いがかけれれている。【翻訳編集】 AFPBB News
 AFP=時事 7/1(水) 19:59

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 警察発表のような暴力行為があったのならばこんな法などなくとも逮捕拘束できるだろうに、さっそく抗議デモに適用され、逮捕者が出る事態になっている。

 中には、

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 香港国家安全法違反で初の逮捕、よく見ると独立旗に小さく「no」

[北京 1日 ロイター] - 香港警察は1日、香港独立を唱える旗を掲げたとして男を国家安全維持法違反の疑いで逮捕した。前日可決したばかりの同法の適用は初めて。
 警察がツイッターに投稿した写真には、「香港に自由を(Free Hong Kong)」と書かれた黒いTシャツを着た男と歩道に置かれた旗が映っている。
 旗に大きく書かれた「香港独立」の前を微細にみると、非常に小さな文字で「no to」と書かれており、これも含めて解釈すると独立を否定していることになる。
 警察のコメントは得られておらず、逮捕された男がこの文字により起訴を免れるかは不明。男の身元なども明らかになっていない。
 ツイッターでは、「香港独立にノーを」で反体制的なのか、小さい文字など誰も読まない、などのコメントが投稿されてえる。
 ロイター 7/1(水) 12:11

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 こんなものまであるというのだから、中国共産党の暴挙には、もう歯止めも効かない。

 無茶苦茶な話だ。
 なによりこの法律で恐ろしいのは、

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 第29条では、「外国、外国の機関、組織、その人員のために国家の秘密または国家の安全に関する情報を盗み、探り、買収されて違法に提供すること、外国もしくは外国の機関、団体もしくは個人にその行為を依頼した者、外国もしくは外国の機関、組織、その人員と共謀してその行為を行うこと、外国もしくは外国の機関、組織、人員から直接もしくは間接に指示、コントロール、資金その他の援助を受けて、以下の行為を行うことは、犯罪である」と規定し、具体的に以下の5つの例を挙げている。
(1)中国に対して戦争をし、武力もしくは武力の威嚇によって中国の主権、統一及び領土の完全性に重大な危害を及ぼすこと。
(2)香港政府または中央政府による法律や政策の策定・実施を著しく妨害し、重大な結果をもたらすおそれのあるもの。
(3)香港の選挙を操作し、混乱させ、潜在的に重大な結果をもたらすこと。
(4)香港または中国に対する制裁、封鎖その他の敵対的行為。
(5)様々な不法な手段を用いて、香港の住民の間で中央人民政府または香港政府に対する憎悪を募らせ、重大な結果をもたらす行為。

 今回の法施行を批判して中国や香港に制裁をかけようとしている米国などは、まさにこの条文が示す「外国」の敵対勢力だろう。日本も、米国と足並みをそろえて制裁に動けばその範疇に入るかもしれない。
 いやな感じがするのは(5)で、「香港の住民に中国や香港政府への憎悪を募らせる」言動というのは、中国の人権問題や非人道、不条理を、外国のNGOや人権団体とともに批判することも含めようとすれば含められるのではないか、ということだ。
 さらにいやらしいのは、減刑規定で、自白や自首以外に、「他人の犯罪行為を暴いて検証に協力し、事件の捜査の重要な手がかりを提供する場合」と密告奨励を含めていることだ。
 またこの法律の適用範囲は非常に広く、
第38条「香港特別行政区の永住者の資格を有しない者が、香港特別行政区の外で香港特別行政区に対してこの法律に基づく罪を犯した場合に適用される」とある。つまり外国人が外国で、香港住民に中国や香港政府への憎悪を募らせる言動をした場合もこの法律が適用されうる、ということになる。しかも適用場所は、香港に登録されている飛行機、船舶上にも及ぶ。
(福島 香織:ジャーナリスト)
 JBpress 7/2(木) 6:01配信「香港を殺す国家安全法、明らかになった非道な全文」より

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 というところ。
(2015/06/07の記事、孫文も現代ならば塀の中)というエントリーを挙げたのが五年前になるが、いよいよそれが「法的に可能になった」。
 もはや「外国に逃げておけば安全」とは限らなくなったのだ。
 しかもこの法律は、外国人にも適用できるというのだから、「そういう勢力」と接触のあった者ならば、たとえ日本人でも、香港に足を踏み入れた途端にこの法律で逮捕することが可能になっている。香港ではなく、日本で「香港頑張れ」といっていただけでも、である
外国で、外国人がやったことを自国の法の対象にしようというのだから、これが「覇権主義」の現れ以外のなんだというのだろう。もちろん、日本語で言う「覇権」であり、(2015/05/05の記事、同じ字で書いても国ごとに意味が変わる)で書いた中国語の「覇権」という意味ではなく。
 これでは、香港で商売をしようという外国人も限られてくる。

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 「香港は死んだ」 産経新聞、1面トップに異例の「黒背景」記事


(写真、J-CASTより。産経新聞の1面 上部が黒く構成されている)

 中国の「香港国家安全維持法」の成立を受け、2020年7月1日発売の産経新聞の1面が異様なものになっているとしてインターネット上で話題となっている。

■「2020年6月30日、香港は暗黒時代に入った」
 6月30日に香港国家安全維持法が成立し、施行された。NHK NEWS WEBは、この法律の施行により「香港では、中国共産党や政府に批判的な政治活動や言論活動は、事実上、封じ込められることになります」と7月1日の朝に報じた。
 法の成立に関する報道で今回話題となっているのは、産経新聞の1面上段。3段分のスペースを使い、黒く塗りつぶされた背景に白字で書かれた一文は「香港は死んだ」という見出しで始まる。
(後略)
 J-CASTニュース 7/1(水) 16:59

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 この産経の指摘は、ただの嫌がらせではないのだ。


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 スパイ罪で服役の邦人男性が出所 中国で刑期満了

 菅義偉(すが・よしひで)官房長官は2日の記者会見で、中国でスパイ罪などに問われ、実刑判決を受けて服役した50代の邦人男性が、刑期満了で1日に出所していたことを明らかにした。中国では2015年以降、邦人の拘束事案が相次いでいるが、有罪判決を受けた人の帰国が実現すれば初めての例となる。
 男性は15年5月中旬、中国北東部にある中朝国境の都市、遼寧(りょうねい)省丹東(たんとう)市で現地公安当局に拘束された。
 中国外務省は同年9月、男性をスパイ活動をした疑いで逮捕したと発表。丹東市中級人民法院(地裁)は2018年7月、男性に刑法のスパイ罪などで懲役5年の実刑判決を言い渡した。
 男性は日本人の母を持つ元脱北者で、北朝鮮と国境を接する丹東周辺で脱北者の支援活動などにあたっていたとされる。
 菅氏は記者会見で「事柄の性質上、人定を含めて詳細のコメントは差し控えたい」と述べた。
 産経新聞 7/2(木) 16:09

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 ちょうどというか、スパイ容疑で服役していた邦人が刑期を終えて出所、帰国するという。
拘束が2015年の5月ということだから、(2015/10/03の記事、「スーパーひたちもありまっせ」といってやればよかったのに)で引用したニュースにある人物だろうか。
 このニュースではもう一人同時に拘束されている人がいるのだが、そちらはどうなっているのだろう?
 そしてこれからは、香港でも同じように拘束されるようなことが起きるようになる。

 今回出所した人物は、「なにが容疑かわからない」まま有罪判決を受けて収監されていた。
 だがこれからは、香港に入る外国人を「中国の安全に反する行為を自分の国でやった」ということで堂々と逮捕できるのだ。
 ネットで中共の方針に異議を唱えるようなことを書いている者も、危ないだろう。「アルファブロガー」ではないから大丈夫などということはない。中共のデータ集衆力は恐るべきものがあるのだから。
(2020/05/25の記事、「ツイッターが民意だ!」「政治を変える力だ!」といったよね?)で、「検察庁法改正がー」で吹き上がった人たちに「香港のことでも何万ツイートを」と書いたが、彼らの中にそういう動きを見せる者はいなかったのは、もしかすると「商売」のことを考えていたのかもしれない。
 だがそれは、中国資本に支配されて「政治的正しさ」が押し付けられるようになってしまったハリウッドの後を追う行為。クリエイターとしては自死に等しい。


 商売といえば、中国のネットに、

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 中国人は日本で爆買いするのに…日本人はなぜ中国に爆買いに来ないのか―中国メディア

 中国のIT企業の深セン飛楽富信息技術有限公司の微信(WeChat)アカウント・天蝎財経は25日、「なぜ日本人は中国に爆買いに来ないのか」とする文章を掲載した。
 同アカウントは、「近年、中国から日本に旅行に行く人が増え、現地で爆買いする人も少なくない」と説明。「なぜ多くの中国人が日本でショッピングをする一方で、日本人は中国で爆買いしないのか」とし、その理由をいくつか挙げている。
 まず、中国人が日本で爆買いする理由について「2種類の人がいる」と指摘。1種類は「質が高い日本製品を心から買いたいと思っている人」だとし、「日本には素晴らしいものが多くあることは認めざるを得ない。質が高く精巧で、国内製品よりも長持ちする。中国に輸入されると値段が跳ね上がるが、日本で買えば比較的安い。乳幼児製品や電子製品は人気だ」とした。そして、「良い製品は自然と消費者の人気を得るものなので、こうした購買行動は理解できる」とした。
 一方で、もう1種類の「思い込みで購入する人」については問題だと指摘した。「日本製品は確かに質が高いが、すべての日本製が中国製に勝っているわけではなく、(日本には)中国から輸入した製品も多い」と説明。「かつて中国人の爆買いの対象だった温水洗浄便座の多くは中国の工場で製造されていた。日本にまで行って購入したものが中国製だったとは何とも皮肉だ」とした上で、「品質の良し悪しではなく、常に『外国のものは絶対に国産より良いものだ』という心理で購入している人も少なくないことが分かる」と論じた。
 続いて、中国は近年、急速な経済成長を遂げたものの、「一人当たりGDPや国民の平均収入では日本の方がかなり高い」とし、「日本人には購買力があり、中国は世界の工場が集まる場所であることから、日本人が中国に爆買いに来てもおかしくないとの見方もある。だが、日本人の中国旅行といえば、ショッピングよりも観光や体験が主だ」と紹介。日本人が中国で爆買いしない理由を3つ挙げた。
 1つ目は「中国製品の多くは日本に輸出され、日本では何でも手に入るため」とした。
 2つ目は「日本人の多くが国産品を購入する傾向があるため」と指摘。携帯電話の世界シェアは米国のアップル、韓国のサムスンのほか、中国のファーウェイ(華為技術)、OPPO、小米(シャオミ)などが上位を占めているが、「日本ではアップルを除けば日本メーカーの製品のシェアが多く、中国メーカーは少ない」とした。
 3つ目は「価格にそれほど敏感ではないため」とした。「日本人の平均収入は高く、一部の中国製品が日本国内で買うよりも安かったとしても多くの日本人にはそれほど魅力はない。日本人はより(購入や荷物として持ち帰ることの)便利さを重視しているので、たくさんの買い物袋を提げて帰国するということはないのだ」と論じた。(翻訳・編集/北田)
 レコードチャイナ 2020/06/27 08:20

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 こんな文が載ったという。

「爆買い」? うん、それならばもう千年ぐらい前にやったよ。壺やら皿やらなどの茶器を、銀で大量に買って運んできた。
 銅銭も輸入していた。
 だけど中国は文革でそういう「外国とは違うもの」をみんな壊してしまったからねぇ。そして残ったのが「偽物ばかり」では、爆買いなどとてもできたものではない。

 そこに加えて今度の香港の扱い。
 中国政府としては「法的根拠をきちんと整備した」つもりなのかもしれないが、イギリスとの約束を破っている時点で、世界は認めるわけがないのだ。


 本日の原稿。

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 ゴルゴ13にYAWARA!も 15万枚の原画が秋田に


(写真、朝日新聞デジタルより。浦沢直樹氏が描いた「YAWARA!」(右)と「20世紀少年」の原画=増田まんが美術館)

 秋田県横手市は26日、増田まんが美術館で多数の原画を預かる「大規模収蔵作家」に、さいとう・たかを氏と浦沢直樹氏が加わったと発表した。さいとう氏はゴルゴ13や鬼平犯科帳、浦沢氏はYAWARA!、20世紀少年などの作品で知られる。
 同館は1995年に開館し、原画の収蔵や保存、活用にこだわって運営。他の類似施設にさきがけて、漫画原画に適した体系的なアーカイブ手法を提唱し、取り組んできた。今回は作家側からの相談で実現した。
 昨年のリニューアルオープンで、保存環境を充実、強化させ、原画収蔵可能点数を70万点に増やした。全国の原画保存の相談窓口としての機能もあり、同館はこれらの点が両氏に評価されたとみている。
 収蔵数はさいとう氏が11万点で、浦沢氏が4万点。同館の収蔵作家数は180人で、収蔵数は40万6669点に増えた。整理作業を進めた上で、個展などを開催する予定だ。
 この日は、高橋大市長とさいとう氏がオンラインで対談した。高橋市長は「ゴルゴ13には知らない世界や知識が込められており、社会勉強になった。肉筆を間近に見られ、読者が新たな境地を探れる」とお礼を述べると、さいとう氏は「多くの人に見ていただければありがたい」と話した。(山谷勉)
 朝日新聞デジタル 6/27(土) 12:07

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(2009/05/03の記事、スポンサーから一言)で「国立メディア芸術総合センター」について反対したら、やたらとコメント欄でからんできた人がいた。
「なんとしてでも漫画を保存したい」というその人たちの気持ちもわかるのだが、あの時の案では国の関与具合が不明で、下手をすると「国民的アニメ」とされるようなものばかりが選別されることになりかねず、だから「そういう金があるならば地方の図書館などに回してそこでまず保存するべき」と書いた。

 その通りのことを、きちんとやってくれているところがある。

 この施設の開館は1995念だというのだから、麻生内閣で「メディアセンター」の話が出てきたときに、十分参考にできたはずである。
 そういうところをきちんとやってくれていたら、野党やメディアの「国営マンガ喫茶」などというネガキャンに引っかからない計画賛成者も増え、潰れることもなかっただろうに。

 横手市はこの施設を使って、今話題になっている「ふるさと納税」をやってみたらどうだろうか? 桃とかお酒といった飲食物ばかりではなくて。
 複製原画は……権利関係的に難しいかなぁ。