旅館のオペレーション改善中心としたコンサルタントを行なっております。
西へ東へ毎日奔走。
思ったこと、感じたことを書き留めております。

コミュニケーションには主語が大事そんな話です。

先日、ある旅館のフロントの方に聞いた話です。そこの旅館は、30室ぐらいの小さな旅館です。
ある日、昼宴会で100名の団体を取った時の話です。

出発30分前、ごった返しているロビーからフロントにいきなり大きな声で「財布がなくなったぞー!」
「置いといたとこに、無いんだよ、どうしてくれるんだ!」お客様が酔っ払いながらこう怒鳴るんです。
売店やら喫茶にヒトの応援が欲しい雰囲気がでてます。

まだ慣れてない、その若いフロントさん。「どうしてくれるんだ」に反応して、
「すぐ確認します」と、休憩室でもあったその宴会場に駆けつけます。
もう誰もいない、その宴会場。財布なんて、どこ探してもない。5分ほどあちこち見て途方に暮れる。

お客様もっとどういう状況だったか聞かなきゃ、ロビーに戻りました。
「どちらで無くされたのですか?」さっきのその男性に聞くものの、「宴会場」の一点張り。
うーん。どうしていいか分からない。でも、次の言葉でやっと把握しました。
「そう言っていた。」
えっ、誰?   聞くと「隣のおばちゃんグループ。」

よく聞けば、財布が見つからないと隣の席のグループが騒いでいたので、
その人達とは関係ないけど、俺が代わりにフロントに行ってあげるよ!

だったんですって。ですが、その団体さんはほぼロビーに集合していて
周りを見回しても誰も財布のことなんて騒いでいない。(多分見つかったんだ。)

結果、個人精算を行うフロントの修羅場をほったらかし、
大繁盛の喫茶、みやげ売店もピークを外す。
「どちら様が無くされたんですか?」の一言さえあれば、
1名欠員を作らず済んだのです。フロントはどこでもヘルプな訳で、
売店等の売上要員でもあったにも関わらずです。

お客様のための行動ではありましたが、成果ではありません。
   早合点!    それだけです。

次は別の旅館ですが、同様の話です。
旅館ではどこでも常備薬を置いています。販売するには当然免許がいるので、
お譲りするわけです。ある晩、30代の女性が夕食後フロントによって来ます。
かぜ薬が欲しいとのこと。それで支配人さんにその若い女性スタッフが聞くわけです。
「くすりはどこにしまっているんですか?」
その支配人さんはピンと来て、「誰が使うの?お客様に聞きなおして」と若いスタッフに
伝えます。
「3歳のお子さんに、だそうです」。。。。。  やっぱり。
3歳のお子さんに渡せる常備薬なんて持っていません。
すぐに、夜間対応できる病院を紹介したそうです。
知恵熱で何でも無かったそうですが、この「誰が」の問いかけがなければと思うとぞっとします。

直接コスト削減とはかけ離れるエピソードですが、どこでもある話です。気をつけましょう。
気の利いた言葉のサービス 中堅おもてなしスタッフに言ってもらいたいテーマの続きです。

前回お客様が我々に望んでいるのは、”お得感”の演出であり、
楽しく過ごさせてくれる 情報提供者としての役割 を望んでいると書きました。

旅館として提供できる、特に”耳寄りグルメ情報”と”いい日旅立ち”の2つのキーワードを書きます。

”耳寄りグルメ情報”
何をもって”耳より”にさせるか?ですが、 
旅行において、やっぱり、食べ物の話が一番興味を持たれます。
でも、これは、おすごし頂く時間軸の中での話です。一泊旅行をするのに
お昼をご自宅で済ませるくらい近い場所に宿泊する方は少ないです。
往復の昼食は実はメインテーマなんです。
だから、情報が少ない時は、味が全国一緒のコンビニ弁当にしちゃうなんてこともよく聞きます。

私は
”るるぶ”が載せられない情報が効果的と考えます。

「裏メニュー」でしょうか?そんなのがあれば、越したことはないですけど。

私ならこうお伝えします。

「どこに入っても、ハズレはありません。でも、このAという店は、良いそば粉を使っているんで
もりそばが絶品です。あと、看板娘が93歳なんです。それと、こっちのBという食堂は、
おかみさんが美人です。」


しょうもない、、、ツッコミが遠くから聞こえてきますが、何気なく聞いていても笑いがこぼれます。

プラスアルファに何を入れるか。他の地域でご主人が「おいしいだろ」ってずっと聞いてくる

蕎麦屋がありました、また、トイレがキレイでそこでも食事ができそう、なんてレストランも
ありましたが、そんなことも店の特徴ですよね。
(もっと言うと、焼酎がうまいカツカレーの店っていうのもありました。)

ただし、どんな紹介であっても、否定的な話は話している本人の表情も嫌な顔になります。
店に入る前から、楽しんでもらう。言葉のサービスって無料です。 
楽しんでもらおう、喜んでもらおうという思いで話すと、誠意が伝わります。

休みの日は最寄りの高速インターから旅館までの動線、最寄駅周辺もちろん地元と、
どんどん食い倒して下さい!皆さんの財産になります。


もう一個。
”いい日旅立ち” の演出です。

聞かなくても良かった”タイミングを逸した感”を言わないことです。

仕事に慣れてくると、まわりが見えてきます。季節の移ろいも感じてきます。
紅葉がキレイ、雪景色がキレイ、水平線に沈む夏の夕暮れは最高!!
でも、最初に”こないだは”がつくと、流れが変わります。
逆に接待で利用したおそば屋さんで、食べた後に、ご主人から「明日から新そばです」と、
在庫一掃セールを謳われたこともあります。     絶句です。

こないだの方が、明日からが、良かったらしい。となると、目の前の景色も食べた物も
そのフィルター越しに!!

感動も半減!!  なんてことがないようにしなきゃいけない。
本当のこと言って何が悪い。、、、サービス業としては劣ります。

お客さまにとっては、今日が”最良の日”なんです。今日しか時間が取れなかったんです。
季節の評論家ではなく、眺めにも”最良の旅行に”口添えすべきと考えます。
だからこそ、こうお伝えするべき。

・紅葉が始まりかけ
→例年よりも、今年は紅葉が早いみたいです。今晩の冷え込みでもっと色づきます。
明日はもっと楽しめますよ。
・紅葉ピーク後
→ここの時期まで、紅葉が楽しめるのは近年珍しいです。
お帰りまで、紅葉に負けないよう精一杯サービスいたします。
・梅雨の時期
→若葉が雨に濡れると景色が一段と鮮やかになります。
6月が緑が一番映えるシーズンですよね。

「だから何?」口には出さないお客様の問いかけに私はこう答えます。
「今日の宿泊をお選びいただいたのは、季節的にもベストだったんです。」

季節のピークは誰でも語れます。オフにお越しになったお客様をいかに肯定するか、
天候に振り回されない、言葉のサービスを真剣に考えましょう!!


お酒が好きなんですが、半月にいっぺんしか飲まない方が
もっと美味しく感じることに気づいた、startsmileです。

西に東に旅館の経営支援を日々行なっています。

さて、前回、新人のスタッフさん!気の利いた事言おうと思うより、誤解されないフレーズを
意識しましょうね。という話を書きました。 今回は新人卒業の中堅スタッフさんへの
ちょっとしたアドバイスです。

今のお客様は、仲居さんがベッタリのサービスはあまり望んでいません。
(反論もあるかと思いますが、続けます。)

自分のくつろいでいる時に近くに居られたくない(本音は言わないけど)。
微妙だけど、俺の(ワタシの)心地いい距離感を感じて欲しい

家族ですら気心しれないことがあるのに、今日あったばかりのお客様の心を図るなんて
絶対できないと思っています。

リピーターや単価のいいお客様に当館を気に入ってもらいたい、自分として何か貢献したい。
仕事として当然の欲求だと思います。

で、オベンチャラをたくさん言う。お客様も決して悪く思いませんが、タイミングが難しい。
言い慣れないとあけすけで、見えすいた感じになるのがオチです。

じゃあ、どうするか?

私は”お得感”の演出。と思っています。

単価ではありません。
求められているのは、楽しく過ごさせてくれる 情報提供者の役割です。
特に”耳寄りグルメ情報”と”いい日旅立ち”と思っています。

長くなるので次に続きます。