自分の過去を使うのは「役を生きる」演技に役に立ちますか? | 演技の悩み解決ブログ スタニスラフスキーの孫弟子が演技力向上メソッドの真髄を大阪よりお届けします。         

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スタニスラフスキーの孫弟子アクティングコーチ田中てつが演技の悩みを解決するブログです。


【演技に対する質問】女優 演技歴30年


マイズナーテクニック、メソード演技を学びました。いい役者になりたいと思い必死に勉強してきましたが、使いこなせません。

と、言うより、使う事に疑問を感じています。

自分の認識の違いなのかも知れませんが、「自分を使う」ことを習いました。

台詞は自分の事に置き換え、自分の事として話す、と。

例えばマクベス夫人の台詞を言ってても、頭の中は私自身の出来事を話してる訳です。

「想像の世界で生きる」と言いながら、私は自分であり続けます。

最近、そこに疑問を感じ出しました。

そして、衝動に乗って演技をするというのも、役の思考というのがあるはずだと思うと、非常に浅い感じがして、数十年生きてきた人間を衝動で処理していいんだろうか、と思うようになりました。

型にはまらず、生きた人間としてカメラの前に立ったり、舞台に立つにはどうすればいいのか、悩んでいます。

 
スタニスラフスキー・システム完全納得ワークショップ@ZOOM

 

【zoomレッスン後の感想】


やっとつかめたと思う感覚です。自信のなかった自分には、とても嬉しい事でした。本当にありがとうございました!

現場では求められているものを察知して感情にフォーカスしがちになってしまうので、どこまで的確に目的を見つけて行動していけるかが、今後の自分の課題になると思います。

今までの疑問も解明でき、楽になりました…ありがとうございました。

 

 

前回のブログ「その演技訓練に副作用はないか?」で紹介させて頂いた「スタニスラフスキー・システム完全納得ワークショップワークショップ」も結局コロナ感染予防のために開催中止とした。

申し込んで頂いていた俳優さん達には代替案としてZOOMによる個人レッスンを提案した。数名の方がそちらに切り替えて頂き計4時間のレッスン後に頂いた感想だ。

 

おうちでできる五感の訓練

先日終了した第2回zoom東京ワークショップ 「おうちでできる五感の訓練」クラス

 

 

【本場のリアリズム演技訓練の浸透と混乱】

 

 

最近、俳優さんのリアリズム演技に対するリテラシーがかなり向上したと思う。

 

10年前は「行動」について語るだけで「目から鱗です!」と、感動してくれる俳優さんがほとんどだったが、今では勉強熱心な俳優なら誰もが知っている言葉となった。

 

俳優の多くが「感情」や「気持ち」「心」などに意識が向いていた頃に比べると大いなる進歩を感じる。

 

中には未だに、スタニスラフスキー・システムを百害あって一利なしと全否定する演技教師がいなくもない。

 

が、彼らの気持ちもすごく良く分かる。

 

彼らはきっと勘違いメソッドや盲目的狂信的スタニスラフスキー・システムを信奉した一部の俳優達が繰り広げるとても生きた人間とは思えない演技に、また芸術として観るに堪えない公開精神療法のような演技にショックを受けたのだと思う。

 

例えば、自分の過去を舞台上で思い出したり、素の自分でいることに集中したり、そこに居もしない人の事をありありと思い浮かべたり、感情を解放することばかりに集中するなどの、肝心な「役を生きる」ための行動に集中していない痛々しい演技に・・・。

 

あるいは自称スタニスラフスキー・システムやメソッドの専門家先生にそのような演技を要求され、システムやメソッド自体をおぞましく感じるようになってしまったのかも…と彼らのリアリズム演技メソッドとの不幸な出会いを想像してしまう。

 

【使いこなせない、いや、使うことに疑問さえある】

 

ただし、「行動」という言葉がまだ「知識」どまりで、それが本質的に何を意味するか、なぜ大切か、どのように扱うか、どう訓練するかなどはまだまだなのかも…と感じざるを得ない現状も先ほどの女優さんの悩みを見るにつけ痛感する。

 

実は昨日もかなりベテランの俳優さんから同じような質問を頂いた。

 

様々な演技教室で様々な演技訓練を経験し、なかでもスタニスラフスキー・システムやメソッドについては相当経験を積んだ方だった。

 

しかし、頂いた質問を見るにつけ、「あれは何の役にたったのだろう?」という虚しさを感じている訓練が多くあったであろうことが良く伝わってきた。

 

  • 「なぜ、相手を罵倒する訓練が必要なのですか?」「役に立ちますか?」
  • 「相手のセリフを繰り返すことはどう、実践に役立つのですか?」
  • 「いい楽器ってなんですか?感情的になれればそれが素晴らしい楽器なのですか?」
  • 「自分の事を使えば役になれるのですか?」
  • 「舞台においてリアルってなんですか?」

 

半信半疑で訓練メニューに取り組まざるを得なかったのだと思うと気の毒でしょうがない。

 

少なくとも、指導者から納得できる答えが得られないままの稽古なのだろう。あるいは、質問自体が禁じられているのかもしれない。

 

この想像が正しいとすると、その稽古場の雰囲気はかなりヤバい。

 

私達に「先生」と呼ばせずにコンセルバトワール(フランス国立高等演劇学院)でと同じように「ムッシュ!」と呼ばせていた、私の恩師が最初の授業で私達に誓わせたことがある。

 

「私をカリスマや教祖にしないでくれ」

「演技教師は直ぐにカリスマになってしまいがちだ。」

「私はカリスマになりたくない。なぜなら、私は堕落したくないし、あなたたちの成長を止めたくないからだ!」

 

「私はあなた方に私の伝えたいことが本当に伝わっているのか、キチンと知りたい。もっと違う伝え方があるかもしれないし、あるいはもっと良い方法があるのかもしれないからだ。そのためにあなた方は自分の良心に照らして建設的な疑問や質問は内に秘めずに堂々と発するべきである」

 

「密室の稽古場では、演技教師と俳優は承認する側、される側という圧倒的な上下関係があっという間に出来上がってしまう。ましてやここ日本は「分からない」という事を恥じに感じたり、先生への質問に反逆のイメージさえ抱いている。そのような風潮はどうしても避けなければならない。もやもやとした疑問をキチンと言語化すること。それは容易ではない。だからこそ、言語行動の芸術に関わるものとしてそれは訓練の一環として努力せねばならない」

 

「私はあなたがたに何年かかっても教えきれないほど沢山の有用な知識がある。しかし、それも日々更新されねばならない。また、改めなければならないこともあるかもしれない。私はあなた方に教えるためにココに居る。しかし、その事を通して私も日々成長せねばならないのだ。」

 

 

私も同じだ。私も成長したい。自身が心の底から納得し、俳優に納得させる自信も語り方も持たない稽古などしたくない。あるいは俳優が疑問を抱いたまま訓練してほしくもない。もし、相手が質問したいのに、それを気づかないふりしたり、あるいは無意識にでも威圧して質問さえさせないようにしながら稽古などしたならば、俳優はもちろん、私のほうも精神を病んでしまいそうだ。

 

お互いに分からないことを分からないと言いあえる、そんな信頼関係がない場所で創造的な稽古も本番もないのではと思う。

 

 

【俳優が今こそ家でやるべき演技訓練とは?】

 

 

我々が取り組んでいるのはちっぽけなプレハブ倉庫の組立ではないはずだ。そんなものなら、ちょっとしたコツを習得すれば大量生産さえ可能だろうし、一人で仕上げることも可能だろう。

 

しかし、俳優の多くはもっと荘厳で壮大な建築に取り組もうとしているはずだ。

 

基礎工事がいい加減な高層ビル建築を想像できるだろうか?

 

設計図や共通言語のない工事現場で味わうお互いのストレスや不安はどれ程大きいだろう?

 

日本の素晴らしい俳優達がさらに輝き、響きあうためにはどうしても共通言語の獲得が必要だと思う。

 

そして、その獲得した「言葉たち」はあなたのために実効的に「働く道具」にならなければ意味がない。その言葉やメソッドに振り回されていては本末転倒だろうと思う。

 

もし、あなたが「思うがままに演じられない」「演技力向上に限界を感じている」のであればそれはあなたの努力不足でも才能がないからでもありません。

 

理論も原則も教えない演技教師達に目新しい訓練メニューや、テクニックだけをつめこまれているからかもしれません。中には完全に間違っていると思われる指導も散見されます。訓練自体は意味があっても使いどころを間違えて俳優を混乱させているという現象を見るのは日常茶飯事です。

 

 

今こそ闇雲に努力するのをやめ、世界基準の演技の考え方を学び、基礎から学びなおし、正しいゴールと、正確な地図と、丁寧なフィードバックが必要です。

 

 

【今だからこそ】

 

 

私の生徒の多くも映画公開の延期、撮影の無期限延期、公演の中止など様々に我慢を強いられている状況です。

 

 

こんな時にあなたがアスリートであれば、あるいはピアニストや画家など他の芸術分野において一流であろうとする人であれば、既に自宅でコツコツと粘り強く、繰り返すべきその道独自の訓練メニューを持っていることでしょう。また、その努力の効果に疑いを持つことなどないでしょう。

 

 

恐らく俳優は今こそ、世界で通用する演技を考えるための真の言葉の習得や実践に役立つ演技理論を身に着ける時だと思います。


 

今、蓄える「腑に落ちた知」こそが、生の稽古場に復帰出来た時にあなた本来の力を発揮するために本当に使える智恵となっていることでしょう。

 

 

【リアリズム演技の基礎の基礎から、ベテラン俳優のさらなる飛躍のための実践的なハードトレーニングまでをオンラインで】

 

 

コロナ禍のお陰でオンラインクラスを充実させました。

もちろん、オンラインのレッスンは通常の稽古に比べると制約だらけです。

 

しかし、こんな今だからこそ、いつかは!と先延ばしにしていたかもしれない、本来なら真っ先に学んでおくべき原理原則にじっくりと取り組むチャンスなのだと思います。

 

オンラインで学べる「リアリズム演技の基礎の基礎」から、ベテラン俳優のさらなる飛躍のための「実践的なハードトレーニング」までをオンラインでご用意しました。

 

あなたにピッタリのレッスンがあるかもしれません。

 

 

【演技初心者の方向け!あるいは演技経験豊富だがリアリズム演技理論や訓練に初めて興味を持たれた方向け】

 

あなたの演技力を劇的に向上させるスタニスラフスキー・システムの本当の使い方。

演技初心者からベテランまで。あらゆるリアリズム演技の根幹スタニスラフスキーシステムを始めて学ぶ方にお勧めです!世界の俳優が必ず習得する原理原則を手にする時、あなたの成長は加速するしかありません!  

6月9日-6月30日(火曜日) 
20時から2時間 全4回 
定員8名 
¥10,000

 

以下のような疑問を解決しながら、「役を生きる」演技に必要な神髄をゲームなどを通して頭と身体で納得して頂くオンラインワークショップです。

 

  • そもそも私達の目指している観客を感動させ、自分も納得する演技とはどのような構造になっているのか?
  • 虚構の世界においてリアルとはどう実現するのか?
  • 芸術(アート=人工物)の中で自然とはどう導けば生まれるのか?

 

【これまでにリアリズム演技訓練やスタニスラフスキー・システムの訓練に取り組んだ経験がある方向け】


 

スタニスラフスキー・システム完全納得ワークショップ6月20-21日
あらゆるリアリズム演技の根幹スタニスラフスキーシステムを学び!世界の俳優が必ず習得する原理原則を完全に納得する時、あなたの演技力は飛躍的に伸びることでしょう! 

 【日程】 全2日10時間
6月20日(土)10:00-18:00(1時間昼食休憩有)
6月21日(日)10:00-18:00(1時間昼食休憩有)
 【定員】8名 
¥15,000

このワークショップは皆さんから頂く「質問」から始まります。

 

事前準備

 

①演技に対する疑問を頂く

②その疑問に答えるためのメニューを構成する

 

ワークショップ当日

 

③初日 参加者全員の質問、疑問を共有する

④基礎訓練+座学で疑問の解決を頭だけでなく身体で納得する

 

⑤2日目 シナリオを使って原理原則を実践に活かす体験をする

⑥疑問が全て解決したか確認しあって終了する

 

ワークショップ終了後

 

⑦約1週間後、その後新たな疑問が出なかったか確認するアフターフォローのためのオンラインレッスンをzoomで実施

 

という完全に参加者各個人に合わせたカスタマイズワークショップで、分かったつもりで終わらせません!

 

 

【シナリオの読み込みを通して演技理論の定着を図る】

あの名場面を超緻密にビート分析!演技可能な行動にまで落とし込み実演するクラス

映画シナリオビート解析講座 ゴッドファーザーⅡ 

6月12日-全3回


そのビート役に立っていますか?実演に真に機能する効果的なビートをあぶり出す!その秘訣を独学で習得するのは至難の業!名作映画のワンシーンを徹底分析し、実演可能なビートに切り分ける手順と原理原則を学びませんか?目から鱗の連続にあなたは必ず驚くはずです!中級者向け。

6月12日-6月26日(毎週金曜日)
20時から2時間 
定員8名
¥10,000